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中国リポート

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★★★ 2010中国卓球クラブ超級リーグ 男子第3節 6.16 ★★★

[江蘇神鷹炭繊 3-2 寧波回天塑機]
 林晨 6、8、-6、-10、-7 馬琳○
○陳杞 7、9、9 呉ハオ
○ジャン健/林晨 10、-7、8、6 王建軍/呉ハオ
 陳杞 -10、8、10、-10、-9 馬琳○
○ジャン健 8、7、-7、9 唐鵬

[八一熔盛重工 3-2 廊坊銀行海潤]
○王皓 8、9、10 陳剣
 徐克 -6、9、-4、7、-2 許シン○
○閻安/徐克 -4、-11、9、6、5 崔慶磊/張ユク
 王皓 8、8、-6、-9、-4 許シン○
○閻安 -8、3、9、6 崔慶磊

[浙商銀行 3-0 四川郵儲・先鋒汽車]
○馬龍 -9、-4、15、2、9 邱貽可
○ハオ帥 6、3、6 許鋭鋒
○ハオ帥/呉尚垠 8、6、9 邱貽可/金義雄

[山東魯能・路安集団 3-2 上海浦宏神木]
 張超 -8、-8、-7 王励勤○
○張継科 9、-10、11、5 荘智淵
○方博/張超 10、5、7 張洋/尚坤
 張継科 -9、2、-8、-9 王励勤○
○朱世赫 -7、4、7、5 尚坤

 超級リーグ男子第3節は、4試合中3試合がラストまでもつれる接戦。寧波回天塑機は馬琳、廊坊銀行海潤は許シン、上海浦宏神木は王励勤と各チームのエースがシングルス2勝と孤軍奮闘しながら、いずれのチームも敗れている。

 前節の浙商銀行戦でハオ帥、馬龍に連敗した王皓(八一熔盛重工)は、廊坊銀行海潤戦トップで陳剣とのペンホルダー対決に勝利。4番で勝利すれば、八一熔盛重工の今シーズン初勝利が決まるところだったが、2-0のリードから許シンに手痛い逆転負け。チームはラスト閻安の踏ん張りでなんとか勝利を収めたが、王皓はこれで通算成績2勝4敗と、まだ完全復活には遠いようだ。ちなみに国家チームの中でもサッカー好きで知られる王皓、一番のお気に入りのチームはスペイン。この日に行われたサッカーW杯予選リーグのスペイン対スイスの中継を見ることができず、がっかりしたとのこと。八一熔盛重工は王涛監督もサッカー好きで有名だ。

 もうひとりの「王」、王励勤(上海浦宏神木)は、山東魯能・路安集団戦で張超と張継科を連破。「王励勤のプレーは非常にすばらしかった。張継科とはほぼ同じレベルで、どちらが勝ってもおかしくないが、今日は王励勤がうまく戦術を変えてきた」と山東の谷青成監督。この一戦の2日後(6月18日)に32歳の誕生日を迎えた王励勤だが、まだまだ元気なところを見せた。エースがラストにつないだ上海浦宏神木だが、5番では左シェークドライブ型の尚坤が朱世赫に完敗。あと1枚の駒不足で、山東魯能・路安集団に競り負けた。
 その他の試合では、水谷隼(明治大・スヴェンソン)の所属する四川郵儲・先鋒汽車は、浙商銀行に完敗(水谷は欠場)。トップで邱貽可が馬龍から幸先良く2ゲームを先取し、勝利まであと一歩だったが、ここを逆転されると残り2試合はストレートで浙商銀行が勝利を収めた。

Photo:国家チームの「二王」。王皓(上)は1敗したものの、チームは勝利。王励勤(下)は2勝とエースの働きを見せたが、チームは惜敗した
☆☆☆ 2010中国卓球クラブ超級リーグ 女子第3節 6.16 ☆☆☆

