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全中国運動会・速報2017

●女子団体準々決勝
〈北京市 3ー1 江蘇省〉
○盛丹丹 6、7、6 張薔
○丁寧 2、9、1 銭天一
 李佳原 9、ー8、ー5、ー5 劉斐○
○丁寧 9、8、6 張薔
〈四川省 3ー1 山西省〉
 郭艶 ー8、ー4、ー7 武楊○
○朱雨玲 11、11、6 李暁丹
○范思琦 6、6、4 呂ティンティン
○朱雨玲 7、4、8 武楊

 女子団体準々決勝、先に終わった2試合の結果は上記のとおり。
 北京市の丁寧は、さすがの強さで2試合連続のストレート勝ち。堅いバックの守備力で相手の速攻を許さず、気がつけばラリー戦へと引きずり込んでしまう。相手が何本ナイスボールを打っても通用しない。観客席には二カ所に大応援団が陣取り、大きな声援を送っていた。
 
 四川省は2番手の范思琦を3番に置き、確実に1点を取りに来た。エース朱雨玲への信頼感の成せる業だが、その期待に応えて朱雨玲がこちらも2試合連続ストレート勝ち。李暁丹との一戦では第1ゲーム、第2ゲームとも先にゲームポイントを握られながら、ナーバスな場面でもミスが出なかった。そして武楊戦は、バッククロスへのパワードライブとツッツキ・ストップのコンビネーションで堅陣を崩した。前回の全中国運動会では、シングルスでカットの胡麗梅に苦杯をなめた朱雨玲だが、隙のないカット打ちを見せた。
  • 揺るぎない強さを見せた丁寧

  • 江蘇省のペンドライブ型・張薔。打つ時はいつも苦しそう

  • 完ぺきなカット打ちを披露した朱雨玲

  • 海外勢には無敵を誇る武楊だが、手の内を知り尽くされていた

  • 丁寧のファン軍団、その1

  • 丁寧のファン軍団、その2。違う団体なのか、聞いてみたいところ

 今回の全中国運動会速報ページ、「なかなか大会の速報がスタートしないな……」と思われている方、ゴメンナサイ。
 一刻も早く武清体育センターのフロアに下りたい編集部タロー。今朝は午前中に団体第2ステージの順位決定戦(9〜16位決定)が行われる予定になっているので、朝食後に会場に行ってみた。無名であっても、巧みなテクニックや個性的なプレーをする選手は多く、ひとりでも多く観ておきたかったからだ。

 ……しかし、入り口でセキュリティチェックを受けて中に入り、ようやく見つけた運営スタッフらしき人にメディア用の入り口を聞くと「今日は午前中は試合はないよ。2時からでしょ?」との答え。順位決定戦のことを聞いてみてもよくわからないようで、しかもメディア用の入り口もカギがかかっている。大会ウェブページでは「試合進行中」のマークが出ているのだが、辺りには人影もなく、結局ホテルに戻ることに。行きはタクシーで5分ちょっと、帰りは歩いて35分。天気はすこぶる良いのだけれど……。

 とはいえ、今日行われる団体の準々決勝は好カードが目白押し。熱い戦いになることは間違いないのでご期待ください。男女の対戦カードは下記のとおり。

14:00〜(日本時間15:00〜)
●女子団体・準々決勝
河北省 vs. 黒龍江省
湖北省 vs. 解放軍
北京市 vs. 江蘇省
四川省 vs. 山西省

19:00〜(日本時間20:00〜)
●男子団体・準々決勝
山東省 vs. 解放軍
上海市 vs. 江蘇省
四川省 vs. 河南省
北京市 vs. 広東省

 女子は河北省対黒龍江省で、孫穎莎対王曼昱の若手エース対決が楽しみ。湖北省対解放軍では馮亜蘭と木子が激しい打撃戦になりそうだ。絶対的な本命は不在で、ベスト8に入ったどのチームにも優勝のチャンスはある。
 一方、男子は張継科のいる山東省が予選2位になったことで、準々決勝で解放軍と当たる厳しいドローになってしまった。張継科と樊振東が当たれば、現時点では樊振東の有利は動かないが……。昨日、「今の自分にとって成績は最も重要なものではない。ファンの人たちに卓球の熱さと楽しさを伝えることが重要なんだ」とコメントしていた張継科。ファンを沸かせる神がかりのプレーに期待したい。

