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平成30年度全日本選手権速報

 大会第2日目の1月15日、会場ではまずジュニア男子2回戦と女子ダブルス1回戦が行われている。報道陣の注目は小学5年生の松島輝空。記者席は松島の試合の時だけ、にわかに人が増える。今日のタイムテーブルは下記のとおり。

9:30〜 ●ジュニア男子2回戦/女子ダブルス1回戦
11:50~ ●混合ダブルス3回戦/男子ダブルス1回戦
12:25~ ●ジュニア女子3回戦
13:35~ ●ジュニア男子3回戦
14:45~ ●女子ダブルス2回戦
15:20~ ●男子ダブルス2回戦
16:30~ ●女子シングルス1回戦
18:50~ ●混合ダブルス4回戦(ベスト8決定戦)

ジュニア男女3回戦では、男子の宇田(JOCエリートアカデミー/大原学園)、戸上(野田学園高)、女子の長崎(JOCエリートアカデミー/大原学園)、出雲(遊学館高)、大藤(ミキハウスJSC)、相馬(遊学館高)、木原(JOCエリートアカデミー)など優勝候補が続々登場。特に女子はレベルが高く、戦型も多彩で興味深い。

女子シングルスは16時30分から1回戦がスタート。そして今日の最終戦は混合ダブルスのベスト8決定戦となる4回戦だ。
  • ジュニア女子で2連覇に挑む長崎。張本との混合ダブルスにも出場

●ジュニア女子2回戦・主な結果
桑原(正智深谷高) −3、6、−8、9、6 三浦(四天王寺高)
小塩(JOCエリートアカデミー) 2、7、7 由本(貝塚二中)
篠原(松山卓球教室) 9、9、4 杉田(香ケ丘リベルテ高)
小林(大成女子高) 9、−6、9、8 山崎(明誠U15)
皆川(神須学園高) 9、6、3 米田(県立秋田高)
張本(木下グループ) −8、7、−10、4、9 中田(絵)(愛知みずほ大瑞穂高)
東川(貝塚二中) 8、6、9 佐藤(大東中)
浅井(桜丘高) 3、4、8 伊藤(ヴィスポことひら)
木村(正智深谷高) 8、10、11 大川(四天王寺高)
工藤(五所川原商業高) −9、0、6、7 高橋(宇都宮文星女子高)
中森(ミキハウスJSC) 5、9、6 冨田(敦賀高)
原田(横浜隼人高) 5、7、6 大久保(札幌大谷中)

ジュニア女子は、男子に先駆けて大会初日に2回戦が終了。主な結果は上記のとおり。長崎(JOCエリートアカデミー/大原学園)、出雲(遊学館高)、大藤(ミキハウスJSC)、相馬(遊学館高)、木原(JOCエリートアカデミー)など、スーパーシードの選手たちは明日の3回戦から登場する。

今日、4試合目を迎えた小学4年生の張本美和は、バック面に変化系表ソフトを貼る中田に逆転勝ち。相手の変化のあるバックハンドに一歩も退かず、バック対バックの展開にも冷静に対応。ゲームカウント2−2の最終ゲーム、10−6のマッチポイントから10−9まで追い上げられたが、ここでフォア前へのサービスにフォアフリックを一閃。相手のバックのコーナーを突く、必殺の一撃が見事に決まり、大会初日を4戦4勝で締めくくった。

試合後、最終ゲーム10−9からのフォアフリックについて、「自分も入るかどうかわからなかったので、負けるんだったら自分の持っているものを全部出そうと。ミスしても、入っても、勝っても負けてもという気持ちでフォアフリックを頑張って打ちました」と語った張本美和。試合の終盤はブロックのミスが多く、勝利へのプレッシャーが伝わってきたが、最後の最後で見せた勝負師の素質は、兄に勝るとも劣らない。

「練習してきたことを全部出すのを目標にしていたので、最後それがちゃんとできて良かった。数は少ないのですが、大事なところでフォアフリックが決まった。前は自信がなかったんですけど、今大会は自信を持って使えて、最後は入ったことが良かったです。すごく有名な強い選手がたくさんいる中で、私は一番小さいし、一番弱いので、全力で頑張りたい」(張本)。ジュニアはベスト8、一般はひとつでも多く勝ってベスト16か32が目標だという張本。明日のプレーにも注目したい。
  • 大会初日、見事な全日本デビューを果たした張本美和

