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中国リポート

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 昨日2月10日、中国卓球界が生んだ巨星、荘則棟が72歳でこの世を去った。
 実は中国では、5日ほど前に入院中の荘則棟の近況が報道されていた。病院に見舞いに訪れた李富栄らとともに写真に収まっている、痩せおとろえた荘則棟の様子は、5年間に渡る闘病生活が限界に近づいていることを物語っていた。それにしても、「こんなに早くその日が来るとは…」というのが率直な感想。春節(旧正月)の日に亡くなるというのは、不世出の名選手の最後にふさわしいのかもしれない。

 2008年に末期の直腸ガンが発覚してから、二度の大手術を受けながらも、ガンは肝臓や肺をはじめ体中に転移。5年もの間命をつないだ精神力は敬服に値するが、多くの病院を経て昨年8月に北京市の佑安医院に転院してきた時には、荘則棟も尊厳死(安楽死)を望んでいたのだという。しかし、ドクターたちはそれを受け入れず、最後まで懸命に治療を続けていた。

  偉大な先輩の死に、中国男子チームの劉国梁監督が「庄老、一路走好!(荘先生のご冥福をお祈りします)」と真っ先にコメントしたのをはじめ、微博(マイクロブログ)で多くの哀悼の声が上がっている。

「どうか荘先生が安らかに眠ることができますように」(丁寧)
「大先輩に謹んで哀悼の意を表します」(張継科)
「初めて一緒に記念写真を撮ってもらった世界チャンピオンが荘先生だったことは、今でも覚えています。中国卓球の国際化を推し進め、世界選手権で初めて3連覇を達成した。たとえ病気でこの世を去り、その人はいなくなろうとも、先輩の精神は永遠に私たちの心の中に生き続ける」(許シン)
「卓球界はひとりの巨人を失った。荘先生、どうか安らかに。病魔と闘ってきたこの数年間も、あなたは常に前向きな心を失っていなかった」(秦志ジェンコーチ)


 中国の新聞やポータルサイトのニュース欄なども、荘則棟逝去のニュースを大きく扱っている。やはりその存在感は別格だったのだ。

↓荘則棟の最後の近況を伝えるニュース記事はこちら(新浪体育/中国語)
http://sports.sina.com.cn/o/2013-02-05/17536413101.shtml
 「新年快楽!」。中国は今日2月10日が旧正月にあたる「春節」。選手たちも実家に戻り、つかの間の休息を楽しんでいるようです。
 7日に終了した「直通巴黎(直通パリ)」の結果をお伝えしましょう。

★★★ 2013世界選手権代表選考会「直通巴黎」・女子第1ステージ 2.2〜7 ★★★

1   李暁霞    18勝2敗
2   劉詩ウェン  17勝3敗
↑↑↑ 上位2名は世界選手権のシングルス出場権獲得 ↑↑↑

3   朱雨玲    17勝3敗
4   丁寧     16勝4敗
5   文佳     15勝5敗
6   陳夢     14勝6敗
7   馮亜蘭    10勝10敗
8   饒静文    10勝10敗
9   武楊     10勝10敗
10  常晨晨    10勝10敗
11  郭躍     9勝11敗※途中棄権
12  盛丹丹    8勝12敗
13  李暁丹    8勝12敗
14  顧若辰    7勝13敗
15  楊揚     7勝13敗
16  王シュアン  7勝13敗
17  曹臻     7勝13敗

↓↓↓ 下位4名は2軍チームとの入れ替えリーグへ ↓↓↓
18  趙岩     6勝14敗
19  張薔     6勝14敗
20  劉曦     6勝14敗
21  江越     2勝18敗
※22  范瑛    2勝3敗(途中棄権)→江蘇省チームで調整

 世界選手権パリ大会の中国代表選考会「直通巴黎」の女子第1ステージの結果は上記のとおり。昨日お伝えしたとおり、郭炎、郭躍、范瑛は途中棄権したが、郭躍は第2ステージに進出している。

