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2017世界ジュニア選手権大会

★大会第6日目・12月1日の日本選手関係のタイムテーブル

11:00〜(日本時間19:00〜)
●男子シングルス1回戦
宇田幸矢 vs. ハムドウン(チュニジア)
田中佑汰 vs. プトゥンティカ(モルドバ)
木造勇人 vs. ボウラス(チュニジア)
高見真己 vs. シャー(インド)

13:15〜(日本時間21:15〜)
●女子シングルス1回戦
長崎美柚 vs. チェコバ(チェコ)
木村光歩 vs. トリゴロス(ベラルーシ)
加藤美優 vs. マテジョフスカ(チェコ)
木原美悠 vs. ビグニェビッチ(セルビア)

15:15〜(日本時間23:15〜)
●男子ダブルス1回戦
宇田幸矢/田中佑汰 vs. ベンタンコル/サンチ(アルゼンチン)
高見真己/木造勇人 vs. 予選ラウンドの勝者ペア

15:45〜(日本時間23:45〜)
●女子ダブルス1回戦
加藤美優/長崎美柚 vs. ゴーティエ/モスタファヴィ(フランス)
木原美優/木村光歩 vs. 予選ラウンドの勝者ペア

17:15〜(日本時間2日1:15〜) ●男子ダブルス2回戦(ベスト8決定戦)
17:45〜(日本時間2日1:45〜) ●女子ダブルス2回戦(ベスト8決定戦)

18:45〜(日本時間2日2:45〜)
●混合ダブルス3回戦(ベスト8決定戦)
田中佑汰/長崎美柚 vs. 薛飛/王曼昱(中国)
高見真己/木村光歩 vs. 安宰賢/金智淏(韓国)

19:45〜(日本時間2日3:45〜) ●混合ダブルス準々決勝

個人戦の決勝トーナメントがスタートする大会第6日目、各種目のタイムテーブルは上記のとおり。現地時間の午前11時から、男子シングルス1回戦、続いて女子シングルス1回戦が行われる。

男子シングルスでは、高見が対戦するインドのシャーは要注意。団体戦の中国戦で、王楚欽から1ゲームを奪った左腕のメガネ選手。フォアドライブの回転量はかなりのもので、流しを多用する台上プレーもなかなかいやらしい。

女子シングルスの対戦相手も、木村が対戦するトリゴロスをはじめ、ヨーロッパ女子の実力者が揃う。サービス・レシーブで優位に立ち、きっちり勝利を収めたい。

男女ダブルスは2回戦(ベスト8決定戦)、そして混合ダブルスはメダルが決まる準々決勝まで進行。混合ダブルスは中国から4ペア出場しているので、メダルへの道のりはなかなか険しい。日本の2ペア、まずは3回戦突破を目指す。
今大会、日本選手団のホテルは、会場のあるリーヴァ・デル・ガルダから4キロほど離れたアルコという小さな街にある。

このアルコの街を見下ろす、急峻(きゅうしゅん)な崖の上にそびえ立っているのが「カステッロ・ディ・アルコ(アルコ城)」。街のどこからでも見えるシンボル。初戦となる団体第2ステージを控えた日本男子チームも大会初日に登ったという、このアルコ城を訪れてみた。

アルコ城までは、オリーブの林に囲まれた険しい道を25分ほどの道のり。眺望は抜群で、リーヴァ・デル・ガルダの会場周辺、キラキラと輝く大きなガルダ湖まで見渡すことができる。この数日、地下のサブアリーナや練習会場を駆け回っていましたが、抜けるような青空の下、気持ち良い汗がかけました。これでリフレッシュして、明日からの個人戦・決勝トーナメント、しっかり取材します。
  • 崖にへばりつくように建っているアルコ城

  • この小さな階段が登山の入り口

  • 次第に見晴らしが良くなっていく

  • 文字が刻まれまくった、かわいそうなサボテンが…

  • ついにアルコ城に到着

  • 日本男子がミーティングをした芝生の広場

  • 奥に光っているのが会場に近いガルダ湖

  • 夜はライトアップされて、お伽の国のよう

昨日の女子団体決勝3番で、前回女王の石洵瑶から勝利を挙げた長崎美柚。3番長崎の起用について、渡邊監督は同じ左腕の早田(ひな)がT2リーグで石に勝っていたこと、今年の香港ジュニアオープンで長崎/木原ペアが石洵瑶/銭天一ペアを破っていたことを挙げた。
「試合前、5試合ある中で一番勝つ確率が高いのは長崎だぞと伝えていた。こちらが向かっていって、相手にプレッシャーがある中なら五分五分で戦えると」(渡邊監督)。

