スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 00年シドニー五輪複金メダリストで、引退後は自ら設立した江蘇李菊体育用品有限公司の董事長でもある李菊(リ・ジュ)が、山東省青島市に新しく設立されたスポーツブランド「博鷹(bright)」のイメージキャラクターに就任。4月12日に青島市でブランドの発表会が行われた。「博鷹(bright)」を設立した青島博鷹特紡績品有限公司は日中の合弁会社。日本製の最新鋭の縫製機器を揃え、著名なスポーツブランドなど世界20カ国以上からOEM(他社ブランド製品の製造)を請け負っている。
「この青島(チンタオ)はとても好きな街。今年の夏に北京五輪のヨット競技の会場になることも知っていますよ。オリンピック期間中はこちらには来られないと思いますが、私は北京でオリンピックをサポートすることになるでしょう(李菊・出典/半島都市報)」

 かつてはシャープな体躯から繰り出す、両ハンドのカミソリドライブが武器だった李菊。抜群の運動能力を感じさせるプレースタイルだったが、もともとは体が弱く、小学校でも体育より美術のほうが得意だったそうだ。体を鍛えるために始めた卓球で世界のトップクラスまで登りつめたが、現役後半は故障との戦いだった。
 彼女のあとに張怡寧、郭炎、郭躍、李暁霞と多くのシェークドライブ型が頭角を現してきたが、38mmと40mmというボールの違いはあるにしても、李菊のドライブの切れ味は今でも鮮烈な印象を残している。…しかし、スポーツブランドのトップが、違うスポーツブランドのイメージキャラクターになって良いのだろうか。

Photo:今はちょっと貫禄がついた李菊。現役最後となった04年ドーハ大会にて
 国際卓球連盟によって帖雅娜・林菱が五輪への直接出場権を剥奪され、張瑞の五輪予選通過が保留とされたのは、3人とも代表として出場する香港特別行政区のパスポートを持っていなかったためだ。
 香港特別行政区のパスポートを取得するためには、7年以上の在住によって「永久居民」のIDカードを取得しなければならない(IDカードは居留証で国籍とは別)。帖雅娜・林菱・張瑞の3名が中国香港に移籍したのは、2001年10月の全中国運動会の後で、「7年以上の在住」という要件に数カ月足りなかったのだ。2000年に移住した男子チームの李静と高礼澤は、昨年末に滑りこみセーフでパスポートを取得している。

 しかし、振り返ってみると2004年アテネ五輪・卓球競技の中国香港選手団で、「7年以上の在住」という要件を満たしていたのは男子の梁柱恩と女子の桑亜嬋だけだった。男子ダブルスで銀メダルを獲得した李静と高礼澤、女子シングルスに出場した帖雅娜・林菱・柳絮飛の3人は、まだ香港特別行政区のパスポートを取得していなかったにも関わらず、「(今後例外を認めない)特赦」という形で国際オリンピック委員会から出場が許可された。

 この「特赦」が今回の混乱を招いたという感は否めない。特に林菱は01年世界選手権で中国代表として2位に入り、移住から3年に満たないうちに中国香港代表として五輪に出場している。IOC憲章では、世界選手権大会などで一方の国を代表した後で国籍を変更した場合、「このような変更もしくは取得の3年後までは新しい国を代表してオリンピック競技大会に参加してはならない(第5章Ⅱ規則46細則2)」。もちろんIOCの裁量によって、例外は認められるのだが、国籍取得から3年はおろか、移住してから3年も経っていない選手をなぜ「特赦」の対象にしたのだろうか。
 その上、(例外を認めない)特赦によって04年アテネ五輪に出場したことが、今回の北京五輪でも再び特赦を引き出した形になっている。なぜ特赦が特赦を呼ぶのか。張瑞にしてみれば、帖雅娜・林菱と移住した時期がほぼ同じにも関わらず、「アテネ五輪に出場していない」ことで出場資格が認められないとしたら、納得できるはずがあるまい。激戦の連続となったアジア大陸予選は、彼女にとって一体何だったのか。

 アジア大陸予選が終わった後に自動出場権を取り消した国際卓球連盟の行動も不可解だったが、今回の国際オリンピック委員会の裁定はさらに不可解で、なんとも後味が悪い。パスポート取得が五輪出場の条件で、しかも前回の出場が特例であったのなら、今回は断固として「No」ではないのか。なぜふたりが「Yes」でひとりが「No」なのか。

