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速報・現地リポート

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全日本卓球選手権大会

●混合ダブルス準決勝 
森薗/伊藤(BOBSON/スターツ) 6、8、6 軽部/松本(鹿児島相互信用金庫/サンリツ)  
張本/長崎(木下グループ/JOCエリートアカデミー/大原学園) 9、6、-8、6 上村/阿部(シチズン時計/デンソー) 

混合ダブルス準決勝。森薗/伊藤は2年前の決勝の相手、軽部/松本に対し終始リードを保ち、3-0のストレートで3大会連続の決勝進出を決めた。張本/長崎は上村/阿部に1ゲームを奪われるも第4ゲームを6点で抑え初優勝に向けまずは決勝に駒を進めた。上村/阿部は敗れたものの、2年連続3位と結果を残した。

混合ダブルスの決勝はこの後、12時15分から行われる。
  • 張本/長崎は初優勝を狙う

  • 森薗/伊藤は3連覇なるか!

  • 1ゲームが遠かった軽部/松本

  • 2年連続3位の上村/阿部

●ジュニア男子準々決勝
手塚(明徳義塾) 5、7、−12、5 谷垣(愛工大名電高)
吉山(愛工大名電中) 9、8、9 山本(出雲北陵)
松島(木下グループ) −5、7、−7、7、3 曽根(愛工大名電高)
横谷(愛工大名電高) −9、10、9、10 鈴木(愛工大名電中)

●ジュニア女子準々決勝
小塩(JOCエリートアカデミー) 7、2、−8、5 麻生(香ヶ丘リベルテ高)
横井(ミキハウスJSC) 5、8、−9、2 村上(香ヶ丘リベルテ高)
杉田(香ヶ丘リベルテ高) −6、6、8、−9、10 菅澤(四天王寺高)
大藤(ミキハウスJSC) 11、6、8 川北(正智深谷高)

ジュニア男子準々決勝、小学6年生の松島が高校2年の曽根に勝利!
「曽根さんには一度も勝ったことがない、曽根さんに勝つのが目標」と昨日のミックスゾーンで語っていた松島。パワーと回転量の差は大きかったが、一本取るごとに体を折り、大きくガッツポーズ。両ハンドで思い切って曽根のフォアを突き、早いタイミングでバックをつぶした。
先に2ゲームを奪った曽根だったが、4ゲーム目以降は守勢に回り、ラリーで優位に立てず。大器はタイトルを目前にしてジュニアの舞台を去った。

優勝候補の一角、谷垣を思い切りの良いスマッシュ連打で下したのは手塚。両ハンドのバランス良く、ジュニア離れしたテクニックを誇る谷垣だが、回転量の少ないスマッシュを打たれるとなかなか対応できず。クセのあるチキータにも手を焼いた。

一方の女子は、準決勝の組み合わせは小塩対横井、杉田対大藤。小塩は昨日だけで4試合をこなしたが、その疲れも見せずに変化カットの切れ味は抜群。杉田は菅澤の連続強打を後陣で何本でもしのぎ、粘り倒した。
  • 積極的に曽根のフォアを突いた松島

  • 手塚のスマッシュが、谷垣のテクニックを上回った

  • 大藤、貫禄の勝利を収める

  • 粘りとパワーの杉田が4強入り

★大会第4日目・1月16日のタイムテーブル

10:00〜 
●ジュニア男子準々決勝
谷垣(愛工大名電高) vs. 手塚(明徳義塾)
吉山(愛工大名電中) vs. 山本(出雲北陵)
松島(木下グループ) vs. 曽根(愛工大名電高)
横谷(愛工大名電高) vs. 鈴木(愛工大名電中)
●ジュニア女子準々決勝
小塩(JOCエリートアカデミー) vs. 麻生(香ヶ丘リベルテ高)
横井(ミキハウスJSC) vs. 村上(香ヶ丘リベルテ高)
菅澤(四天王寺高) vs. 杉田(香ヶ丘リベルテ高)
川北(正智深谷高) vs. 大藤(ミキハウスJSC)

10:35〜
●混合ダブルス準決勝
森薗/伊藤(BOBSON/スターツ) vs. 軽部/松本(鹿児島相互信用金庫/サンリツ)
張本/長崎(木下グループ/JOCエリートアカデミー/大原学園) vs. 上村/阿部(シチズン時計/デンソー)

