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平成29年度全日本選手権速報

平成29年度全日本卓球選手権・最終結果

★男子シングルス
優勝:張本智和(JOCエリートアカデミー)
2位:水谷隼(木下グループ)
3位:森薗政崇(明治大)
3位:松平健太(木下グループ)

☆女子シングルス
優勝:伊藤美誠(スターツSC)
2位:平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)
3位:石川佳純(全農)
3位:永尾尭子(アスモ)

★男子ダブルス
優勝:水谷隼/大島祐哉(木下グループ)
2位:上田仁/吉田雅己(協和発酵キリン)
3位:宇田幸矢/張本智和(JOCエリートアカデミー/大原学園・JOCエリートアカデミー)
3位:藤村友也/吉村和弘(日鉄住金物流/愛知工業大)

☆女子ダブルス
優勝:早田ひな/伊藤美誠(日本生命/スターツSC)
2位:梅村優香/塩見真希(四天王寺高)
3位:田代早紀/前田美優(日本生命)
3位:佐藤瞳/橋本帆乃香(ミキハウス)

★混合ダブルス
優勝:森薗政崇/伊藤美誠(明治大/スターツSC)
2位:軽部隆介/松本優希(シチズン時計/サンリツ)
3位:大島祐哉/早田ひな(木下グループ/日本生命)
3位:吉村真晴/石川佳純(名古屋ダイハツ/全農)

★ジュニア男子シングルス
優勝:張本智和(JOCエリートアカデミー)
2位:宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)
3位:戸上隼輔(野田学園高)
3位:金光宏暢(大原学園高)

☆ジュニア女子シングルス
優勝:長崎美柚(JOCエリートアカデミー)
2位:塩見真希(四天王寺高)
3位:大藤沙月(ミキハウスJSC)
3位:木原美悠(JOCエリートアカデミー)

詳しい報道は卓球王国4月号(2月21日発売号)に掲載します。
ご期待下さい!
 男子シングルス決勝で2−4で敗れ、10回目の全日本選手権優勝はならなかった水谷隼。表彰式後の会見で、「1ゲーム目が本当に大事だと思っていたけど、そこを落として相手に流れがいってしまった。張本は思いきってやってきたのに、むしろ僕のほうが縮こまっていた」と試合を振り返った。

 「フォアサイドに来るチキータやバックハンドでの攻撃は想定していたけど、想定を上回っていて、最後まで対応できなかった。5ゲーム目は追い込まれていたので開き直ってやれたけど、6ゲーム目にはまた勝ちたいという気持ちが出てしまって、リラックスしてプレーできなかった。
 張本は一つひとつの技術の精度や、フォアハンド・バックハンドの威力が上がっている。ぼくも守っているだけでは勝てない。
 決勝で勝てなかった悔しさはありますけど、自分のプレーは出し切ることができました。12年連続で決勝にいくことができて、張本とやることができたのはうれしさもある。今回の全日本が本当に自分にとってのスタートなので、これをバネにまた頑張っていきたいです」(水谷)

 水谷の会見では、張本のプレーや印象についての質問が集中した。その質問に対して、水谷は冷静にプレーの印象を語り、飾ることも強がることもなかった。敗れたとはいえ、王者らしい態度を見せた。
 「今日試合した感じでは、今までたくさん中国選手とやってきましたけど、彼らと同じレベルにあると感じました。今日の彼のプレーが特別なものではなく、普段どおりの実力なら、これから何回やってもボクは勝てない。一番脅威なのはやはりバックハンド。最近世界でもバックハンドがうまい選手が台頭しているけど、張本のバックハンドは中国の樊振東と同等に脅威だと思う。
 バックハンドはぼくのフォアへ逃げていくし、それ自体を返せなかったり、やっと返しても次で決められる。打球点もコースも厳しく、間違いなく世界トップレベルの技術です。今日の張本は去年の全日本選手権や、世界選手権よりも数倍強かったし、僕以外の日本選手も勝てないですね」

 「純粋に、張本が出てくる前に自分がたくさん優勝しておいて良かったと思いました。今まで全日本選手権で数十試合やってきて、一番しんどい試合でした」。会見の終盤ではそんな言葉も飛び出した水谷だが、時に日本男子の中で孤軍奮闘の感もあった彼が、若きライバルの出現を歓迎しているという雰囲気も感じられた。本人も語っているとおり、2020年東京五輪に向け、ここからリスタートだ。
表彰式後の張本の会見でのコメント。
興奮することもなく、記者の質問に淡々と答えている。
4種目を戦い抜いた張本は、さすがに疲れた様子だった。