 男子のもうひとつの好カードは北京市対広東省。馬龍・閻安・王楚欽と穴のない北京市に対し、広東省は絶好調の林高遠が2点取りを狙う。広東省の2番手、ベテランの張超も爆発力があるので、広東省にも勝機は十分あるだろう。
  • 中に入れなかった武清体育センター。むなしい写真です

 昨日、天津市内でIDカードを受け取った後、会場近くのホテルがある武清区まで、ボランティアスタッフの鮑(バオ)くんが車で送ってくれた。約60キロ、車でおよそ1時間の道のり。「どうして卓球競技だけ、こんなに離れたところでやるの? 天津の人たちは、わざわざ武清まで見に来てくれるの?」とつたない中国語で聞いたら、「うーん……、でも卓球競技のチケットは、もう全部売り切れてるよ」とのこと。
 ちょっと安心したけれど、やっぱり遠い。東京都内から埼玉の熊谷市、大阪の中心から兵庫の三木市、位置関係と距離で言うとそんな感じだ。

 ちなみに鮑くん曰く、卓球選手で一番人気があるのは、やはり張継科だそうだ。馬龍も知っていたが、中国オープンでのボイコット騒動については全く知らず、「どうして棄権したの?」と逆に聞かれてしまった。トヨタの車とホンダのバイク、PS4と寿司をこよなく愛するという鮑くん。小学校時代に先生から習ったという芹洋子の「四季の歌」を日本語で歌ってくれて、一緒に歌いながら夕暮れのロングドライブと相成りました。

 下写真はホテルの周りの様子。取材をさぼってヨーロッパに遊びに来ているわけでは……ありません。随所にこういう欧風な建物があり、近くには「佛羅倫薩・小鎮(フィレンツェ村)」なんてところも。こんな建物の前に屋台が出て、焼餅や茹でたトウモロコシを売ったりしているが……。数十年後、この街並みはどうなっているのだろうか。
●グループA
〈四川省 3ー0 上海市〉
〈河北省 3ー1 山東省〉

○何卓佳 4、7、ー8、11 陳夢
○孫穎莎 5、7、ー2、7 顧玉ティン
 張文静 ー5、ー11、ー8 劉高陽○
○孫穎莎 5、ー5、10、8 陳夢
〈四川省 3ー1 山東省〉
○朱雨玲 ー7、9、8、9 顧玉ティン
 郭艶 9、ー8、ー4、ー8 陳夢○
○范思琦 4、ー5、8、9 劉高陽
○朱雨玲 ー6、11、ー5、5、7 陳夢
〈河北省 3ー0 上海市〉
〈山東省 3ー0 上海市〉
〈河北省 3ー1 四川省〉

★順位
1位:河北省(3勝0敗)/2位:四川省(2勝1敗)/3位:山東省(1勝2敗)/4位:上海市(0勝3敗)

・エース李暁霞が抜けた前回優勝の山東省が、まさかの3位で準々決勝に進めず。新鋭・孫穎莎が活躍した河北省が1位通過。2位の四川省は河北省戦で大黒柱の朱雨玲が出場しなかった

●グループB
〈山西省 3ー1 天津市〉
〈黒龍江省 3ー1 西蔵自治区〉
〈山西省 3ー1 黒龍江省〉

○武楊 8、ー8、ー10、8、5 車暁㬢
 李暁丹 ー11、ー8、ー7 王曼昱○
○呂ティンティン ー7、10、9、1 王シュアン
○武楊 6、9、7 王曼昱
〈天津市 3ー1 西蔵自治区〉
〈黒龍江省 3ー0 天津市〉
〈山西省 3ー1 西蔵自治区〉