[広東深セン長園 3-1 遼寧鞍山城投房産]
○劉詩ウェン 8、10、10 文佳
 福原愛 -5、-8、7、-6 郭躍○
○周芳芳/蔡賽 -6、5、8、7 文佳/侯暁旭
○劉詩ウェン -6、5、7、6 郭躍

[山西大土河華東理工 3-2 北京控股]
 范瑛 -2、8、-10、-7 丁寧○
○郭炎 7、7、-10、4 曹麗思
○饒静文/帖雅娜 11、11、-7、5 彭雪/曹麗思
 郭炎 -9、-12、-9 丁寧○
○饒静文 -7、9、4、8 彭雪

[大同雲崗-金地砿業 3-2 八一冀中能源]
 馮天薇 -5、-6、-6 曹臻○
○李暁丹 7、4、13 楊揚
 馮天薇/劉娟 3、-7、5、-8、-8 木子/白楊○
○李暁丹 -5、5、9、9 曹臻
○武楊 11、-7、5、7 木子

[山東魯能 3-1 内蒙古銀行]
○李暁霞 -6、7、7、7 姚彦
○金キョン娥 -10、7、10、-8、2 馮亜蘭
 彭陸洋/李茜 7、-10、-11、-9 姚彦/陳夢○
○李暁霞 -5、-5、7、7、9 馮亜蘭

 超級リーグ女子第3節、広東深セン長園は、広東深セン高級中学(日本の高校に当たる)体育館で、郭躍を擁する遼寧鞍山城投房産と激突。福原愛が2番に出場したが、2月のクウェートオープンで勝利している郭躍に1-3で敗れ、今シーズンの初白星はならなかった。試合は2-1と広東深セン長園のリードで、劉詩ウェンと郭躍のエース対決。国家チームでふたりを指導する孔令輝コーチも視察に訪れる中、劉詩ウェンが勝利を収めた。開幕戦では郭炎に敗れ、モスクワ大会決勝での敗戦の影響を感じさせた劉詩ウェンだが、第2戦に続くシングルス2得点と復調の気配だ。
 この広東深セン長園vs.遼寧鞍山城投房産の試合の模様は、来月発売の卓球王国9月号で詳しくお伝えしますので、ご期待ください!

 その他の試合では、大同雲崗-金地砿業が八一冀中能源に3-2で勝利し、開幕から無傷の3連勝。すでに全勝チームはこの大同雲崗-金地砿業と、第2節がお休みだった山西大土河華東理工の2チームのみとなっている。大同雲崗-金地砿業はエース馮天薇が単複で2失点を喫したが、李暁丹がシングルス2得点でチームのピンチを救った。丁寧とリ・ジャウェイを連破した第2節の北京控股戦に続く活躍で、今シーズンは大ブレイクの兆しを見せている。1990年生まれで劉詩ウェンや丁寧と同じ「90後」世代だが、国際大会での成績は今ひとつ。これから国際大会でも存在感をアピールできるか。

Photo上:福原、05年シーズンに所属した遼寧鞍鋼ではチームメイトだった郭躍に惜敗
Photo下:劉詩ウェンは郭躍との「同門対決」を制した
 モスクワ大会で9連覇の夢を断たれた中国女子チーム。しかも女子決勝が行われた5月30日は、中国の女子スポーツにとって、かつてないほどの「厄日」だった。アジアを代表する強豪チームだった中国女子サッカーチームが、アジアカップ3位決定戦で日本に0-2で敗れ、初めてワールドカップ出場を逃した。また、河南省ルオ(さんずい+累)河市で行われていた中国国際女子バレーボール第2日目では、04年アテネ五輪優勝の中国女子バレーボールチームが、ドミニカ共和国に1-3でまさかの敗戦。歴史的な敗戦が相次いだ。