 第5日目が終了した時点で、シングルスの出場権を獲得する上位2名の争いは、15勝2敗の劉詩ウェンと李暁霞、15勝3敗の丁寧と朱雨玲の4名に絞られた。そして最終日に李暁霞が丁寧に3−1、劉詩ウェンに3−0で快勝し、総合1位の17勝2敗でパリ大会の女子代表第1号に決定。右手首の故障を抱え、第1戦で若手の劉曦(12年全中国青年選手権優勝/右シェークドライブ型)に敗れながら、徐々に調子を上げていった。続いて劉詩ウェンと朱雨玲が16勝3敗で並んだが、劉詩ウェンは第2日目に朱雨玲との直接対決を3−1で制しており、総合2位でこちらもパリ大会への切符を手にした。

 惜しかったのは総合3位の朱雨玲。優勝した李暁霞、総合4位の丁寧という世界選手権ロッテルダム大会の決勝を戦ったふたりを、ともに3−2で撃破したのだから恐れ入る。ちなみに今シーズンの超級リーグでも、李暁霞、劉詩ウェン、郭炎といった選手たちを破り、17勝7敗の好成績を残した。中国女子チーム屈指の名コーチである李隼コーチの指導を受け、すでにその実力は李暁霞・丁寧・劉詩ウェンのトップ3をおびやかすレベルまで来ている。

 「ダークホースと言われるのは悪い気持ちはしないけど、それは今回の直通巴黎に限ってのこと。終わった試合はもう過去のこと。今はもう、前に向かってしっかり進まないといけない。
 パリ大会にはすごく出たいですね。でも、ただ出場することだけが最終的な目標じゃないですから」(朱雨玲/出典『新浪体育』)。
 どうです、このカッコいいコメント。昨年12月の世界ジュニアで表彰台に上がって、眉ひとつ動かさなかった17歳(今は18歳)。パリ大会代表に抜擢される可能性は高い。

photo左:李暁霞、五輪女王の貫禄を見せた
photo右:上背はそれほどないが、メンタルの素質は特A級の朱雨玲。どこからどう見ても気の強いお顔ですね
(photo左はロンドン五輪、右は世界ジュニアより)
 2月2〜7日に行われた、世界選手権パリ大会(個人戦)の中国女子代表選考会「直通巴黎(直通パリ)」の第1ステージ。ネット投票を取り入れるなどの工夫が見られた男子に対し、女子は23名の選手たちが6日間かけて総当たりのリーグ戦を行うという、問答無用のサバイバルバトルだ。
 第1ステージでは上位2名が世界選手権のシングルスの出場権を獲得、下位4名が1軍チームと2軍チームの入れ替え戦に回る。速報として結果だけお伝えすると、18勝2敗の李暁霞と17勝3敗の劉詩ウェンがワン・ツーフィニッシュで出場権を獲得。現世界女王の丁寧は16勝4敗で惜しくも4位となった。

 詳報はまた明日お伝えするとして、今回の女子「直通巴黎」では、故障者が相次いでいる。半ば引退状態の郭炎が故障を理由に棄権したのはともかく、まずカットの范瑛が第2日目の第6戦、趙岩との試合中に棄権。カットの選手に多いひじの故障が理由で、中国では「網球肘(テニスひじ)」と報道されている。孔令輝監督が見かねて試合を止めたそうで、范瑛はしばらく江蘇省チームに戻って調整することになる。

 そして大会第4日目の終了後、今度は頸椎を傷めながら必死で戦っていた郭躍が、ついに棄権を余儀なくされた。一時はめまいと嘔吐がおさまらない状態だったということで、その状態はかなり気がかり。それまでに9勝を挙げていたことで、3月7〜10日に行われる「直通巴黎」女子第2ステージには進出できたが、どこまで回復できるのか。

 総合1位となった李暁霞にしても、直前のオーストリアオープンでは右手首の古傷が悪化し、決勝の丁寧戦の第2ゲーム終了後に棄権している。それでも彼女は20試合を戦い抜き、代表権を獲得した。最強軍団の中で頭角を現すには、「あそこが痛い、ここが痛い」と言っていたらチャンスをつかめないのだ。

photo:病院での治療後もめまいが残ったという郭躍。ベスト8に入った03年大会以来となるパリでの世界選手権出場に、黄色信号が灯っている
☆☆☆ 2012中国卓球クラブ超級リーグ 女子プレーオフ決勝 ☆☆☆
※1・2・4番は5ゲームズマッチ、3・5番は3ゲームズマッチ。すべて第5ゲームは7点先取で行う