 香港オリンピック委員会の霍震霆(ティモシー・フォク)会長は、香港の大富豪の一族。父親の霍英東(ヘンリー・フォク/2006年没)氏は北京五輪招致にも大いに貢献した人物で、これまでに中国スポーツ界へ8億香港ドル(約121億円)以上を寄付したと言われる。もちろんそれは氏の善意によるものだが…。もし今回の出場資格問題が、香港ではなく、たとえば南太平洋の島国で発生したとしたら、IOCは部分的とはいえ「Yes」と言ったのだろうか。

Photo:04年アテネ五輪で、中国香港唯一のメダリストとなった李静/高礼澤も、本来は五輪への出場資格はなかった
Photo:張瑞、五輪出場の鍵はわずか1カ月でその手をすり抜けていった
 トピックスでもお伝えしたが、4月10日、国際オリンピック委員会(IOC)は理事会で帖雅娜と林菱(ともに中国香港)の五輪出場資格を承認した。04年アテネ五輪にも出場していること、またパスポート取得が間近であることが主な理由だ。一方で、アジア五輪大陸予選を通過した張瑞については、出場資格が認められなかった。
 選手の五輪出場についての決定権を持つIOCが最終判断を下したことで、香港の3選手の出場問題は一応の決着を見たことになる。中国香港オリンピック委員会としては、霍震霆会長が北京でIOCのジャック・ロゲ会長に「特赦(とくしゃ)」を求めるなど、IOCへの積極的な働きかけが実った形だ。

 ハンガリーで行われる五輪最終予選に出場する帖雅娜と林菱。両選手の実力を持ってすれば予選通過はほぼ確実だ。国際卓球連盟(ITTF)から自動出場権を剥奪され、自らのブログで「非常に憤慨しているし、理解できない思い」とその心情を吐露していた帖雅娜。29歳の帖雅娜、31歳の林菱にとって、ラストチャンスとも言える大会だった北京五輪だけに、出場が認められてひと安心だろうが、チーム内でハッキリ明暗が別れては手放しでは喜べないだろう。

 それにしても、今回の中国香港選手の出場資格騒動には、多くの疑問がつきまとう。まず、香港はなぜ1997年の中国への返還後も、IOCへの加盟を続けているのだろうか。
 1952~1996年まで、イギリスの海外領土としてIOCに加盟していた香港。現在でもイギリス領時代から培ってきた文化や風土があり、大幅な自治権を持つ特別行政区として、中国とはある程度独立した存在となっている。しかし、国内オリンピック委員会(NOC)は原則として1カ国につき1つしか認められないはずだ。台湾が「チャイニーズタイペイ」としてIOCに加盟しているのには、「正統な中国」の座を巡る長い闘争の歴史があるが、香港が「HONG KONG, CHINA(中国香港)」としてIOCに加盟を続ける必然性は感じられない。

 IOCには中国香港の他にも、イギリスなどの海外領土が個別にIOCに加盟している(英領ヴァージン諸島・アメリカ領サモアなど)。しかし、遥かに離れた本国での選手選考に加わるのが難しいこれらの島々と違い、香港は中国・広東省の一部。中国香港オリンピック委員会は、中国オリンピック委員会と一本化するのが望ましい。なにしろ中国香港の選手が優勝しても、オリンピックの表彰式で流れるのは中国の国歌「義勇軍行進曲」なのだ。加えて卓球競技では、元中国選手に対する勝利者操作の疑惑が、中国香港という存在に微妙な影を落としている。

(その2に続く)

Photo:世界最終予選に出場する帖雅娜(上)と林菱(下)。両選手が最終予選を通過すれば、これに柳絮飛を加えた中国香港女子チームは、日本女子にとっても相当な強敵になる
 シンガポール・スポーツ界のベストカップルとして名を馳せたリ・ジャウェイ(世界ランキング8位)と、バドミントンのシンガポール男子チームのエース、ロナルド・スシロが今年1月に婚約を解消。現在、共有財産の所有権で揉めているようだ。

 現在26歳のリ・ジャウェイと、28歳でインドネシア出身のスシロ。2002年のコモンウェルスゲームス(英連邦運動会)で知り合い、5年半に及ぶ交際を続けてきた。2004年アテネ五輪では、リ・ジャウェイが2000年シドニー五輪金メダリストの王楠(中国)を、スシロが当時世界ランキング1位の林丹(中国)を破り、ともにメダルには手が届かなかったものの、一躍国民的なスター選手となった。
 しかし、世界のトップ選手として世界中を転戦するふたり。それだけに愛を育(はぐく)んでいく時間が足りなかったのか、今年1月にその関係には終止符が打たれた。その後、スシロは共有していたマンションや自動車の所有権を主張し、法廷で争うことも辞さない構え。北京五輪に集中したいというリ・ジャウェイとの間で、問題解決の糸口は見つからないようだ。