11:10〜
●ジュニア男子準決勝
●ジュニア女子準決勝

12:15〜
●混合ダブルス決勝
●ジュニア男子決勝
●ジュニア女子決勝

14:00〜 ●女子ダブルス4回戦
14:35〜 ●男子ダブルス4回戦

15:10〜 ●女子シングルス4回戦
16:50〜 ●男子シングルス4回戦

 大会第4日目、1月16日のタイムテーブルは上記のとおり。混合ダブルスとジュニア男女が決勝まで行われ、3種目でチャンピオンが決定。男女シングルスと男女ダブルスの4回戦で、スーパーシードの選手たちが登場する。

 今大会のジュニアは、男子は愛工大名電中・高、女子はミキハウスJSCと香ヶ丘リベルテ高という大阪勢の活躍が目立っている。香ヶ丘リベルテ高から出場しているのは、大阪・貝塚の日本生命体育館を拠点に活動するジュニアアシスト卓球アカデミーの選手たち。中学生の選手は貝塚二中から出場する。スケールの大きな両ハンド攻撃で、大会に旋風を巻き起こしている。

 一般シングルスの4回戦では、いよいよスーパーシードが登場。女子シングルスでは石川佳純対森薗美咲、伊藤美誠対阿部愛莉、早田ひな対永尾尭子などが注目カード。男子シングルスは何と言っても丹羽孝希対松平健太だろう。その他のスーパーシード、張本智和や吉村真晴、大島祐哉のシングルス初戦も注目される。大会も一気にヒートアップだ!
●女子ダブルス3回戦(一部)
長崎/木原(JOCエリートアカデミー/大原学園/JOCエリートアカデミー) 1、8、-7、3 磯野/中山(CANクラブ/幕張総合高)
麻生/杉田(香ヶ丘リベルテ高) -12、8、6、8 出澤/小林(大成女子高)
前瀧/吉田(愛媛銀行) 5、9、10 佐藤/田中(豊田自動織機)
菅澤/萩井(四天王寺高) 6、7、6 後木/藤尾(日本体育大)
前田/赤江(日本生命/貝塚第二中) 5、-8、6、-5、9 小道野/中畑(デンソー)
平/牛嶋(日立化成) 3、5、15 山本/青木(中央大)
岩越/笹尾(早稲田大) 8、10、8 北澤/山崎(金城大)
平川/出雲(筑波大/遊学館高) 2、-10、8、7 高田/岡田(明徳義塾)

3回戦を突破した長崎/木原。明日の4回戦ではカットペアの佐藤/橋本(ミキハウス)に挑む。前田/赤江、平/牛嶋らも4回戦進出を決めた。


●男子ダブルス3回戦(一部)
田添健/田添響(木下グループ) 9、6、10 内村秀/内村英(日本体育大)
横谷/小林(愛工大名電高) -10、8、-7、4、5 田中/皆川(日野自動車)
中橋/星(駒澤大/専修大) 5、8、-8、-8、5 篠塚/谷垣(愛工大名電高)
定松/藤本(日鉄物流ブレイザーズ) 6、3、10 村田/熊本(筑波大)
鈴木/吉山(愛工大名電中) 12、-9、6、5 田中/西野(育英高職員/龍谷大)
吉村/坪井(東京アート) 9、9、-13、6 硴塚/緒方(早稲田大)
笠原/上村(シチズン時計) 6、7、9 今泉/加藤(野田学園高)
加山/曽根(愛工大名電高) 6、6、7 白土/福本(大阪経済法科大/関西大)

田添健汰/響 vs 内村秀平/英司の兄弟ペア対決は、田添ペアに軍配。4回戦では昨年準優勝の松山/髙見(愛知工業大)との対戦となる。インターハイ準優勝の加山/曽根、社会人ペアの吉村/坪井らも4回戦進出を決めた。
  • 女子ダブルス4回戦進出を決めたグランドファイナル女王ペアの長崎/木原

●男子シングルス1回戦 青木(JR東日本高崎) 1、4、7 久保(専修大)
●2回戦 高取(法政大) 4、9、6 青木(JR東日本高崎)

 男子シングルス1回戦、躍動的なフットワークでコート狭しと動き回り、拾いまくって打ちまくるひとりのカットマンがいた。桐生高校時代に関東高校チャンピオン(平成26年度)となり、獨協大を経て現在はJR東日本高崎支社に勤務する青木郁也。一般シングルスは2回戦で敗れたものの、3回目の挑戦で初の1勝を挙げた。