★順位
1位:山西省(3勝0敗)/2位:黒龍江省(2勝1敗)/3位:天津市(1勝2敗)/4位:西蔵自治区(0勝3敗)

・エース武楊が健在の山西省が1位。黒龍江省は3番手に、かつて福原愛選手のコピー選手を務めた王シュアン(王+旋)がまだ頑張っている。地元・天津市は男女とも準々決勝進出ならず

●グループC
〈解放軍 3ー0 河南省〉
〈北京市 3ー0 雲南省〉
〈解放軍 3ー2 北京市〉

○木子 ー9、5、ー13、5、7 盛丹丹
 胡麗梅 ー7、ー2、3、ー9 丁寧○
○劉㬢 ー9、9、7、ー6、5 李佳原
 木子 ー7、ー8、ー9 丁寧○
○胡麗梅 6、6、9 盛丹丹
〈河南省 3ー2 雲南省〉
〈解放軍 3ー1 雲南省〉
〈北京市 3ー0 河南省〉


★順位
1位:解放軍(3勝0敗)/2位:北京市(2勝1敗)/3位:河南省(1勝2敗)/4位:雲南省(0勝3敗)

・木子と胡麗梅という世界代表経験者ふたりを擁する解放軍が1位。僅差で敗れた北京市が2位で、丁寧に次ぐ2番手の盛丹丹のプレーが今後のカギを握る

●グループD
〈湖北省 3ー1 遼寧省〉

○馮亜蘭 ー8、7、8、8 陳幸同
○張瑞 7、6、9 文佳
 孫芸禎 8、ー6、ー7、ー8 李佳イ○
○馮亜蘭 ー7、1、7、ー8、6 文佳
〈江蘇省 3ー0 福建省〉
〈江蘇省 3ー1 遼寧省〉

 陳可 7、ー5、ー4、ー9 文佳○
○劉斐 ー6、ー11、9、4、6 李佳イ
○張薔 1、15、ー4、5 陳幸同
○劉斐 9、8、8 文佳
〈湖北省 3ー0 福建省〉
〈江蘇省 3ー2 湖北省〉

○張薔 ー7、9、7、7 馮亜蘭
○劉斐 4、6、4 張瑞
 陳可 5、ー11、ー13、ー10 孫芸禎○
 劉斐 ー8、ー5、ー10 馮亜蘭○
○張薔 13、7、8 張瑞 
〈遼寧省 3ー1 福建省〉

★順位
1位:江蘇省(3勝0敗)/2位:湖北省(2勝1敗)/3位:遼寧省(1勝2敗)/4位:福建省(0勝3敗)

・カットの劉斐が活躍した江蘇省が1位、強打者の馮亜蘭がチームを引っ張る湖北省が2位。そして遼寧省の3位は衝撃的な結果。王楠・郭躍がいた頃は予選リーグは問題ではなかったが……。若手の陳幸同が結果を残せなかった
 男子団体第1ステージの順位と、主な対戦結果は下記のとおり。残念ながら第1ステージは取材できず。10日間もある大会日程なので、どうしても団体戦は第2ステージからになってしまうのです。初戦でいきなり2失点を喫した張継科の復活、そしてワンサイドゲームに終わった馬龍対樊振東の再戦はあるか?

●グループA
〈上海市 3ー0 吉林省〉
〈河南省 3ー1 河北省〉

○任浩 9、8、ー9、9 梁靖崑
 夏易正 ー16、14、ー11、ー6 范勝鵬○
○于何一 8、7、11 劉イ
○夏易正 ー7、7、10、7 梁靖崑
〈上海市 3ー1 河北省〉
○許シン 8、ー7、5、ー6、5 程靖チィ
○尚坤 11、7、ー5、6 梁靖崑
 趙子豪 6、ー10、ー13、ー7 范勝鵬○
○許シン 8、ー12、11、ー9、8 梁靖崑
〈河南省 3ー0 吉林省〉
〈吉林省 3ー2 河北省〉
〈上海市 3ー2 河南省〉