  • ベンチの孫雪コーチと握手

大阪府予選の混合ダブルス5枠のうち、最終5番目に滑り込んだ和田貴稀・三條裕紀(中央大・青山学院大)。
サービスの名手同士のペアは、ほとんどが3球目以内に終わる超速攻ラリーで2回戦を突破した。

男子の和田はブチ切れの下回転とナックルの縦回転の変化、女子の三條は巻き込みとバックサービスの横回転の変化。それぞれ異性に(和田は女子に、三條は男子に)効くサービスで、3球目は強振で打ち込む。リスクのあるスタイルだが、ハマった時の強さはすごい。

「お互いサービスエース狙いです。ぼくは、ハオ師(中国)みたいな縦の変化で・・・いや、許昕にしておいてください(笑)」と和田がいえば、
「カッコつけないで!ペンじゃないし。でも私が和田さんを誘ってペアを組みました。誰もいなかったし(笑)」と三條がツッコミを入れる。

2歳年下の三條にたじたじの和田だが、「たぶんこれが最後の全日本だと思います。だからもう少し頑張りたい」とコメント。今春からはメーカーのVICTASに就職予定の和田。集大成の試合を見せている。
  • 和田はタテの「フワフワ」変化サービス!

  • 三條はヨコの変化サービスで相手を翻弄

●混合ダブルス2回戦
森薗/伊藤(岡山リベッツ/スターツSC) 8、8、4 下山/木村(原田鋼業/中国電力)
田添健/浜本(木下グループ) 7、8、9 宮川/徳田(野田学園高/萩光塩学院)
森田/平(シチズン時計/サンリツ) 2、4、7 高橋/向山(JOY)
吉村/石川(名古屋ダイハツ/全農) 9、10、-8、5 菅沼/梅村(明治大/中央大)
吉田/加藤(岡山リベッツ/日本ペイントHD) 1、5、8 二木/後藤(駒澤大/中央大)
星/張本(仙台ジュニアクラブ/木下グループ) 7、-6、2、5 定松/田尻(鹿児島相互信用金庫)
張/森薗(Y.Y卓球クラブ/TOP名古屋) -9、5、5、7 手塚/馬場(静岡学園高/デンソー)
張本/長崎(JOCエリートアカデミー/JOCエリートアカデミー/大原学園) 1、6、6 渡辺/高橋(明豊高)
軽部/松本(鹿児島相互信用金庫/サンリツ) -10、7、1、8 佐藤/米満(明治大/木更津総合高)

混合ダブルスは1回戦に続いて2回戦が行われ、森薗/伊藤、吉村/石川、張本/長崎など優勝候補のペアは軒並み3回戦へと勝ち上がった。

やや苦しんだのは、現世界チャンピオンペアの吉村/石川。1ゲーム目は中盤で大きくリードされ、2ゲーム目は8−10で先にゲームポイントを握られたが、3−1で勝利。試合後、石川は「今日は2ゲーム目に挽回できたけど、1−1だったらもっと苦しい試合になっていた。でも、あまり守りに入らず、自分たちのプレーをしっかりしていくうちに調子が上がっていくと思うので、攻めの姿勢を崩さずに戦っていきたい」とコメントした。

一方の吉村は、両ハンドドライブの威力は相変わらず。Tリーグを戦い終えてから全日本に向けて調整し、ボールの違いにもしっかりフィットして大会に臨めているという。混合ダブルスのみならず、シングルスでも自力で世界選手権の代表権を勝ち取るため、優勝というハードなミッションにチャレンジする。

「世界代表を勝ち取るためのシングルス優勝がひとつの大きな目標。良い状態で大阪に入ることができて、自信を持って臨めているので、『吉村真晴はまだ生きてるぞ』というところをファンの皆さんに見せられるように頑張りたい」。世界ランキングの変動が大きくなる中、吉村の世界ランキングは28位で、張本・丹羽・水谷に次ぐ4番手につけている。ファンタジスタ・マハルが完全復活すれば、世界への扉はまだまだ開かれている。
  • 吉村/石川、やや苦しみながらも3回戦進出

  • 長くペアを組むふたり、会見でも笑顔を見せた

  • 出足からサービス・レシーブで確実に先手を奪った森薗/伊藤

●ジュニア女子1回戦
白神(白子高) 6、7、−6、7 吉本(日高ジュニア卓球クラブ)