●女子決勝第1戦 1.21
〈八一冀中能源 3−1 山西大土河・華東理工〉

○木子 6、−4、5、−6、7−5 馮亜蘭
 郭躍 −6、2、−9、−9 劉詩ウェン○
○郭躍/劉曦 10、−8、7−2 饒静文/車暁曦
○木子 8、−10、−6、7、9−7 劉詩ウェン
(河北省邢台冀中能源体育館)

●女子決勝第2戦 1.24
〈山西大土河・華東理工 3−1 八一冀中能源〉

○劉詩ウェン −7、7、6、5 郭躍
○馮亜蘭 9、−6、3、−7、8−6 木子
 饒静文/車暁曦 −8、−7 郭躍/曹臻○
○劉詩ウェン 14、2、−6、−6、7−2 木子
(山西大土河体育館)

●女子決勝第3戦 1.25
〈山西大土河・華東理工 3−1 八一冀中能源〉
○馮亜蘭 −10、−7、6、9、7−3 郭躍
○劉詩ウェン −5、−7、6、9、7−1 木子
 饒静文/車暁曦 −3、6、1−7 木子/曹臻○
○劉詩ウェン 8、−9、8、−6、7−5 郭躍
(山西大土河体育館)

★山西大土河・華東理工がプレーオフ2勝1敗で初優勝!

 超級リーグの女子プレーオフ決勝は、今シーズンから劉詩ウェンが加入した山西大土河・華東理工が八一冀中能源との激戦を制して優勝。過去8シーズンで北京と山東が4回ずつ優勝を分け合っていた超級リーグ女子。この2チーム以外にタイトルが渡るのは、02年シーズンの河北六通チーム以来となる。

 アウェーの第1戦でエース劉詩ウェンが木子に敗れ、八一に先勝を許した山西だが、第2戦と第3戦では劉詩ウェンがきっちり2点獲り。広東で孤軍奮闘してきた劉詩ウェンが、ついに超級リーグで栄冠を勝ち取った。「チームには本当に感謝しています。私にすごく大きなパワーを与えてくれたし、私のことを全面的に信頼してくれたし、いろいろと気遣いをして頂いた。私はコートに立ったら、全力で頑張ることで恩返しをするしかないと思っていました」(劉詩ウェン/出典『華奥星空』)。

 一方の八一は、こちらも新戦力の郭躍が、決勝でシングルス4戦4敗に終わったのは大誤算。劉詩ウェンに3連敗したことに加え、決勝第3戦で馮亜蘭にゲームカウント2−0から逆転負けしたのは痛恨の極みだ。2番の劉詩ウェン対木子でも、劉詩ウェンが大逆転劇を演じたが、「トップの馮亜蘭の逆転勝ちを見て、何が起こるかわからないと思った。決してあきらめなかった」と試合後に語っている。トップ郭躍の敗戦が流れを決めてしまった。

  遼寧チームで5回の準優勝、そして移籍先の八一でもタイトルにあと一歩届かず、郭躍は実に6回も準優勝の悲哀を味わったことになる。いずれも決勝では本来のプレーを見せられずに終わっている。劉詩ウェンは「無冠の女王」を返上したが、郭躍もいつか優勝の美酒を味わうことができるのだろうか??

photo左:郭躍は決勝でまさかの4連敗に終わる
photo右:スーパーエースとしての存在感を見せつけた劉詩ウェン
★★★ 2012中国卓球クラブ超級リーグ 男子プレーオフ決勝 1.22/1.26 ★★★
※1・2・4番は5ゲームズマッチ、3・5番は3ゲームズマッチ。すべて第5ゲームは7点先取で行う


●男子決勝第1戦
〈寧波海天塑機 3−2 上海金邁馳〉

 馬龍 −7、8、−9、−6 王励勤○
○閻安 8、5、9 許シン
 閻安/ジャイ一鳴 −10、−6 王励勤/尚坤○
○馬龍 10、−9、4、3 許シン
○朱世赫 10、−4、10−8 尚坤
(上海青浦体育館)

●男子決勝第2戦
〈寧波海天塑機 3−1 上海金邁馳〉

○閻安 −8、10、6、9 許シン
○馬龍 9、9、6 王励勤
 ジャイ一鳴/閻安 −8、−9 王励勤/尚坤○
○馬龍 7、5、9 許シン
(寧波北侖訓練基地)

★寧波海天塑機がプレーオフ2戦2勝で優勝!