★順位
1位:上海市(3勝0敗)/2位:河南省(2勝1敗)/3位:吉林省(1勝2敗)/4位:河北省(3勝0敗)

・上海市が順当に1位通過したが、梁靖崑を擁する河北省がまさかの全敗。エースの梁靖崑が1勝5敗と惨憺たる成績に終わってしまった。

●グループB
〈広東省 3ー1 山東省〉

○林高遠 ー7、6、9、9 方博
○張超 7、ー7、9、7 張継科
 周啓豪 5、ー9、ー8、ー5 劉丁碩○
○林高遠 10、2、ー9、ー12、9 張継科
〈山東省 3ー1 黒龍江省〉
○方博 9、10、9 徐英彬
 劉丁碩 5、ー7、ー8、2、ー6 于子洋○
○張継科 6、5、10 王博
○方博 ー8、ー7、6、5、8 于子洋
〈黒龍江省 3ー2 浙江省〉
〈広東省 3ー0 浙江省〉
〈広東省 3ー0 黒龍江省〉

○林高遠 2、ー11、7、ー8、13 于子洋
○張超 7、ー3、ー6、5、9 王博
○周啓豪 6、6、9 徐英彬
〈山東省 3ー1 浙江省〉

★順位
1位:広東省(3勝0敗)/2位:山東省(2勝1敗)/3位:黒龍江省(1勝2敗)/4位:浙江省(0勝3敗)

・初戦で山東省の張継科がまさかの2点落とし。エース林高遠の活躍で勝利した広東省が勢いに乗り、そのまま全勝で1位通過。山東省は辛くも2位通過

●グループC
〈福建省 3ー2 江蘇省〉
〈四川省 3ー0 湖南省〉
〈江蘇省 3ー1 湖南省〉
〈四川省 3ー0 福建省〉

○許鋭鋒 8、9、7 鄭培峰
○朱霖峰 ー7、4、ー7、10、7 陳㬢
○頼佳新 6、12、ー7、7 蘇ユ杰
〈福建省 3ー0 湖南省〉
〈江蘇省 3ー1 四川省〉

○張煜東 ー7、9、5、10 頼佳新
 孫聞 ー9、ー8、ー8 朱霖峰○
○朱誠 6、ー3、ー6、6、7 厳昇
○張煜東 ー8、ー7、1、10、4 朱霖峰

★順位
1位:四川省(2勝1敗)/2位:江蘇省(2勝1敗)/3位:福建省(2勝1敗)/4位:湖南省(0勝3敗)

・飛び抜けた強豪のいないグループCは三つ巴となり、3ー0での勝利ふたつがものを言った四川省が1位通過。名門・江蘇省はなんとか2位を確保した。

●グループD
〈解放軍 3ー1 天津市〉

○周雨 3、ー9、4、7 ハオ帥
○樊振東 13、ー9、5、5 余心航
 周愷 ー10、ー8、7、ー8 馬特○
○樊振東 7、3、7 ハオ帥
〈北京市 3ー0 雲南省〉
〈解放軍 3ー1 北京市〉

 周雨 ー4、ー10、ー4 馬龍○
○樊振東 6、7、ー3、6 王楚欽
○徐晨皓 9、ー7、8、4 閻安
○樊振東 5、4、5 馬龍
〈天津市 3ー0 雲南省〉
〈北京市 3ー1 天津市〉

 閻安 9、ー6、10、ー8、ー5 馬特○
○馬龍 5、8、3 余心航
○王楚欽 2、5、ー10、ー12、10 ハオ帥
○馬龍 3、4、5 馬特
〈解放軍 3ー0 雲南省〉

★順位
1位:解放軍(3勝0敗)/2位:北京市(2勝1敗)/3位:天津市(1勝2敗)/4位:雲南省(0勝3敗)