左腕から放つ回転量の多い両ハンドドライブが武器の長崎だが、7月のアジアジュニアで中国勢と対戦した時、チキータの処理に苦しんだ。それからJNT合宿では、対チキータのブロックやカウンターを相当やり込んだという。

大会前の合宿でも、合宿に参加していたプエルトリコのA.ディアスやタイのサウェータブットにチキータをしてもらい、それをカウンターする練習を積んだ。実際に石洵瑶戦でも、相手のチキータを怖れずにカウンターで攻めることができていた。

同時に長崎は、自分からチキータで攻める展開の練習にも取り組んだ。10月のJNT合宿での課題は「どんなサービスを出されてもチキータで攻められること」。「本人もチキータにはある程度自信を持っていたと思う。その部分は石洵瑶戦でもうまく出せていましたね」(渡邊監督)。

現時点では台上の細かい展開よりも、先にチキータで攻めて、あるいはチキータさせてそれを狙って、上回転のラリーに持ち込んだほうが長崎の良さが生きる。JNT合宿での強化が、金星として実った一戦だった。
昨日の女子団体決勝、孫穎莎と王曼昱という中国の二枚看板に対し、果敢に挑んだ加藤美優。結果的には2敗を喫したが、孫穎莎のサービスが長くなるところをすかさず打ち抜き、フォアのスマッシュも交えて応戦したプレーは迫力があった。横で一緒に写真を撮っていた韓国のカメラマン、アン・ソンホさんが「カトーミユ、ベリーストロング!」と言ってくれた。

1学年下に平野美宇・伊藤美誠・早田ひなという「黄金トリオ」がいる加藤。昨年も世界ジュニアに出場した加藤だが、団体戦の出場機会は準決勝の香港戦3番の1試合のみ。過去に出場した12・13年大会でも、決勝で彼女の出番はなかった。

しかし、最後の世界ジュニアとなる今大会、決勝トーナメントでは常に2点起用。「加藤は自分の経験や、『この大会で勝ちたい』という気持ちをチームに持ち込んでくれた。勝ちたいという気持ちは一番強かったと思うので、チームを引っ張ってくれましたね」と決勝後に渡邊隆司監督は語った。
「ベンチでも進んでビデオを撮ったり、水の受け渡しのような些細なところまで気がついて、チームを支えてくれた。卓球の実力以外の部分でも引っ張ってくれたので、すごく助かりました」(渡邊監督)。

加藤が出場した大会で、すぐに思い出されるのが中国・南京で行われた14年ユース五輪。シングルス準決勝・3位決定戦で相次いで敗れてメダルを逃し、心身ともにボロボロという状態で混合団体を戦い抜き、銀メダルを獲得した。当時はまだ自分のことで精一杯だった少女が、今大会では多くの面で成長を証明している。

団体決勝で中国を破ることができず、落胆を隠せなかった加藤だが、まだ個人戦でリベンジのチャンスはある。気持ちを切り替えて、明日以降の試合に臨んでもらいたい。
  • キャプテンとしてチームを引っ張った加藤

  • ちょっと懐かしい一枚。14年ユース五輪で混合団体決勝進出を決め、涙

  • ベンチからも大きな声援を送る

●女子シングルス予選リーグ
木村 2、2、3、5 ジェジク(アルジェリア)
木村 10、−9、5、10、6 周穎詩(香港)
木村 2、5、3、7 カウル(オーストラリア)

女子シングルス予選リーグ、4人のリーグに入った木村光歩(山陽女子高)は、こちらも3連勝でリーグ1位通過。団体第2ステージの香港戦3番で勝利した周穎詩に1ゲームを取られたが、ジュースまでもつれた1・4ゲーム目を取って4−1で勝利した。

その他の2試合は実力差は歴然。渡邊隆司監督も「すごくよく切れている」と評するフォアの巻き込みサービスでサービスエースの山を築き、バック面の変化系表ソフトから繰り出す変化球に、対戦相手は全く対応できなかった。

団体第2ステージの香港戦では、トップ加藤が敗れる波乱の展開の中、3番でストレート勝ちを収めてチームの危機を救った木村。団体決勝トーナメントでは出場機会がなかったが、チームのお姉さん的存在となっている。勝負度胸の良さは折り紙付き。個人戦3種目で大いに暴れてもらいたい。
  • 威力を発揮した木村のサービス

  • リーグ初戦で木村と対戦したジェジク

●男子シングルス予選リーグ
田中 9、−7、5、−7、5、11 オプレア(ルーマニア)
田中 6、−9、8、3、6 チャンドラ(インド)