 高校時代は拾いまくり、粘りまくるプレーが印象的だった青木。しかし、今大会ではサービスからもカットからも、積極的なフォアドライブでの「仕掛け」が目立った。「やっぱり守備だけだと勝てないという思いはあるので、3球目でも打てるボールは狙っていってプレッシャーをかけていきたい。そういう心境の変化はあります」と語る。

 その一方で、やはりカットマンとしての「矜持(きょうじ)」、プライドはある。「今は必要だと思って攻撃も取り入れているけど、カットマンとしては粘って粘って1本取れた時はすごくうれしい。同じカット型としては塩野(真人)さんのプレーが憧れでした。やっぱり粘り切った時のほうが喜びは大きいですね」(青木)。粘りまくって1本取った時の彼のガッツポーズは、観る者の胸を熱くさせる。昨年7月の全日本実業団で、写真バンバン撮ってしまいました。

 ちなみに勤務地は群馬県内かと思いきや、埼玉県内にあるJR高崎線の鴻巣駅に勤務し、切符売り場や改札で鉄道マンとしての仕事をこなす。ちなみにJR東日本からは、毎年多くの支社が全日本実業団に出場するが、その中でも前々回大会ベスト16のJR東日本高崎は強豪として名が通っている。
青木のベンチに入った宮澤淳さんも、今大会の男子シングルスに出場した実力者。「彼は高校や大学も強豪校ではなく、勉強も頑張って、自分がチームで一番強い中でも努力してきた。その分、伸びしろはまだあると思います。団体戦では前半に出てしっかり勝ってきてくれるし、彼のプレーは盛り上がりますね」(宮澤)

 卓球人の皆さん、鴻巣駅で笑顔のステキな、真面目なチョッパーを見かけたら、温かい目で見守ってあげてください。ちなみに宮澤さん曰く、青木が会社の卓球部のメンバーを積極的に練習に誘うので、チームの練習量が3倍になったとのこと。今後のJR東日本高崎の活躍も要チェックだ。

★青木郁也の用具のこだわり

カット型の皆さんのために、現在の使用用具とその理由について、青木選手に少し聞いてみた。用具はいろいろ試すよりも、固定して使い込むタイプ。ラケットはニッタクの『レジストⅡ』、ラバーはフォアがバタフライ『テナジー05』の厚、バックがティバー『グラスD.TecS』1.2㎜だ。

「ラケットは前作の『レジスト』が廃番になって、ダーカーの『スプライン』を使っていた時期もありますが、『レジストⅡ』がリリースされてから使い続けています。あまり弾まないことがわかっているので、攻撃の時は思い切り振り抜けるし、相手のボールにも押し負けないですね。

 フォア面の『テナジー05』は、カットと攻撃の両立を考えて『厚』。もう少し攻守のレベルが上がったら特厚も考えたいですが、一度特厚を試した時は弾みすぎて、引き合いでオーバーしたり、あまり得意ではないフォアカットがオーバーしてしまった。

 バック面の『グラスD.TecS』は中学時代にクラブチームのコーチに勧められました。相手の上回転のドライブに対して、当てるだけでカットが切れてくれる。カット型としては楽な部分もあります。当てて切れるから、あとはボールを低く調整すればいいし、安心して使えますね。逆にツッツキは切ろうとしてもあまり切れないので、カットの回転量との落差が出ますね」(青木)
  • 攻撃力も確実に向上しているチョッパー・青木

  • 横に振り抜くバックカットは鋭い切れ味

●男子シングルス1回戦
西村星哉(駒澤大) -9、5、-8、7、10 小野達也(TTC浦和・土合)

 男子シングルス1回戦、全日本シングルスには10年ぶりの出場となる32歳・小野が、関東学生リーグ1部・駒澤大の主力である西村を相手に大接戦を展開。前陣でのしつこいバックのミート打ちでバリバリの現役大学生をあと一歩まで追い詰めた。

 埼玉生まれの小野は地元の狭山ヶ丘高時代に、後に世界選手権代表にもなった塩野真人ととも主力としてインターハイ学校対抗で3位に入賞。その後も埼玉工業大で主軸として活躍、クラブ選手権1部でも2011年大会で地元優勝を果たすなど、故郷・埼玉で活躍を続けてきた。試合後に「いやー、緊張しました。プレッシャーもなくやろうと思っていたけど、やっぱりこの舞台に立つと緊張してしまった。でもすごく楽しくプレーできました」と口にした小野。実はこの1月から新たなスタートを切ったばかり。小野は今年の1月5日、埼玉県秩父市に自らの卓球場をオープンさせたのだ。