「一番の目標だった一般シングルスで優勝できてうれしいです。水谷さんに対しては、前回勝った世界選手権のように攻めて攻めて行こうと思っていたので勝ててうれしい。
1ゲーム目をギリギリで取れたのが良かったです。水谷さんは簡単には勝たせてくれないし、3ー1とリードしてから取られた。水谷さんは今も尊敬する選手です。
お父さんには一番感謝してます。去年の全日本で負けてからもずっとコーチをしてくれていたし、この瞬間を待っててくれた。
自分が良い時でも悪い時でもやさしく接してくれて、3−1、3−2になった時も焦らずに今までのプレーをすれば絶対勝てると言ってくれました。

プレーはできるだけ前陣でドライブやカウンターで押して、もしそこで負けて下がっても五分五分になるラリーもできるようにしてきました。

一番の得意技術のバックハンドは全体的に良かった。自分でも信じられないくらい決まったものもありました。バックハンドが良いところに入ったから、水谷さんもプレッシャーを感じてくれたと思います」(張本)
●男子シングルス決勝
張本智和(JOCエリートアカデミー) 9、5、-8、2、-6、5 水谷(木下グループ)

恐るべき14歳、張本智和が絶対王者・水谷隼を下して初優勝!
水谷のフォアサイドを切る前陣バックドライブを、最後まで打ち続けた!

さらに3球目での回転量の多いループドライブ、フラットに叩くフォアのカウンターパンチなど、多彩な技術を披露した。水谷も2ゲーム目に5−8のビハインドから、張本のクロスへのバックドライブをストレートにカウンターし、ここから6点連取で11−8と逆転。さすがの勝負勘を見せたが、4ゲーム目も高い打球点から両ハンドを振る張本が、なんと水谷を10−1でリードし、11−2で優勝に王手をかける。

 水谷にも王者のプライドがある。5ゲーム目は出足から声を出し、ロングサービスでのエースにロビングからの反撃など、11−6で取り返す。会場も水谷への声援は多かったが、6ゲーム目に入る前にタオルをバンバン叩き、気合いを入れ直した張本。3−3から9−3と一気に突き放し、10−4でチャンピオンシップポイント。そして10−5でフォアクロスのフォアドライブを決め、ベンチの父・張本宇コーチへ猛ダッシュ。歓喜の優勝を果たした!
 

★張本智和の優勝会見
「今まで優勝をやってきた中で一番最高の瞬間です。世界選手権の後、2回目の対戦で、決勝の舞台では相手のほうが経験値は上なんですけど、思い切って攻めて勝つことができて本当にうれしいです。準決勝までは全然消極的だったんですけど、決勝は失うものがないので思い切りいきました。今まで卓球をやってきた中で、1、2番を争う良いプレーでした。

水谷さんは逆転されてもおかしくない相手だったので、気を引き締めてやりました。実力がついてきた実感はあるので、毎試合メンタルには気をつけていた。
全日本の決勝は初めての舞台なので緊張しましたけど、声を出して緊張はだんだん少なくなってきました。この一戦で燃え尽きていいというプレーをしたかった。

(2020年に向けて)ここで優勝できたので、もっともっと成長のスピードは速くなると思う。あと2年くらいしかないですけど、海外の選手にももっと勝てるようになって、2年後またここに戻ってきて、金メダルをふたつ取れるように頑張ります」
 女子シングルス決勝は、時折長く続くスーパーラリーもあるものの、特に序盤は3球目から5球目までで決着がつく速攻戦だった。平野は試合後の会見で、「サービス・レシーブで負けてラリーに持ち込めなかった」と語った。

★平野美宇の決勝後の会見

「優勝できなくてすごく残念です。大会前から優勝を目指してやってきて、決勝まで来られてホッとしている部分もあるけど、でも残念ですね。
 美誠ちゃんには1年くらい前の対戦では勝つことが多かったんですけど、久しぶりにやってすごく強くなっていた。サービス・レシーブで負けてラリーに持ち込めなかったのがダメだった。美誠ちゃんは前よりラリーで返してくることが多くなって、有利だったラリーで五分五分、そしてサービス・レシーブで勝てなかったという感じです。4ゲーム目はもう後がなくて、1本ずつ頑張ろうと思った。サービスも効いて取ることができたけど、5ゲーム目でまた慣れられてしまった。