 そして、モスクワ大会の女子決勝からさかのぼること2週間前。女子卓球チームと全く同じように、連覇の夢を断たれた中国代表チームがある。マレーシア・クアラルンプールで行われた第23回世界女子バドミントン選手権(ユーバー杯)。国別対抗戦の決勝で、中国バドミントン女子チームは1-3で韓国に敗れ、1998年大会から続けていた連覇が6でストップした。決勝ではトップで世界ランキング1位の王儀涵が、一度も負けたことのない裴昇煕(韓国)に完敗。2番ダブルスでプレッシャーに呑まれた若手ペアが敗れ、3番で1点を返したものの、4番で杜靖/于洋が競り負けて終戦。卓球のモスクワ大会は、まるでリプレイのような展開だったのだ。ちなみに、世界バドミントン選手権では日本男女チームがアベック銅メダル、北京五輪優勝を最後に現役引退したバドミントン界の女王は「張寧」という名前だった。奇妙なほど共通点が多い。

 「一刻も早く“一姐(イージエ)”を育成せよ」。中国バドミントンチームの李永波総監督は、世界バドミントン選手権の総括会議で号令を出している。「一姐」は単にエースであるだけでなく、精神的な支柱としてチームを引っ張って行ける女子選手のこと。「一姐」の不在が問題になっているのは、何も女子卓球チームだけではない。若くて実力のある若手が育ちながら、中心選手として重責を担う選手が現れず、ひとたび足並みが乱れるとチーム全体が崩れていってしまう-「無核時代」と評される現象が、他のスポーツの国家チームでも顕著に現れている。

 6月2日付の重慶晩報には、「女子卓球チームの敗戦は、北京五輪の後遺症」という記事が掲載された。中国は北京五輪に照準を合わせて選手を育成してきた結果、エースや一番手の選手が技術面・精神面ともにピークを迎え、北京五輪ですばらしい成績を残した。しかし、北京五輪の開催後、中国スポーツ界全体で急激な世代交代が進み、経験不足の若手が成績を伸ばせないでいるというのだ。「卓球からは張怡“寧”、バドミントンからは張“寧”、どちらも寧がいなくなり、観客は安“寧”に試合を見られなくなった」(重慶晩報)。北京五輪という国家的事業を終え、さしもの常勝軍団にもわずかな隙が生まれたということか。

  モスクワ大会での思わぬ敗戦は、果たして「常勝・中国女子」のプライドに火をつけるのか。モスクワ大会決勝で痛恨の敗戦を喫した劉詩ウェンと丁寧だが、少し歴史を振り返ってみよう。92・96年五輪優勝のトウ亜萍は91年千葉大会決勝の2番で敗れ、劉詩ウェンや丁寧と同じように中国女子の9連覇を実現できなかった。張怡寧も大抜擢された00年クアラルンプール大会決勝のチャイニーズタイペイ戦では、3番で徐競に敗れる苦い経験をしている。
 中国女子の上位独占は歓迎すべき事態ではない。しかし、劉詩ウェンの躍動する両ハンドドライブ、丁寧のダイナミックなラリー戦は魅力的だし、ルックス、プレースタイルともにスター性は十分だ。ふたりの今後に期待したい。

Photo上:「張怡寧さえいれば…」と思ったファンも中国では多かったはず。写真は09年全中国運動会
Photo下:劉詩ウェン、ここから世界ランキング1位の真価が問われる
 世界選手権団体戦モスクワ大会の代表選考会「直通莫斯科(直通モスクワ)」。その第1次選考会の決勝で劉詩ウェンを破り、代表一番乗りを果たした郭躍。輝かしい実績を持つ元世界女王は、なぜかモスクワ大会で予選リーグ1試合の出場に留まった。郭躍の地元・遼寧省の『遼寧日報』をはじめ、この選手起用に疑問を呈する報道は少なくない。

★揚子晩報(5月30日)「なぜ郭躍を見捨てたのか?」
・丁寧を重用した施之皓の選手起用は不可解だ。準決勝の日本戦トップで福原に辛勝した丁寧が、シンガポール戦でも起用されるとは思わなかった。一方で、五輪2大会出場、世界選手権の3種目で優勝している郭躍は1試合のみの出場。コーチ陣は「郭躍は左肩を故障している」と言うが、本人は問題ないと言っていたし、出場したいという意思を表明していた。
 決勝のベンチで、チームメイトが次々と敗れていくたび、郭躍は私たちと同じように「むしゃくしゃする」と思っていただろう!