 卓球選手とバドミントン選手と言えば、05年世界選手権3位のメイス(デンマーク)も、03年世界バドミントン選手権3位のヨルゲンソン(デンマーク)と交際していたが、やはり5年ほどで破局を迎えてしまった。選手としてのプライド、転戦に次ぐ転戦、トップ選手間の恋愛には、なかなかに障害も多い模様…。

Photo:リ・ジャウェイ、今は五輪に全力投球か…
 4月6日、フランス・ナントで行われていた北京五輪ヨーロッパ大陸予選が終了。男女で11名が代表権を獲得したが、女子はなんと11名中7名を中国からの帰化選手が占めた。予選通過を決めた中国系選手は以下のとおり。

リー・ジエ    李潔    (オランダ)
フー・メレク   候美玲   (トルコ)
シェン・イファン 羨宜芳   (フランス)
シュー・ジエ   徐潔    (ポーランド)
リ・チャンビン  李チャン冰 (オーストリア)
ジュ・ファン   朱芳    (スペイン)
タン・ウェンリン 譚文玲   (イタリア)

※李チャン冰のチャンは女+薔の草冠以外

 ヨーロッパ大陸予選を通過した7名のうち、ふたりの選手に少しスポットを当ててみよう。
 2月の広州大会・準々決勝のシンガポール戦では右足首を捻挫し、涙の途中棄権となったリー・ジエ。負傷からわずか1カ月にも関わらず、危なげなく予選通過を決めた。現在23歳の彼女は四川省・成都市の出身で、陳龍燦(88年ソウル五輪複金メダリスト)、成応華(00年シドニー五輪アメリカ代表)に続く、四川省が生んだ3人目のオリンピック卓球プレーヤー。7歳から卓球をはじめ、16歳からオランダのクラブ・デンヘルデルでプレー、昨年末にオランダ国籍を取得している。長身の右カット主戦型で、今年1月のスロベニアオープンではコチヒナ(ロシア)と組んだダブルスで優勝を果たした。

 予選最終日に出場権を獲得したリ・チャンビンは北京市の出身。早くから国家チームのメンバーに選ばれ、99年にはアジアジュニア選手権準優勝。01年の第9回全中国運動会では、張怡寧・郭炎とともに北京市チームを26年ぶりの優勝へ導いている。2002年にオーストリアに渡って代表の座を掴み、プロツアーなどにも積極的に参戦中だ。
 実は彼女の父親は、現在国家男子チームで王励勤らの担当コーチを務める李暁東。リ・チャンビンが国家チームに入った時、女子チームを教えていた李暁東は余計な疑いをかけられないように、娘とは全く会話を交わさなかったそうだ。それが彼女がオーストリアに渡った理由のひとつかもしれない。

 中国系選手の上位独占に、欧州の卓球関係者は危機感を募らせているだろう。特に女子は非常事態と言うほかない。呼吸困難で窒息寸前、という印象を受ける。
 …ただ、中国からの帰化選手が何の苦労もなく、各国の代表枠を手中にしているわけではない。リー・ジエの母親は言う「オランダに渡った当時の娘は言葉も通じないし、ひとりの友達もいなかった。ただひたすら卓球をしていた。娘はプレーヤーとしての道のりを、いつもひとりで歩んできた(出典:成都晩報)」。強い中国系選手の存在が非常事態なのではなく、欧州卓球界が中国への闘志を失いかけていることが非常事態なのだ。

Photo上:実はもう既婚者であるリー・ジエ。23歳にしてはかなりの落ち着きぶり
Photo下:シェーク両面裏ソフト攻撃型のリ・チャンビン

 4月2日、甲Aリーグのファーストステージが行われている重慶市体育館に、93年世界選手権女子シングルス優勝の玄静和(ヒュン・ジュンハ/韓国)が訪れた。昨年12月に韓国女子チーム監督を電撃辞任し、周囲を驚かせた玄静和。甲Aリーグに所属する重慶康徳集団に招待され、重慶康徳に所属する教え子の郭芳芳(韓国女子チーム)のプレーを視察に来たのだ。

 甲Aリーグ女子では、この郭芳芳が所属する重慶康徳が戦力的に他を圧倒している。昨季の超級リーグで9位となり、入れ替え戦で山西省チームに敗れてまさかの降格となった重慶康徳。エースだった李楠は抜けたが、日本リーグでは日本生命に所属する李佳、05年全中国運動会ベスト8の麦楽楽、03年世界ジュニア優勝の李茜に郭芳芳という豪華メンバー。平均年齢はやや高いが、それぞれが実力を発揮すれば優勝は固い。