 国家資格を取得し、理学療法士として3年間病院に勤務していたが、その間に障がい者卓球に出会い、仕事の傍、コーチもしていた。そうした中で、「本気でやるんだったら、自分で卓球場を」と一念発起し、「OHANA卓球場」を開業。「OHANA」とはハワイの言葉で、広い意味の「家族」を指す。「卓球を通してコミュニティができたり、繋がっていけるような場所にしたい」という思いを卓球場の名前に込めた。理学療法士の資格を持っていることもあり、「体の機能的な面やコンディショニングの部分でもアドバイスをしていけたら良いですね」と語る。

 そんな小野にとって、思い出に残る試合は埼玉工業大時代の関東学生リーグ戦。明治大を破り、同校最高成績の1部2位になったチームの中心として活躍を見せた。小野が学生だった頃の埼玉工業大は「部員が70人近くいた」という大所帯。当時、関東学生リーグの会場となっていた代々木第二体育館の一角を埋め尽くし、大声援を送る埼工大応援団は、ひとつの名物だった。
 「ぼくの時は70人近く部員がいたけど、そのうち試合に出るのはせいぜい6人。でも、試合に出ない部員も卓球が大好きだったり、応援がしたくて埼工大に入ったりという部員ばかりでした。応援団とか応援団長もいて、埼工大=人数多い、応援がすごいみたいな印象だったと思います。それはチームとして魅力でしたね。リーグ戦はみんなが来て応援してくれるから選手も調子が良いけど、インカレはみんなが応援に来ることができないので、あまり勝てませんでした(笑)」(小野)
 そして「高校、大学と仲間や家族に支えられて卓球をやることができた。自分ひとりで試合をするんじゃなくて、誰かに支えてもらいながら試合をするのが、ものすごく嬉しかった」とも当時を振り返る。卓球場に名付けた「OHANA」には、支えてくれる人たちと一緒に戦うことでの感動を伝えたいという思いも込められている。

 試合後、「明日も仕事です」と教えてくれたが「もちろん選手としても頑張りたいけど、こうした経験を伝えていくのも大事な仕事だと思う」と語る小野の口ぶりは明るく軽やかで、何より楽しみに満ちていた。小野の飽くなき卓球への愛は、いつかきっと大きな「OHANA」に繋がるはずだ。
  • 朗らかな人柄の小野も、試合中は気迫満点

  • 前陣を死守し、現役大学生に迫った

 男子シングルス1回戦、地元・大阪で30歳にして全日本初出場を決めた福岡弘人。大阪府予選の代表決定戦で、クローバー歯科カスピッツの右ペン表の実力者・加藤駿にゲームオールで競り勝ち、全日本の舞台に立った。

 大阪府立城東工科高校の出身で、近畿大会には団体で出場したが、シングルスは出ることはできなかったという福岡。大阪商業大を卒業後も卓球を続けたが、全日本予選前でも練習は「週に1〜2回やっていたのを週3回にしたぐらい」。勝った瞬間の心境は本人曰く「まさかっていう感じですよ。こんな腹して出ていいんかなと」。
 ちなみに体重は98キロ。一般男子シングルスの最重量プレーヤーも夢ではない数字だ。ラグビーの福岡堅樹は俊足プレーヤーだが、こちらの福岡さんは歳を重ねるに連れてフットワークが落ちていた。その彼が30歳にして、全日本への重い扉を開いたのには理由がある。

 「もともとは下がってプレーしていたんですけど、体重が増えて動けなくなってきた。若い子がみんな卓球が早くなって、前陣でプレーするようになったので、明徳の手塚(崚馬)くんみたいにぼくも前でパチパチやろうかなと。スマッシュを覚えて、自分の味を出していったら勝てるんちゃうかと。そしたらうまいことハマッた感じです。練習会場でもひとりスマッシュを打ってました」(福岡)

 クラブプレーヤーから、大躍進の全日本出場。卓球王国を毎月読んで、技術ページから「イイとこ取り」でプレーに取り入れているという。読者の方を大いに勇気づける存在である福岡に、「読者の方にメッセージをください」とお願いしてみた。