 2012中国卓球クラブ超級リーグの男子プレーオフ決勝が、1月22日と26日に行われ、寧波海天塑機が09年シーズン(当時のチーム名は寧波北侖海天)以来3年ぶり3回目の優勝を果たした。

 このプレーオフ決勝の勝負の分かれ目は、なんといっても第1戦にあった。トップで「最近は馬龍に負けてばかりだったけど、今日は精神面が非常に充実していた。要所で良いプレーができた」という王励勤が、馬龍に久々の勝利。王励勤は尚坤とのダブルスでも勝利をおさめ、上海がラストに持ち込んだ。
 ラストは左シェークドライブの尚坤とカットの朱世赫(韓国)。互いに1ゲームずつ取り合い、第3ゲームに尚坤が6−2(7点制)とマッチポイントを奪った。しかし、尚坤はこの4回のマッチポイントを決めきれず、ジュースに持ち込んだ朱世赫が大逆転で劇的な勝利。寧波の劉国棟監督や馬龍、閻安が歓喜の抱擁をする横で、上海ベンチは失意に沈んだ。

 朱世赫は山東魯能に所属していた2010年シーズンのプレーオフ第3戦ラストでも、侯英超に4回のマッチポイントを奪われながら逆転し、チームに優勝をもたらしている。エース馬龍が絶好調でここまで目立った出番はなかったが、大事な場面で大仕事をやってのけた。「あれだけリードされながら精神的に崩れなかった。朱世赫のプレーはすべてのチームメイトのお手本になるものだよ」(馬龍)。寧波は続く第2戦で、閻安が第1戦に続いて許シンを破り、馬龍が2得点。ホームできっちり優勝を決めた。

 上海にとっては、何と言ってもエース許シンが2試合で4戦4敗に終わったのが大誤算。1位通過した「直通パリ」第2ステージからの切り替えがうまくいかなかったのか。「すべての試合に完全な集中力で臨むことができなかった。今回の経験を通じて、より自分を向上させたい」と決勝を振り返った許シン。世界王者への道のりは、まだまだ険しい。

photo左:今シーズンは通算3勝2敗の朱世赫だが、大きな大きな1勝だった
photo右:第1戦で馬龍を破った王励勤。パリ大会の代表選出はあるのか?
 1月19日に終了した世界選手権代表選考会「直通巴黎(直通パリ)」の男子第2ステージ。その後の会見などでの劉国梁監督の毒舌ぶりは先日お伝えしたが、実は劉国梁監督、意外な事実も暴露していた。

 「直通巴黎」の男子第2ステージで3位に入った陳杞。最終戦では張継科に3−0で完勝した。破壊的なパワードライブで、当たった時の強さはいまだ健在だ。若手には辛口の劉国梁監督もこう賞賛している。
 「陳杞は『殺神』としての気迫を前面に出し、大物食いという長所を存分に発揮してくれた。これまで彼が出た選考会の中で、最も良いプレーだったと言うべきだ。そして、個人的には今回出場した全選手の中で、最も素晴らしいプレーをしたのは彼だと思っている」(劉国梁監督)。劉国梁監督がほめだしたら、すでに主力選手ではないという証明のような気もするが…。そして劉国梁監督、他の選手たちの前で陳杞にこんなことも言っている。

 「生まれたばかりの子どもが、君に運気と幸運をもたらしてくれたかどうかはわからないが、その集中力とプロ根性はすべての人が学べきものだと思っているよ」

 …陳杞、いつの間にかパパになっていたんですね。2011年9月に北京舞踏学院出身の美女との結婚がスクープされていた陳杞。男の子か女の子かは明らかではないが、美男・美女になることは間違いなさそう。
 世界選手権やプロツアー・グランドファイナルでは「Mr.ベスト8」である陳杞。ここからまたひと華、咲かせるのか?

photo:パパになっていた陳杞。かつて張怡寧と噂になったことも
 1月15〜19日に北京で行われた、世界選手権個人戦パリ大会の中国代表選考会「直通巴黎(直通パリ)」の男子第2ステージ。第2ステージに先駆けて行われたネット投票で上位3名に入り、最終ステージ進出を決めた馬琳・王皓・ハオ帥を除く17名で熱戦が展開された。17選手の第2ステージ最終順位は以下のとおり。