 対抗馬としてはまず北京拍里奥(PALIO)。ドイツ・ブンデスリーガのクロッパッハでもプレーするカット主戦型の朱虹をエースに、05年世界ジュニア代表組の彭雪と曹麗思がいる。イタリア・カステルゴフレットに所属しているチィ(示+おおざと)蓉、ジュニア代表の経験がある戴寧陽を擁する華東理工上海中学も優勝候補だ。深セン(土+川)柳絮飛は、中国香港代表の柳絮飛がスポンサー社長兼監督兼エースというワン・ウーマンチーム。「超級リーグで優勝を狙えるチームを」という夢への第一歩だが、柳絮飛には帖雅娜と林菱の直接出場枠剥奪で急遽中国香港代表の座が回ってきたため、北京五輪までは後進の育成に力を注ぐ余裕はないだろう。

  その他のトピックスとしては、先日お伝えしたように上海女子チームが「上海双銭集団」として参戦しているが、戦力的には降格を免れるのが精一杯か。4単1複のABC-XYZ方式で行われる甲Aリーグ、ファーストステージは4月6日まで行われ、セカンドステージは6月4~8日まで貴州省遵義市で開催される予定だ。

Photo上:多くのマスコミの取材を受けた玄静和。写真は07年荻村杯より
Photo下:李佳、昨年の日本リーグ前期でのプレー。日本リーグ同様、チームを優勝へと導けるか

 昨日4月2日から、中国の重慶市にある重慶市体育館で、超級リーグのひとつ下のリーグである甲(ジァー)Aリーグのファーストステージが行われている。
 男女各16チームが出場する甲Aリーグ。4・6・9月と年に3回行われ、優勝したチームは超級リーグに昇格、2位のチームが超級リーグ9位のチームとの入れ替え戦に回る。逆に下位2チームは甲Bリーグに降格し、11~14位の4チームは甲Bリーグの3~6位のチームとの入れ替え戦に臨む。昇格より降格のほうが枠が広く、超級にも増して激しい戦いが繰り広げられる。

 男女とも甲Aリーグのメンバー表には、歴代の世界ジュニア選手権や、東アジアグランプリホープスの代表メンバーが数多くいる。次代のホープたちの鍛錬の場であり、また言い方は悪いが墓場にも成りうる。希望と焦燥が交錯するリーグなのだ。
 男子の主なメンバーでは、昨年の世界ジュニア代表で「台に2度乗った男」宋時超、閻安がいる。世界ジュニア準優勝の許鋭鋒は国家1軍チームに昇格したため、超級リーグでの出場となるだろう。4番手の張聖伍男は甲Aのひとつ下の甲Bリーグで登録している。残念ながら、許鋭鋒以外の3人が国家チームの主力クラスに成長する可能性はかなり低そうだ。

 その他にも、04年アテネ五輪ベスト16のリン・ジュ(林聚/ドミニカ共和国)、03年世界ジュニア3位のセム・ゼン(鄭長弓/トルコ)といった帰化選手組、日本リーグではグランプリに所属している01年世界混合複3位のルゥ(瞻の右側)健、06年世界ジュニア複優勝のペン表速攻型・姜海洋らが名を連ねている。甲Aリーグといえども相当ハイレベルなことは間違いない。
 ベンチに入る指導者の中では、福建力恒錦綸科技に福建省チーム総監督の郭躍華と、元全日本学生2位の黄若東(大阪経済法科大卒)。北京銅牛には93年世界複2位で、日本リーグのサンリツでもプレーした張雷がいる。小さなところでは、河北省チームの劉志強監督が、国家チームを引退した牛剣鋒と今年結婚の予定…。

Photo上:湖南広電金鷹の2番手として登録された宋時超
Photo下:すでに08年北京五輪代表が決まっているリン・ジュ。フォアに攻撃力があり、先輩の劉松(アルゼンチン)や陳衛星(オーストリア)に近いスタイルだ
 昨日3月31日、北京市内でドイツの自動車メーカー・アウディの「北京五輪戦略発表会」が行われ、現在中国女子チームのコーチである孔令輝が特別ゲストとして出席した。

 四つの輪を組み合わせたエンブレムが印象的なアウディ(中国語では「奥迪(アオディ)」。北京五輪のオフィシャルパートナーであるフォルクスワーゲングループに属している。北京五輪ではオフィシャル専用高級車に指定されており、すでに昨年1月、専用ロゴマークの入った1000台以上のアウディの乗用車が、国際オリンピック委員会へ納入されている。全国の販売店に五輪コーナーを設置して特許グッズの販売を行うなど、五輪ムードに乗って販路を拡大中だ。