まだ決して大きくはない体を目一杯使い、会場に「ヨーシ!」と大きな声を響かせていたのが、北海道・日高ジュニア卓球クラブの吉本はな。小学5年生ながら、昨年の全日本カデット13歳以下では4回戦まで進出。小気味良いフォアスマッシュとバックハンドで、高校生相手に1ゲームを奪う健闘を見せた。

「相手は高校生だから思い切ってやろうと思いました。いつもどおりできた試合だったし、サービスもいつもより考えて出せたけど、もう少しいろいろなサービスを出せば良かったと思いました。大会の雰囲気は……、床が赤くて(笑)。ちょっと雰囲気が違います」。試合後にハキハキと答えてくれた吉本。練習は平日は3時間、土日は6時間ほどやっているというから、かなりの練習量だ。

昨年9月に発生した北海道胆振東部地震では、日高町も震度6弱を記録。体育館が避難所になって練習ができなくなるなど、苦労した面もあったというが、大晦日も正月も返上して練習を積んできた。

「自信のある技術はフォアドライブです。今年は全国優勝して、もっと良い成績が出せるように頑張りたいです」と語る北海道のホープ。これからぜひ注目してください!
  • 小学5年生で全日本ジュニア出場を果たした吉本

  • 会場に響き渡る、気迫満点のガッツポーズ!

昨年12月の世界選手権代表・一次選考会では、全日学チャンピオンの及川瑞基を破るなど、センセーショナルな活躍を見せた松島輝空(そら/木下グループ)がジュニア男子1回戦に登場。左腕から放つ前陣バックハンドの連打などを武器に、高校生相手に1ゲーム目から11−0のラブゲームを演じるなど、圧巻のプレーで2回戦に進出した。

「初めての全日本選手権で、コートも1台ずつだし、最初は緊張したんですけど、その中でも良いプレーができたと思います。濱田選手(一輝/愛工大名電中)がスーパーシードなので、そこを倒してメダルを獲得したい。大会の目標はメダル獲得です」と試合後に語った松島。小学5年生でのメダル獲得は、現シングルス王者の張本智和さえもなし得なかった成績(張本は小学5年時はベスト8)。その記録に挑戦しようとしている。

ちなみに1ゲーム目の10−0の場面では「ミスしようと思ったんですけど、なぜか入っちゃって」とコメントし、報道陣の笑いを誘った。

●ジュニア男子1回戦
松島(木下グループ) 0、12、4 内藤(日本航空高)
  • 「自分の武器であるバックハンドが入っていたのは良かった」と松島

  • ベンチでの表情はまだあどけないが、その実力はジュニアの枠を超えている

混合ダブルス1回戦、佐賀県から出場の吉永健吾/梶原幸子は、吉永が31歳、梶原が38歳という「サーティペア」。吉永の巧みな台上プレーと、左腕・梶原の堅実な両ハンド攻守で学生ペアを2−1とリードしたが、惜しくも逆転負けを喫した。

試合後、ミックスゾーンで「こういう舞台の人たちと一緒にプレーできたことで、良い球質やプレーを受けることができて、自分がこれから成長できるような気がします。負けて悔しいんですけど、これをプラスにもっていきたい。皆さんの素晴らしいプレーを見て勉強していきたい」と語った吉永。秘めた闘志で、まだまだプレーヤーとして意気軒昂。年齢に関係ないモチベーションの高さを感じさせた。

「私は出ている選手の中では最年長かもしれない」と笑顔で語ったのは梶原。「自分たちの力は発揮できたし、向こうがそれよりも少し上で、ラリーになると1本多く返ってきた。でも実力は出し切れたと思います。普段の練習は空き時間を見つけて、練習できる所でやるという感じです」と爽やかに語ってくれた。

ちなみにおふたりともお子さんも卓球選手で、昨年8月に行われた全日本ホープス・カブ・バンビに出場しているツワモノとのこと。親子二代揃っての全国大会での活躍、素晴らしいです!
  • 学生ペアに肉薄した吉永(右)/梶原ペア

 今大会、小学4年生ながら女子シングルス、混合ダブルス、ジュニア女子の3種目にエントリーしている張本智和の妹、張本美和。混合複とジュニア女子の1回戦に登場し、いずれも初戦を突破する健闘を見せている。