★「直通巴黎」男子第2ステージ
1   許シン   13勝3敗
2   馬龍    13勝3敗
3   陳杞    11勝5敗
4   張継科   11勝5敗
↑↑↑ 上位4名は最終ステージに進出 ↑↑↑

5   閻安    10勝6敗
6   劉吉康   10勝6敗
7   王励勤   9勝7敗
8   樊振東   9勝7敗
9   崔慶磊   9勝7敗
10  周雨    8勝8敗
11  徐晨皓   7勝9敗
12  方博    6勝10敗
13  張超    6勝10敗
14  馬特    5勝11敗
15  呉家驥   4勝12敗
16  呉ハオ   3勝13敗
17  邱貽可   2勝14敗

 総合1位は現在世界ランキング1位の許シン。出足で2勝3敗と出遅れ、劉国梁監督から「いてもいなくても同じだった」(!)と酷評されたが、ここから発奮して驚異の11連勝。馬龍と張継科にも3−0のストレートで完勝し、通算13勝3敗で首位通過を決めた。
 「ぼくが(劉国梁監督から)批判されるのは良いことだと思うよ。だってそれだけぼくに注目してる、重視してるってことだからね」(出典:『華奥星空』)とあっけらかんとしたところを見せている許シン。今ノリにノッている選手だが、ケガだけは気をつけてほしい。

 総合2位は許シンと同じく13勝3敗の馬龍。3位には久々に存在感を示した陳杞が入り、張継科は最終日に張超と陳杞に敗れ、最終ステージ進出ギリギリの4位で第2ステージを終えた。
 選手の油断を許さない劉国梁監督は、すかさず「張継科は100%の力を出し切っていない。良くない傾向だ。浮かれやすく、油断しやすいのが彼の最大の欠点で、これは簡単には直せないだろう」とコメント。さらに追い打ちをかけるように、張継科にこんな皮肉も言っている。「君は15カ月で大満貫を達成する奇跡をやってのけた。そして、もうひとつの奇跡を起こす可能性があるぞ。たった1大会だけで五輪の舞台を去るっていう奇跡をね」

 これで男子の「直通巴黎」は、最終ステージを戦う9名のうち7名が確定。残る2名は協会推薦で決定する。劉国梁監督はまたしても選手たちをイジメ抜くような試合方式を考えているが、それはまた次の機会にお伝えしましょう。

左写真:第2ステージ1位通過の許シン
右写真:「上司にしたくない有名人」ナンバーワンに選ばれそうな劉国梁監督(写真中央)だが、その手腕は疑いようがない
 今年5月に行われる、世界選手権個人戦パリ大会の中国代表選考会「直通巴黎(パリ)」。その男子第2ステージに先駆け、1月14〜18日に「新浪」「捜狐」「網易」「騰訊」の4つのポータルサイトで行われた、中国男子チームの「世界選手権・代表選抜ネット投票」の結果が発表されている。

 第2ステージ免除で3月の最終ステージに進出できる上位3選手は、1位:馬琳、2位:王皓、3位:ハオ帥の3名に決定した。現世界・五輪王者の張継科は、惜しくも4位で次点だった。10位の周雨までの得票数一覧は下記のとおり。

★「直通巴黎」男子最終ステージ出場資格・ネット投票
1位  馬琳   825,094票
2位  王皓   820,256票
3位  ハオ帥  770,988票
4位  張継科  616,746票
5位  許シン  216,010票
6位  馬龍   138,984票
7位  王励勤  19,075票
8位  陳杞   14,540票
9位  方博   5487票
10位 周雨   3441票

 1位の馬琳と2位の王皓の票差は非常に僅差。そして、4位の張継科と5位の許シン、6位の馬龍と7位の王励勤の間にかなり票数の開きがある。日本のファンからすると、ハオ帥が馬龍の6倍近い得票というのはちょっと意外な気もする。
 ちなみに4つの大手ポータルサイトのうち、「新浪」は王皓が断トツの1位、「捜狐」と「網易」は僅差でハオ帥が1位、「騰訊」は馬琳が大差で1位と、サイトによって選手の得票の割合が違うのも不思議だ。投票はひとり1日1回ということだったが、少し時間を空けたら普通に投票できたので、何台ものパソコンで1日何回も投票していた熱狂的ファンもいるかもしれない。

 馬琳が得票数1位で張継科が4位というのも、単なる人気の反映ではなく、馬琳のファンは第2ステージでの馬琳の成績により危機感を抱いているのかもしれない。ちなみに下位を除いてみると、18位は呉家驥(724票)、19位は張超(443票)、そして最下位の20位は…中国リポート担当が3票を投じた徐晨皓クンでした。残念!