 美誠ちゃんとは小さい頃からずっと試合をしてきて、切磋琢磨してお互い決勝まで来られたのは良かったけど、また勝てるようにがんばりたい。昨年は自分でも良い一年だったけど、周りのレベルもどんどん上がっている。自分ももっと進化しないといけない。東京五輪までは時の経つのが早く感じます。リオ五輪には出られなかったので、今度は出られるように頑張りたい」
  • ベンチでコーチのアドバイスに聞き入る平野

●女子シングルス決勝
伊藤美誠(スターツSC) 7、9、2、−5、6 平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)

全日本選手権の新女王は伊藤美誠!
平野美宇とのライバル対決を制し、女子ダブルス、混合ダブルスとの3冠を獲得!

1ゲーム目から、伊藤は常に集中力の高いプレー。1ゲーム目5−7とリードを縷々したが、ここから一気に6点連取。逆回転チキータからストレートに小さく叩く「みまパンチ」も見せた。2ゲーム目以降も、ややプレーが消極的で、クロスに集まる平野の返球をカウンターで積極的に狙い打つ。

そして効果的だったのは3球目で放つバックドライブだ。表ソフトでありながら、その決定率は裏ソフトのバックドライブをはるかにしのぐ。平野のフォアサイドを切る厳しいコースで、回転量も多かった。これまではリスクを負って回り込んでいたボールも、3球目バックドライブで威力ある攻撃ができることで、失点が減った。

2ゲームを連取した伊藤は、3ゲーム目もまったく手綱をゆるめず、一気に突っ走る。5−0でフォアクロスにフォア強打を放った後、平野に超高速カウンターを食らいながら待ち構え、バックブロックで返球して得点。調子が良い時はポンポン得点するが、不用意なミスから崩れたり、流れを失う昨年までの姿はそこにはなかった。10−0まで一気に離し、サービスミスで平野に1点を譲ったが、11−2で奪取する。

4ゲーム目は平野がフォアから出すサービスに切り替え、伊藤に終盤でミスが続いて平野が奪うが、5ゲーム目も伊藤の集中力は落ちない。4−3からバック表ソフトの逆チキータや低いチキータなどで一気に9−3まで突き放し、最後もバックストレートの3球目バックドライブを鮮やかに決めた!!

★伊藤美誠の優勝インタビュー

「ミックスダブルスと三冠がかかった試合。思い切ってできたのが一番だし、ものすごくうれしいです。一昨年の全日本準決勝で4−0で負けている選手なので、全日本の借りを返すのは全日本しかなかった。去年の全日本であまり結果が良くなかったので、なんとしても優勝したいという思いで頑張りました。去年の失敗を起こさないように、試合に励んでいました。おもったよりバックドライブが効いて、ミマパンチも決まっていたかな。決勝の舞台にシングルスで立つのも初めてで、7千人のお客さんに試合を見てもらえて幸せです」
 好調の森薗政崇をストレートで下した張本智和。試合後、森薗は「張本はストップのタイミングが他の人より遅いのに、ピタッと止めてくる。遅いから台から下がると短く止まってきて、それで先手を取れなかった」と語った。見ていても張本はやや打球点を落としたところから、キュッと回転をかけてバックストップをコントロールしている。ほぼ同じ体勢から、チキータとストップの二段構え。張本のバックハンドの、類い希なセンスを物語るプレーだろう。以下は決勝後の張本のコメント。

「決勝まで行って水谷さんとやるのが目標だったので、勝てて良かった。準決勝は自分の一番良いプレーではなかったけど、決勝に向けてそこを修正していきたい。今年は全種目で上位にいけた。去年は不本意な成績だったけど、あとひとつ勝って有終の美を飾りたい。前回(世界選手権)では水谷さんに勝つ確率は5%と言ったんですけど、今は50%対50%だと思うし、自分のパフォーマンスを出したほうが勝つと思う」(張本)