・馬龍のいる北京市と、樊振東のいる解放軍が入った「死のグループ」。その両者の対戦は、意外にもワンサイドゲームで樊振東が勝利し、解放軍が1位通過となったが、第2ステージではどうか。天津市は地元開催の大会で、あまりに不運なドローとなった
 編集部タローの長い1日が終わりました。朝5時45分発のリムジンバスに乗り込んで羽田空港に向かってから、夜の19時半にホテルにチェックインするまで……、長い長い1日でした。

 ハードな1日になった理由は、取材に必要なIDカードにある。今大会の卓球競技は天津市の北西の郊外にある武清区(武清体育センター体育館)での開催。会場でIDカードを受け取ることができれば何の苦労もないのだが、IDカードを受け取るためには、会場から60キロ離れた天津市内の「天津全運村」まで行く必要があることがつい昨日わかった。……チェック不足なんですけどね。天津全運村の中にある「媒体村(メディア村)」の入り口で、IDカードを渡してくれるという話だった。

 ところが、この天津全運村がまた、天津駅からタクシーで20分近くかかる。「駅に大会のサービスカウンターがあって、シャトルバスくらい出ているかな」という目論見(もくろみ)はもろくも崩れた。しかもタクシーの運転手さんが、メディア村の正反対の入り口にタクシーを停めるという……。そりゃわからないでしょう、新しくて、だだっ広くて、まだ地図にもろくに載っていないのだから。重いスーツケースとカメラバックをタクシーから降ろして、「媒体村 2km」の表示を見た時は、軽い衝撃を受けました。

 広大な天津全運村を結局3キロ近く歩いて、メディア村の入り口にあるID受け取り所に着いても、またひと悶着。ほとんど海外メディアは来ない全中国運動会、珍客の登場にボランティアスタッフが大騒ぎ。選手に間違えられたのは実話です。結局「IDカードはここにはないから、ホテルに届けてあげる」という答え。「いやいや、何時間でも待つからIDカードください」という感じだった。それくらい、IDが取れるかどうかは死活問題なのだ。

 結局、ボランティアスタッフのひとり、鮑(バオ)くんが機転を利かせ、「天津オリンピックセンタースタジアム」の近くにある大会の広報宣伝部のオフィスまで連れて行ってくれて、そこで無事にIDカードを受け取ることができた。中国の卓球雑誌『ピンパン世界』の辺くんから、WeChatで「ははは、大変だったでしょ、だって俺たちでも大変だったもの」と慰めともつかないメッセージをいただきました。
 卓球に関係ない話を、長々とスミマセン。
  • 北京南駅から乗った「和諧号」。お顔を洗うのが嫌いなようです

  • 大気汚染で有名になってしまった天津、今日は風が強いので割と普通

  • 大会マスコットの「津娃」。毎回微妙な中国のマスコットたち

  • IDカード一枚に振り回された1日でした

 全中国運動会は、若い選手たちにとっては飛躍のきっかけとなる大会だ。09年の第11回大会、男子団体決勝ラストで馬琳を破った張継科は、そこから一気に世界チャンピオンへの階段を駆け上がっていった。前回の第12回大会では、馬龍が地元・遼寧省鞍山市で男子シングルスのタイトルを獲得し、世界選手権2連覇、リオ五輪金メダルへとつながった。決して偶然のタイミングではなく、この大会での活躍が選手に大きな自信を与えるのだ

 男女シングルスの第1〜16シードの顔ぶれは下記のとおり。第8シードまでの顔ぶれは、そのまま世界選手権のベスト8と言われても違和感がないほどハイレベルだ。

 今大会で好成績を残し、上昇気流に乗る選手がいるとすれば……個人的には北京市チームの若獅子、左シェークドライブ型の王楚欽を推したい。シングルスでの活躍は未知数だが、団体戦では大エースの馬龍がいる北京市チームで、存分に暴れられるはずだ。女子では陳夢と朱雨玲、すでに中堅に差し掛かっているふたりのどちらかが、今大会で飛躍のきっかけをつかむのではないか。孫穎莎や王曼昱といった若手も楽しみだが、大会の雰囲気に呑まれてしまう可能性もある。女子第4シードの劉詩ウェンも、これからもうひと花咲かせてほしい選手なのだが……。