 仙台ジュニアクラブの先輩、左腕の星と組んだ混合ダブルスは、対戦ペアの北原の回転量の多いフォアドライブに苦しみ、2ゲームを連取されながら、張本の正確なブロックと星のコースの読みにくい両ハンド攻撃が次第にかみ合い、見事な逆転勝ち。ジュニア女子でも堅いバックハンドでラリーを作りながら、要所で全身を使ったフォア強打を打ち込み、基礎レベルの高さを見せつけた。ここから一気に頭角を現してきそうだ。

●混合複1回戦
星/張本(仙台ジュニアクラブ/木下グループ) −8、−10、7、1、8 北原/杉本(信号器材/青山学院大)

●ジュニア女子1回戦
張本(木下グループ) 4、−9、2、12 小倉(正智深谷高)
  • 星(奥)/張本は見事な逆転勝利

  • ジュニア女子でも高校生を撃破した張本

  • 張本家も家族揃って声援を送った

 長い歴史の中で、初の大阪での開催となった全日本選手権。大阪卓球協会の辻裕会長は、開会式での挨拶で次のように語り、裏方で大会を支える人たちの労をねぎらった。大阪大学名誉教授である辻会長は、他の協会に先駆けて大阪卓球協会のNPO法人化に取り組む一方、ITTF(国際卓球連盟)のスポーツ医・科学委員会のメンバーとして、「用具ドーピング」とも言える補助剤の規制を訴え続けてきた硬骨の人だ。

 「今年と来年の全日本選手権を地元の卓球協会として主管することに、責任と誇りと大きな喜びを感じております。言うまでもなく、全日本選手権は選手にとっても大会の運営側にとっても格別な大会です。主管団体が担当する部分も非常に多く、全日本選手権がいかにビッグなイベントであるかを思い知りました。出場選手の数でいえば、この大会より多い大会は幾つもありますが、準備に関わる人数は他の大会とはケタが違う。改めて今日、感謝の気持ちを表したいと思います」(辻会長)。

 開会式の終了後、ミックスゾーンで辻会長に偶然お会いして、少し話を聞かせていただいた。「準備はそりゃあ大変でしたよ。でもね、みんな口では大変、大変と言っていても、顔を見たら輝いてますよ。本当に大変だったら、みんな表情は沈んでしまうでしょう。だからね、全日本選手権は定期的に地方でやったらいいと思うんです。観客動員は少し減るかもしれませんけど、地方が活性化しますよ」(辻会長)。

 今朝、会場の丸善インテックアリーナに到着し、普段とは勝手の違う会場で迷いかけた時も、スタッフの皆さんはとても親切に道を教えてくれた。さすが「浪花のホスピタリティ」。この全日本選手権が、選手にとって、観客にとって、そして運営スタッフにとっても忘れられない大会になることを願っている。
  • 開会式で挨拶する大阪卓球協会の辻裕会長

  • 熱戦の舞台となる丸善インテックアリーナ(大阪市中央体育館)

秋田商業高からそれぞれ就職と進学の道へ進んだ同級生ペア。

齋藤は秋田に残り、秋田市役所へ。小田嶋は東京の大正大へ進学。
練習環境の違いや距離はあるが、齋藤が大正大へ練習に行くなどして、見事秋田予選を突破しての本戦出場だ。

今や珍しい、裏面のない日本式ペンドラの齋藤。「全日本前は毎日やりました。市役所勤めになり、普段は週3日、1〜2時間程度の練習です。社会人になって、思うようにできないので、もっと工夫してやらないといけないですね。短い時間の中ではフットワークと台上、サービス3球目を重点的にやります。ラリーになるとシェークが有利だから、台上で崩していきたい」とコメント。

一方、大学で練習を積む小田嶋は「高校の時に比べて練習量は2倍くらいになりました。毎日練習で、嫌になることも多いけど息抜きもあるので、楽しいです」。

惜しくも1勝には届かなかったが、「来年も組みます」と齋藤はリベンジを誓ったが、「ペンドラなのにフットワークが落ちてたらペア解消を考えますよ(笑)」と小田嶋がプレッシャーをかけてたところが、おもしろい。

卓球王国は今年も、全国の予選を勝ち抜いたヒーローたち、「ローカルヒーロー」をどんどん取り上げていきます!