 敗れた森薗はシングルスで初の表彰台となったが、「今大会は4強までいけたけど、格上に勝っていない4強」と語った。「ぼくもチキータには自信があるけど、張本くんのように3球目とかラリーでうまく使えない。それはぼくも取り入れていきたい」と前向きに語った。大学生活最後の全日本で、シングルス3位、混合ダブルス優勝という好成績を残した森薗。最後に喫した敗戦のショックは小さくないはずだが、これを糧に、若きサムライのさらなる成長に期待したい。
  • 張本は水谷の待つ決勝へ

  • 張本のに完敗も初の表彰台を決めた森薗

●男子シングルス準決勝
張本智和(JOCエリートアカデミー) 7、8、8、8 森薗政崇(明治大)

張本智和、水谷に負けじと、森薗を4−0のストレートで撃破!
ついに決勝へと駆け上がった!!

1ゲーム目、張本のチキータを警戒する森薗に対し、ストップとツッツキをうまく使った張本。1ゲーム目を奪うと、2ゲーム目以降もチキータにストップ・ツッツキをうまく混ぜて森薗の3球目攻撃を封じる。そして攻撃では、やはりバックハンドの技術力が圧倒的だった。クロスへの快速バックドライブに、非常に打球点の早いストレートへのプッシュ、さらに強打を何本でも跳ね返すブロックで森薗を攻略した。森薗もチキータを封じる低くすべるようなサービスを使い、勝負所ではフォアフリックで台上から勝負したが、中盤で許したリードを挽回しきれない。

張本が3−0とリードした4ゲーム目も、張本は5−2、6−4とリード。やや勝利を意識したか、サービスミスなどが出て9−8となるが、10−8でマッチポイントを握ると、バックストレートに強烈な3球目バックドライブを突き刺した!
バックハンドの強さだけでなく、サービス・レシーブからラリー展開まで、そのバックハンドを生かすシステムを確立しつつある張本。恐るべき強さ。決勝では絶対王者・水谷との一大決戦だ!
  • 張本、森薗を完封

  • 水谷が待つ決勝進出を決めた張本

 昨日の準々決勝で兄・賢二との兄弟対決を制し、準決勝に進出した松平健太。その打球センスを随所に披露しながらも、水谷の壁は厚かった。以下は試合後のコメント。

「攻めていたんだけど、連続攻撃をさせてもらえなかった。良い打球点で連続攻撃できていたら変わっていたかもしれない。水谷さんは両ハンドが強いので、ミドルを中心に攻めました。サービス・レシーブもうまいけど、そこを崩さないと勝てないので、意識しながら試合をしていました。
 同じ木下グループなので、年始から2週間ずっと練習はやっていました。今日はプレーする位置がよくなかった。水谷さんがいくらでも返してくる位置だったので、もっと前でプレーしないと勝てない。改めてどの位置でプレーするかが大事だと感じました」(松平)。
●男子シングルス準決勝
水谷(木下グループ) 5、8、8、10 松平(木下グループ)

男子シングルス決勝の切符、1枚目はやはり水谷隼!

 1ゲーム目、出足の探り合いで4-4から、一気に水谷が10-4まで離し、11-5で水谷が取る。健太に打たせて、それを狙う水谷にミスがない。
 2ゲーム目、水谷がリードのまま、8-6。8-7から水谷の3球目バックドライブで9-7。最後も健太のドライブを狙い打ち、水谷が11-8でゲームを連取。

 3ゲーム目、4-2で健太がリード、5-3、8-4から8-7になったところで健太ベンチの坂本竜介コーチがタイムアウト。次を水谷が取り、8-8に追いついた。ここで回り込んでフォアドライブ、9-8とひっくり返し、11-8で逆転。水谷は4-8からの7本連取で決勝進出に王手をかけた。
 4ゲーム目、7-5と健太がリードするも水谷が8-7と逆転。8-8、9-9、ここで水谷が3球目バックドライブを決め10-9でマッチポイントを取るも10-10。最後はブロックでしのぎ、12-10で水谷がストレートで勝利した。
 これで水谷は12年連続決勝進出を決めた。

★水谷のコメント
「3ゲーム目が勝負でした。4-8から逆転して取れたのが大きかった。あの時は1本1本集中するだけでした。台から下げられるとパワーのあるボールを打たれてしまうので、できるだけ前でブロックとカウンターで積極的に攻めました。決勝は自分のステージなので、最高のパフォーマンスを発揮したい」