団体戦の殊勲者、田中佑汰が男子シングルスの予選リーグに登場。2連勝でリーグ1位通過を決めた。

10時スタートの初戦がルーマニアの3番手オプレアというなかなか厳しい相手。左腕から放つ両ハンドドライブに威力があり、ループドライブもクセ球だった。ゲームカウント3−2の6ゲーム目、7−2と大きくリードし、さらに10−8のマッチポイントから10−11と逆転されたが、再び逆転して13−11。ここで踏みとどまり、最終ゲームに持ち込まれる前に決着をつけた。
  • 朝一番の難しい試合を乗り切った田中

  • オプレアの実力はなかなかのもの

  • 田中のベンチに入った董崎岷コーチ

●混合ダブルス1回戦
田中/長崎 7、5、3 スペルブス/ザハリア(ルーマニア)
高見/木村 2、4、6 イシダ/リマ(ブラジル)
●混合ダブルス2回戦
田中/長崎 4、7、−2、5 ドヴォス/ルン・リサ(ベルギー)
高見/木村 −9、6、8、8 Ma.ムッティ/ロウレンティ(イタリア)

昨日の男女団体決勝の前に行われた、混合ダブルス1・2回戦の結果は上記のとおり。高見/木村が、アンチラバーを駆使するロウレンティのクセ球に1ゲームを落としたものの、2ペアとも確実にベスト16入りを果たした。

大会第5日目の11月30日は男女シングルスの予選リーグで、混合ダブルスの試合はなし。大会第6日目の12月1日夜に混合ダブルス3回戦が行われる。田中/長崎は薛飛/王曼昱(中国)、高見/木村は安宰賢/金智淏(韓国)という強豪国のエースペアとの対戦だ。
  • ベスト16進出を決めた高見/木村

  • ロウレンティ(右)がクセ球を放っていたイタリアペア

  • 高見/木村のベンチに入った山梨有理さん。思い出します、石垣さんとの名ダブルス

  • 田中/長崎は次戦で中国ペアとの対決だ

男女団体とも2位で表彰台に立った日本チーム。大会は明日から個人戦に入る。

男子チームの田勢邦史監督は、試合後のホテルでのミーティングで、「個人戦は種目を問わず、まず中国と対戦するところまでは負けないこと。そして中国と当たったらひとつでも多く勝つことを目指していこう」と選手たちに語りかけた。

「今回、田中が初めて中国選手と対戦しましたが、やってみないと自分の足りない部分もわからない。どの種目でもいいから中国選手と対戦して、今後につなげてほしい。そのためにも、中国と当たるところまでは最低限勝ち上がってほしいですね」(田勢監督)。

明日は男女シングルスの予選リーグが進行。2位以上が決勝トーナメントに進むリーグ戦に、まず田中佑汰と木村光歩が出場する。きっちり1位通過で、弾みをつけていきたい。
  • 表彰台での日本女子チーム

  • こちらは日本男子チームの表彰

  • ちょっと斬新な国旗掲揚。男女とも1・2・3位の顔ぶれは同じ

  • 個人戦で中国を破り、頂点に立つぞ!

●男子団体決勝
〈中国 3−0 日本〉
○薛飛 −9、3、8、9 木造
○王楚欽 6、−8、6、6 田中
○徐海東 6、9、4 高見

過去の世界ジュニアでは、05年リンツ大会の決勝で唯一中国を破っている日本男子チーム。しかし、この時の中国チームは北京市チームの若手が主体で、ベストメンバーとは言い難い陣容だった。今大会、間違いなくベストメンバーの中国と決勝で激突し、中国から12年ぶりの勝利を目指したが、その果実は近いようで遠かった。

試合後、田勢監督はトップ木造対薛飛の一戦について、「3ゲーム目、4ゲーム目も7−7や8−8というところまでは持ち込んでいるのに、そこからミスが出た。的確にポイントできていれば、勝つチャンスは十分あった」と振り返った。試合の序盤でフォア前へのサービスにうまく対応し、1ゲームを先取した木造だが、その後が続かなかった。

2番田中は、出足からあまいサービスは王楚欽に一発で打ち抜かれる。初めて対戦する相手のサービスを強く狙い打てる、王楚欽の選球眼は素晴らしいものだ。逆に田中は初対戦ということで1ゲーム目はペースをつかめなかったが、1ゲーム目の終了後、ベンチで田勢監督に「まずは田中の得意なところからはじめて、レシーブもチキータから入ってバックで先手を取っていこう」とアドバイスされ、2ゲーム目は6−0とリード。このゲームを11−8で奪ったが、その後は王楚欽にうまくフォアサイドを攻められた。