 孔令輝は2006年7月21日の早朝、愛用のポルシェを飲酒運転で乗り回し、タクシーと衝突事故を起こした。幸い負傷者は出さなかったが、日本円で約3万円の罰金と6カ月の免許停止処分を受け、2人の女性が同乗していたこともあって何かと注目を集めた。「事故を起こして、僕は本当に生命の貴さを知った。それが自分の命であっても、他人の命であってもね。車の時には絶対に酒は飲まないし、飲んだ時には決して運転しなくなった(孔令輝)」。
 そして、現在はポルシェからアウディのフラグシップモデルである「S8」に乗り換えたという孔令輝。「現在のコーチという立場から言えば、アウディS8の重厚さのほうが合っていると思う(孔令輝)」中国卓球チームのコーチ陣にも人気だという「S8」の日本での販売価格は1485万円。相当な高級車には違いない。

 選手として出場したアテネ五輪から4年。中国女子チームでは、北京五輪代表である郭躍の担当コーチでもある孔令輝。選手時代とはまた違うハードな日々が続くことになりそうだ。

Photo上:世界選手権広州大会でベンチに入った孔令輝
Photo下:女子団体決勝トップで敗れ、涙する郭躍にかける言葉が見つからない様子…
 3月27日、上海体育職業学院が双銭集団股フェン(にんべん+分)有限公司とスポンサー契約を結び、「上海回力女子卓球チーム」が創立された。

 上海体育職業学院は今年1月に上海体育運動技術学院から昇格・改称。上海のスポーツ界の総本山として、劉翔(04年アテネ五輪110mハードル金メダリスト)、姚明(米プロバスケットボール/ヒューストン・ロケッツ)などのトップアスリートを輩出してきた。世界卓球選手権3回優勝の王励勤も同校の卒業生。
 一方、スポンサーとなった双銭集団股フェン有限公司(ダブルコイン)は、フランスのミシュランとも提携を結ぶ中国最大のタイヤメーカー。国内の好景気に乗って業績を拡大している優良企業で、チーム名に入っている「回力」は「双銭」と並ぶ同社のタイヤのブランド名だ。

 実質的に、上海市女子卓球チームがスポンサーを獲得し、冠名が加わった形となった今回の大型契約。かつては曹燕華や何智麗など多くの世界チャンピオンを輩出し、「世界王者の揺籃(揺りかご)」と賞賛された名門・上海女子チームも、近年は成績が低迷。06年2月には厳しい体力トレーニングに耐えかねた選手たちが集団で合宿先から脱走、その後選手の家族がチームの総監督に暴力を振るうという不祥事も起きている。タイヤメーカーがスポンサーとなり、ここからエンジン始動、大車輪の活躍を見せられるか。まずは超級リーグ昇格が目標になりそうだ。

Photo:世界選手権ザグレブ大会でベスト16に入った姚彦(ヤオ・イェン)。上海女子チームの希望の星だ
 今月21日、中国の北方にある内蒙古(モンゴル)自治区体育局が記者発表会を行い、2010年に開催される、第15回世界ベテラン卓球選手権の準備状況が報告された。世界ベテラン選手権が行われるのは、自治区の区都であるフフホト(呼和浩特)市。大会のロゴやマスコットを中国全土から募集し、体育館も新しく建設するなど気合いが入っている。内モンゴルと聞くと草原を連想する方もいるかもしれないが、フフホト市は人口約260万人の大都市で、人口のほとんどは漢民族だ。

 世界ベテラン卓球選手権は、元世界チャンピオンらで構成された国際スウェスリングクラブが主催する、40歳以上の選手による世界大会(隔年開催)。今年5月にはブラジル・リオデジャネイロで第14回大会が開催される。2004年に横浜で行われた第12回大会には約3,000人の選手が参加するなど、盛大な規模で行われている大会なのだ。

 フフホト市には日本からの直行便はなく、北京での乗り継ぎが必要。成田空港から北京までは約3時間半~4時間、新関西国際空港からは約3時間。北京で飛行機を乗り継いで1時間でフフホトに着くので、日本からでも5~6時間で到着と意外に近い。チベット仏教の寺院や史跡、まだ寒そうだが郊外には雄大な草原も広がっている。大会は6月7~12日の6日間の日程で行われる。

Photo:あまり関係ないですが、内モンゴル自治区の出身である陳衛星。国家女子チームの美人選手・賈君もフフホト市の出身