●男子シングルス・16シード
第1シード:馬龍(北京市)
第2シード:樊振東(解放軍)
第3シード:許シン(上海市)
第4シード:張継科(山東省)

第5〜8シード:黄鎮庭(中国香港)
       :方博(山東省)
       :周雨(解放軍)
       :閻安(北京市)

第9〜16シード:朱誠(江蘇省)
        :周愷(解放軍)
        :夏易正(河南省)
        :王楚欽(北京市)
        :于子洋(黒龍江省)
        :薛飛(湖北省)
        :梁靖崑(河北省)
        :張超(広東省)

○女子シングルス・16シード
第1シード:丁寧(北京市)
第2シード:陳夢(山東省)
第3シード:朱雨玲(四川省)
第4シード:劉詩ウェン(広東省)

第5〜8シード:孫穎莎(河北省)
        武楊(山西省)
        王曼昱(黒龍江省)
        杜凱琹(中国香港)

第9〜16シード:張瑞(湖北省)
         文佳(遼寧省)
         車暁曦(黒龍江省)
         王芸迪(雲南省)
         李暁丹(山西省)
         劉斐(江蘇省)
         盛丹丹(北京市)
         馮亜蘭(湖北省)
  • 09年の第11回大会、解放軍チームから出場していた張継科が決勝ラストで優勝を決めた

  • 13年の第12回大会では、馬龍が地元に錦を飾った

  • 今大会での飛躍に期待したい王楚欽

 今日、8月28日、中国・天津の武清体育館で第13回全中国運動会・卓球競技が開幕する。卓球のみならず、陸上や競泳、サッカーに柔道に射撃など、実に42の競技が行われる4年に1度の総合競技大会。「中国の国内オリンピック」と言われる大会を、09・13年大会に続いて「編集部タロー」こと柳澤太朗が取材します。明日29日に中国へ飛びます。

 わざわざ中国まで取材に行く理由は、一も二もなく「レベルが高い」こと。男子シングルスは30名、女子シングルスは29名、そしてダブルス3種目は各16ペアと中国でも選りすぐりの選手しか出場していないので、混合ダブルスの初戦から恐ろしいほどハイレベル。全中国運動会のためなら、どんな奥地や僻地でも行きます。

 「中国選手は同士討ちだと冷めている、技術レベルは高くても見ていてつまらない」。そう感じている方もいるかもしれない。でも全中国運動会はまるで違います。団体戦では1ゲーム目の1本目から、ベンチで選手たちが立ち上がって応援し、コートの選手たちも全力で闘志をぶつけ合う。世界最高峰のテクニックを持つ選手たちが、インターハイ顔負けの熱量で戦うのだから面白くないわけがない。中国最大のスポーツの祭典で結果を出すことが、選手やコーチの評価に直結し、報奨金や助成金を得る貴重なチャンスにもなるので、選手たちの目の色が違うのだ。

 もちろん、中国最大のスポーツの祭典で優勝することは、この上ない名誉であることは言うまでもない。「五輪・世界選手権・ワールドカップ」の3大会で優勝することを中国では「大満貫」と言うが、さらに全中国運動会での優勝を加えて「全満貫」とも言うことを前回大会の時に知った。郭躍華に江加良、孔令輝に劉国梁、女子では曹燕華に喬紅など、世界チャンピオンになっても全中国運動会で優勝できなかった選手はたくさんいる。それくらい優勝するのが難しい大会なのだ。

 6月の中国オープンで男子シングルス2回戦をボイコットした馬龍、許シン、樊振東はその後、国際大会にも出場せず。その動向が注目されているが、今大会ではシングルスのシードに名を連ねており、問題なく出場する予定。故障続きとはいえ、張継科のプレーも気になるところ。今後どこまで現役を続行するかはわからないが、劇的な復活優勝を果たして「全満貫」を達成すれば、波乱万丈の競技人生にもひとつのピリオドが打たれるだろう。
  • 前回大会の男子シングルス表彰。馬龍が初優勝を飾った