写真:得票数1位の馬琳。「パリ大会はぼくにとって最後の世界選手権であり、世界タイトルへの最後のチャンスだ。ぼく自身が思っているのと同じように、ファンのみんなもぼくに大満貫の夢を託しているのかもしれないね」とコメントしている(大満貫=五輪・世界選手権・ワールドカップで優勝すること)
☆☆☆ 2012中国卓球クラブ超級リーグ 女子プレーオフ準決勝 1.5〜9 ☆☆☆
※1・2・4番は5ゲームズマッチ、3・5番は3ゲームズマッチ。すべて第5ゲームは7点先取で行う

●準決勝第1戦
〈山東魯能 3−1 八一冀中能源〉
 陳夢 6、−8、−11、−3 曹臻○
○李暁霞 5、−8、4、−5、8−6 郭躍
○陳夢/顧玉ティン 8、9 郭躍/劉曦
○李暁霞 −11、9、8、−5、9 曹臻
(河北科技大学体育館)

〈山西大土河・華東理工 3−1 北京控股集団〉
 馮亜蘭 −9、−9、8、−2 丁寧○
○劉詩ウェン −7、9、8、10 郭炎
○饒静文/車暁曦 −5、8、7−5 郭炎/盛丹丹
○劉詩ウェン −9、9、−5、7、7−5 丁寧
(北京広安体育館)

●準決勝第2戦
〈山西大土河・華東理工 3−1 北京控股集団〉
○馮亜蘭 2、9、3 丁寧
○劉詩ウェン 9、3、6 盛丹丹
 范瑛/鄭詩暢 −8、5、1−7 盛丹丹/李天一○
○劉詩ウェン 11、−7、6、6 丁寧
(山西大土河体育館)

〈八一冀中能源 3−2 山東魯能〉
○郭躍 −7、4、6、11 李暁霞
○曹臻 10、8、6 陳夢
 郭躍/劉曦 −3、−8 陳夢/顧玉ティン○
 曹臻 −10、−12、8、−1 李暁霞○
○劉曦 −11、3、7−2 顧玉ティン
(山東大学体育館)

●準決勝第3戦
〈八一冀中能源 3−2 山東魯能〉
○曹臻 −7、4、6、11 陳夢
○郭躍 10、8、6 李暁霞
 郭躍/劉曦 −3、−8 陳夢/顧玉ティン○
 曹臻 −10、−12、8、−1 李暁霞○
○劉曦 −11、3、7−2 顧若辰
(山東大学体育館)

 2012中国卓球クラブ超級リーグの女子プレーオフ準決勝は上記のような結果となった。
 第1ステージ1位でプレーオフに進んだ山西と、丁寧を擁する北京の一戦は、山西が2連勝。北京は2番手・郭炎が急性胃腸炎のために第2戦を欠場し、戦力ダウンを余儀なくされたが、エース対決で丁寧が劉詩ウェンに2連敗しては勝ち目は薄い。
 超級リーグを終え、『新京報』の取材に対して「この一年はとても長く、とてもひと言で総括することはできない。本当にいろいろなことがありました」と語った丁寧。「いろいろなこと」というのが、ロンドン五輪決勝での4本のサービスフォールトを指していることは言うまでもない。「(中略)ロンドン五輪の決勝が、あのような形で終わってしまって、当時はとても受け入れられなかった。完全に“崩壊”してしまった」(丁寧)。今シーズンは18勝5敗と及第点の成績を残した丁寧だが、チームに復帰した郭炎の調子が上がらず、思いのほか苦しいシーズンになってしまった。