 「皆さん、YouTubeを見たり、全日本選手権を見に来たりして、トッププレーヤーの真似をしたがる人が多いと思うんですけど、週に1回とか2回しか練習できない選手はやらないほうがいい。できないし、ケガのもとになる。できないことはあきらめて、『このプレーに絞る』というシンプルな考え方で、『できる・できない』をハッキリさせたほうが自分の長所を生かせる。ある意味では、あきらめが肝心かなと思うんです。

 ぼくも動けなくなったんで、動くのをあきらめたら意外にボールがよく見えるようになってきた。良い用具を使うのはいいですが、良いプレーはなかなか真似できない。無理せずに何かをあきらめて、できること一本でやっていったら、ぼくは全日本に出られました。ブロックとカウンター、あとはチキータが怖いから低いサービスの3点セット。これで前で動き回る若い選手に対抗したのは、自分の中では間違っていなかったと思います」(福岡)

 聞いていて思わず引き込まれ、「エエこと言うなあ」と深くうなずいてしまった「アキラメのススメ」。長所と短所、できることとできないことを整理すれば、見えてくる世界があるということだ。
 シングルス1回戦はジュニアベスト32の松田(野田学園高)に対し、2ゲーム目はゲームポイントを奪うも0−3で敗退。来年も大阪で開かれる全日本では「また出場して、1ゲームでも1試合でも多くやりたい」と意気込みを語る福岡。動かずに勝つ卓球でも、体重は3ケタの大台に乗せないよう、気をつけてくださいね。

●男子シングルス1回戦
松田(野田学園高) 7、10、1 福岡(竹の子)
  • 抜群の「センスマン」。そしてクラブではムードメーカーの福岡

  • 可愛いクラブ名「竹の子」は河内長野市が拠点。由来は知らないそうです……

●女子シングルス3回戦
清家綾乃(オークワ) -4、4、5、-9、9 松平志穂(日本ペイントマレッツ)

 日本リーグ2部・オークワのエース、清家が元世界代表のTリーガー・松平を破る金星でスーパーシードの待つ明日の4回戦へ駒を進めた。

 清家は2-1とゲームをリードした4ゲーム目、9-6までリードを奪い勝利まであと一歩。しかしここから5本連取を許し、松平に流れが向くかと思われた。「ちょっと落ち込んだ」という清家だが、ベンチの大塚監督から「勝ち負けは気にせず振り切れ」というアドバイスで立て直す。5ゲーム目は点数が離れず、松平が9-8でリードするが、ここで痛恨のサービスミス。続く2本を見事に攻め切った清家が熱戦を制した。

 努力の集団・オークワの中で、清家のプレーは少々異色に映る。小柄ながら、しっかりと振り抜く両ハンドドライブはダイナミック。それでいて体勢を崩さずに、前陣をキープしながら回転をかけた連打をコースに打ち分けるプレーには「天才」という言葉がピッタリはまる。まだ清家のプレーを見たことがないという方には、ぜひ明日の試合のライブ配信を見てほしくなるほど、そのプレーにはセンスが溢れている。
 山口で生まれた清家は、中学・高校は岡山の名門・就実へ。卒業後は「卓球に打ち込みたかった。その中で仕事との両立を目指そうと思った時に、人間力も高められるチームだと思った」とオークワへ入社。現在社会人2年目の19歳。ちなみに成人式は全日本期間中のため「出られませんでした」とのこと。普段は事務の仕事をこなしながら、終業後に練習。最初はキツかったというが、「応援してくれる同僚に恩返しを」と胸に刻んで過ごす。

 チームカラーは「気迫、明るく、粘り強く、諦めない」。松平戦でも観客席からチームメイトが大声援で清家を後押しした。心強い声援も力に、「オークワの選手らしく、明日も向かって行きたいです」と語った清家。4回戦では全日学女王の森田彩音(中央大)に挑む。
  • 小さなブンブン丸・清家

  • 最後まで攻め切って、松平を退けた

●男子シングルス3回戦
西康洋(明治大) 4、−3、−5、10、13 岸川聖也(ファースト)

 世界選手権で7個のメダルを獲り、五輪に2回出場し、2012年ロンドン五輪ではベスト8に入賞した岸川聖也が、「最後の全日本」を終えた。

 岸川は1ゲーム目を失い、2、3ゲーム目を連取したが、西の思い切りの良い攻撃に最後まで後手に回り、1−3で敗戦を喫し、全日本選手権を終えた。「初めての選手だったけど、明治大のレギュラーで結構やるというのは試合前に聞いてました。1ゲーム目取られて、2、3ゲーム目を取ったので3−1で勝たなければいけなかった。最後の全日本というのは意識してなかった。1回戦もギリギリ勝てて、あまり休む間もなく2回戦だったので、いろいろ考える時間もなかった」(岸川)。