3番高見は徐海東からゲームを奪うことはできず。「徐海東に対しては、まず台上で先手を取り、ラリーではバックサイドが強いのでミドルをうまく使い、バックサイドに打つ時は強く攻めるという作戦でした」(田勢監督)。しかし、試合の序盤でフォア前へのサービスをうまく処理されてからサービスに迷いが生じ、反撃の狼煙(のろし)を上げる前に0−3で押し切られた。

団体戦でMVP級の活躍を見せた田中は、「団体戦でのプレーは、かなり自信になりました」とコメント。「決勝前は対策練習をしていたので、その成果をできる限り出すことと、あとはいつもどおりのガッツを出して向かっていくことを心がけました。2ゲーム目を取れた要因は、レシーブからの展開が良くなったことです」(田中)。今大会で飛び出したニューヒーローは、明日のシングルス予選リーグで個人戦にデビュー。大会期間中にどこまで伸びるのか、楽しみだ。
  • 男子団体決勝トップで薛飛に惜敗した木造

  • 田中、敗れたとはいえ存在感を示した団体戦だった

  • 髙見、徐海東からゲームを奪うことはできず

  • 一発の威力を見せつけた王楚欽

  • 中国男子、これで2大会ぶり13回目の優勝

●女子団体決勝
〈中国 3−1 日本〉
○孫穎莎 4、−11、6、9 加藤
○王曼昱 9、2、−8、5 木原
 石洵瑶 −9、−9、7、−6 長崎○
○王曼昱 5、7、12 加藤

日本はトップにエース加藤、2番木原、3番長崎という決勝トーナメントでは不動のオーダー。一方の中国も予想どおり、ツインエースの孫穎莎と王曼昱を2点起用してきた。

加藤対孫穎莎は、ともにレシーブからあまいボールは厳しく攻め、見応えあるラリーを展開。しかし、世界ランキングでも上位の加藤のサービスは、中国にかなり研究されている感があった。ゆっくり飛んできてリズムの取りにくい加藤のサービスを、孫穎莎は果敢に攻めてきた。また、フォアに厳しく攻められたボールをフォアストレートに打ち返す一撃は、孫穎莎ならでは。日本の女子でこのボールが打てる選手はなかなかいない。

2番王曼昱対木原は、王曼昱が木原のバック表ソフトの変化を避け、フォア前への巻き込みサービスとバック深くへのロングサービスのコンビネーションで勝負してきた。木原としては9−8とリードした1ゲーム目、相手の中陣でのしのぎの打ちミスと、高く浮いたレシーブへの3球目攻撃のミスが続き、9−11で落としたのが惜しまれる。

しかし、日本は3番長崎が前回女王の石洵瑶を破る。1ゲーム目に4−8とリードされながら、回転量の多いバックドライブとフォアのカウンタードライブを武器に追いつき、最後はナックルサービスで石のレシーブミスを誘った。2ゲーム目も8−3と長崎がリードし、石もチキータを狙い打って9−8まで挽回したが、最後は10−9から長崎のチキータが決まって11−9。

3ゲーム目は中盤で逆転されて落とした長崎だが、4ゲーム目は中盤で6−2とリード。安全にクロスに入れてきた石の両ハンドを狙い打ち、7−4、9−5とリードを広げ、11−6で勝利を収めた。

3番で石洵瑶が劣勢に陥る中、ベンチでうずくまっていた王曼昱。かなりプレッシャーを感じている様子だったが、コートに入れば回転量の多いバックドライブを武器にじっくり攻めてきた。3ゲーム目、加藤も10−7でゲームポイントを握り、ここから反撃したかったが、王が14−12と逆転して優勝を決めた。優勝に大きなアクションも見せず、淡々とベンチへ戻っていった王曼昱。すでに世界ジュニアの女子シングルスで2連覇、団体でも3連覇を経験している彼女にとって、団体でのタイトル奪還を託された今大会は「得るものはなく、失うものは多い」大会なのだろう。

日本女子、敗れたとはいえ中国に今大会で初めて土をつけ、中国のライバルとしての存在感を改めて示した。続く個人戦で中国にリベンジだ。
  • 前回女王の石洵瑶を下した長﨑

  • ベンチに戻り、笑顔でタッチ!

  • 惜しくも2敗の加藤だが、エースとして準優勝に大きく貢献

  • 中国にも通じるスケールの大きさを感じさせた木原

  • 王曼昱は相当気合いが入っていた