 準決勝のもうひと試合は、第3戦のラストまでもつれ込む激戦の末、八一冀中能源が決勝進出。第2・3戦と郭躍が李暁霞を破り、山東の三連覇の夢を阻んだ。第2戦の終了後に胃けいれんに襲われ、ほとんど食べ物を口にしない状態で第3戦に臨んだ郭躍、新境地の八一で意地を見せた形だ。「チームはとても団結力がある。今日の試合に勝てて決勝に行けるのは本当にうれしい。決勝は一試合、一試合頑張って、八一(解放軍)の軍人としての誇りを見せたい。山西とは実力は接近していると思う」(郭躍)。
 超級プレーオフ女子決勝は、1月21日に第1戦、24日に第2戦が行われ、1−1のタイになった場合は25日の第3戦で雌雄を決する。

下写真:波瀾万丈の1年を振り返った丁寧(左)と、久々に元世界女王の存在感を見せた郭躍
★★★ 2012中国卓球クラブ超級リーグ 男子プレーオフ準決勝 1.6〜11 ★★★

●準決勝第1戦
〈寧波海天塑機 3−2 渤海銀行・天津〉
 朱世赫 6、−9、−7、−5 雷振華○
○馬龍 6、9、7 ハオ帥
 閻安/ジャイ一鳴 −8、−5 ハオ帥/胡彬○
○馬龍 −8、7、−10、1、7−3 雷振華
○閻安 8、8 胡彬
(天津紅星職業体育館)

〈上海金邁弛 3−1 山東魯能〉
○王励勤 7、9、5 張継科
○許シン 9、9、8 方博
 王励勤/尚坤 9、−10、5−7 張超/方博
○許シン 12、6、9 張継科
(上海青浦体育館)

●準決勝第2戦
〈寧波海天塑機 3−1 渤海銀行・天津〉
○馬龍 6、−6、4、9 ハオ帥
○閻安 −12、6、9、7 雷振華
 閻安/ジャイ一鳴 −10、10、4−7 ハオ帥/胡彬○
○馬龍 キケン 雷振華
(寧波北侖訓練基地)

〈上海金邁弛 3−2 山東魯能〉
○許シン 12、4、9 方博
 王励勤 7、−9、−9、−8 張継科○
 王励勤/尚坤 −11、−10 張超/方博○
○許シン 6、−10、−5、5、7−0 張継科
○尚坤 −6、10、7−4 張超
(山東大学体育館)

★寧波海天塑機と上海金邁弛が決勝進出!

 中国超級リーグの男子プレーオフ準決勝は、寧波海天塑機と上海金邁弛がともに2勝0敗で決勝へ勝ち上がった。
 
 寧波と渤海の一戦は、背筋を傷めていた渤海のエース・ハオ帥が2試合で単複3勝を挙げ、よく食い下がった。しかし、準決勝第2戦の4番では、2番で腰を傷めていた雷振華がまさかの棄権。超級リーグへの復帰、パーソンの参戦、プレーオフへの躍進と話題に満ちたシーズンは、思いがけない幕切れを迎えた。渤海の馬文革監督は「今シーズンには全く後悔するところはないよ。来シーズン、もし李平がチームに合流できたら、ダブルスはより強くなるはず。超級ではダブルスが大きなカギを握るからね」(出典『渤海早報』)とコメントしている。

 それにしても寧波の大黒柱・馬龍の強さには恐れ入る。開幕戦で張継科にゲームオールで敗れてから、なんと24連勝中。脇を固める閻安が20勝10敗、ジャイ一鳴が17勝12敗とこちらも好成績を残している。

 準決勝のもうひと試合、上海対山東は張継科の不調がすべてだった。これまで圧巻の勝負強さを見せてきた男が、準決勝2試合で3敗という予想外の結果。第1戦では王励勤に久々の黒星を喫し、同世代のライバル許シンにも連敗している。
 「上海チームの決勝進出を祝福したい。彼らが決勝でより良いプレーをすることを願っているよ。ぼくはチームを苦しい状況から救うことができなかった。もっと体力トレーニングが必要だし、自分に対してより厳しくならなければいけない。王励勤は精神面がとても安定しているし、ピークを過ぎてもまだ技術がレベルアップしている。彼から学ぶことはたくさんあるよ」(張継科/出典『華奥星空』)。

 超級リーグ男子プレーオフ決勝は1月22日に第1戦、26日に第2戦が行われる。1勝1敗になった場合は27日に優勝決定戦を開催。ノリにノッている馬龍と許シンの激突、果たしてどんな結末が待っているのか。下写真は左から馬龍、許シン、張継科。若手三羽ガラスは準決勝ではっきりと明暗を分けた。