 ファーストとして全日本実業団選手権には出場する可能性もあるが、全日本選手権は最後にすることを決めていた。
 昨年、ナショナルチームコーチに就き、ワールドツアーなどにも帯同している岸川。二足のわらじを履くことは本意ではなかった。
 長く日本の中心として活躍してきた岸川は、2015年世界選手権の日本代表を外れた。本人は納得できないものだったかもしれないが、彼自身もジュニア時代にはベテランを押しのけて、日本代表になっており、それはが繰り返された。この日本代表から外れたことで、彼のモチベーションも落ち、その後、全日本選手権での勝つことへの執念も薄れていったようだ。

「 小学校6年から世界の相手と戦ってきた経験と自信があるし、日本人同士で戦うのは好きではない」と岸川は試合後にミックスゾーンで語った。

「今はすっきりしてます。悔いもないです。世界代表を引退する時とか、オリンピック2回出て、3回目に出れないとか、いろんな経験をしてきているので、全日本が最後というのはぼくにとってはそんなに大きなことではないです。でも、全日本は緊張感のある良い大会です。
 これからコーチをやることは決めているので、オリンピックもあるし、ナショナルチームのコーチとして少しでも役に立ちたいし、T.T彩たまのコーチもやります。自分のプレースタイルは打ち合いで勝つというものではなかったので、細かい技術や戦術というものを若い選手に伝えていけたらと思います」と、その表情はさばさばとしたものだったし、涙もなかった。
 日本の男子卓球のプレーを変え、水谷とともに日本を世界のトップクラスに押し上げた選手が「全日本」を去る瞬間だった。
●女子シングルス3回戦(一部)
阿部(デンソー) -4、9、5、-10、6 船場(明徳義塾)
笹尾(早稲田大) 5、9、7 柴田(専修大)
平(日立化成) 3、8、8 枝松(専修大)
宋(中国電力) 8、6、3 鈴木(立命館大)
森薗(TOP名古屋) 9、9、7 藤田(横浜隼人高)
赤江(貝塚第二中) 8、8、10 近藤(日立化成)
小塩(JOCエリートアカデミー) -8、6、2、-6、7 前瀧(愛媛銀行)

世界ジュニア準優勝のカットの小塩は、社会人の前瀧にゲームオールで勝利。明日の4回戦ではスーパーシードの塩見(ミキハウス)に挑戦する。2016年度のジュニア女王の笹尾、2018年度社会人女王の平、TリーグのTOP名古屋でプレーする森薗らはそれぞれストレート勝ちで4回戦進出を決めた。


●男子シングルス3回戦(一部)
御内(シチズン時計) 8、-7、4、5 原田(出雲北陵)
谷垣(愛工大名電高) -9、11、-5、5、7 川端(KKSC)
英田(愛媛県競対) 9、5、-8、5 飯野(MD相模)
三部(専修大) 5、10、3 青山(法政大)
笠原(シチズン時計) 6、6、6 安江(明徳義塾)
松平(T.T彩たま) 2、-11、2、6 川村(大阪桐蔭高)
金光(日本大) 11、-7、-5、9、3 松島(木下グループ)
村松(東京アート) 0、6、4 坂田(敦賀高)

Tリーグで活躍の松平健は高校生の川村を3-1で下し3回戦を突破。明日の4回戦ではかつてのダブルスパートナーでもある丹羽孝希(スヴェンソン)との注目の対戦となる。カットの御内、村松らも順当に勝利し4回戦へ。小学生の松島は金光にゲームカウント2-1とリードするも、第4、第5ゲームを連取され、逆転負けで4回戦進出はならなかった。

試合後の松島のコメント:
「金光選手のバックが強かったです。明日はジュニアがまだあるので、気持ちを切り替えたい。勝ったことがない曽根選手に勝つことを目標に練習して来たので、向かって行く気持ちでプレーしたい。一般では1勝出来たけど、(吉村)真晴さんのところまで行くのが目標だったので悔しい。将来は馬龍のようなプレーをしたい」
  • ゲームオールの接戦を制した小塩

  • ストレート勝ちで3回戦を突破した村松、明日の4回戦は木造との対戦

  • 男子シングルスは1勝に終わった松島