★遼寧日報(6月1日)「なぜ郭躍を起用しなかったのか」
・経験と実績からいっても、郭躍こそ決勝に出るべき選手だった。施之皓監督自身も、かつて「世界選手権団体戦では、技術や戦術だけでなく、あの雰囲気に慣れていること、そして経験が重要」と言っていたはずだ。世界選手権の決勝を唯一経験している郭躍が、なぜ決勝で起用されなかったのか。

 張怡寧不在のモスクワ大会で、主力としての起用が予想されていた郭躍。予選リーグで起用されたポーランド戦も、格下のパストルが相手とはいえ「11-4、11-2、11-5」と文句のない内容で、抱えていた左肩の故障の影響もそれほど感じられなかった。不可解と言えなくもない選手起用に、郭躍と施之皓の不仲説を取り上げるマスコミまで現れた。
 6月2~3日、CCTV(中国中央電視台)ではモスクワ大会の特集『成長』が放送され、6月3日の放送で女子チームの施之皓監督、劉詩ウェン、丁寧、郭炎、郭躍が出演した。この放送で郭躍は「大会前の集合訓練では確かに故障で10日ほど練習を休んだけど、大会では精神的な準備はしっかりやっていた。過去2大会の決勝で負けていても、今回は試合に出場できれば、必ず良いプレーをする自信はありました。メンタルが崩れることもなかったはず」と発言。一方、施之皓監督は「郭躍を出していたら勝っていたと思いますか?」と質問され、以下のように答えている。

「あくまでも仮定の話だが、もし郭躍が集合訓練で他のメンバーとともに無事にプログラムを終え、一定のレベルに達していたならば、2番手では起用していただろう。郭躍の才能については、私も含めて誰もが認めるところだ。しかし、ただ才能にのみ頼っていたのでは不十分。郭躍には胸に刻んでおくべき沢山の教訓があるし、今回のモスクワ大会を通じて多くのことを自覚し、目覚めてくれるように願っている」(施之皓)。

 集合訓練に入って3日目にふくらはぎを傷め、左肩だけでなく多くの部分に故障を抱えていたという郭躍。しかし、故障が起用されなかった最大の原因だったのだろうか。施之皓監督は『海峡都市報』の取材に対し、「モスクワでも郭躍に『故障の状態はどうか』と尋ねた。試合に出たいという積極的な姿勢を期待していたが、その自信すらないようだった」とも述べている。張怡寧が長期休暇に入った後、郭躍がいるにも関わらず「劉詩ウェンが未来の女子チームのリーダー候補」と発言していた施之皓監督。郭躍は少なくとも今回のモスクワ大会では、将来を見据えた中国女子チームの戦力構想から外れていたようだ。

 (その3に続きます…)

Photo上:モスクワ大会の女子決勝後、中国の報道陣に囲まれる施之皓監督
Photo中:わずか1試合の出場に留まった元世界女王・郭躍
Photo下:劉詩ウェンにアドバイスする施之皓監督。その後ろで鋭い視線を送るのは…?
 2010年5月30日、世界選手権団体戦モスクワ大会の女子決勝で、シンガポールに歴史的な敗戦を喫した中国女子チーム。93年イエテボリ大会から続いてきた連覇は8でストップ。多くの中国選手が海外に流出しながらも、なお揺るがぬ強さを誇ってきたが、その敗戦は意外なほどあっけなかった。劉詩ウェンや丁寧からは、対戦相手の戦意を喪失させる、あの中国女子の「神通力」が失われていた。シンガポールと同じ土俵に下りて来て、真っ向から試合を挑んでしまった。
 蚊の鳴くような声を絞り出す劉詩ウェン、眉間に皺を寄せてじっと前を睨んでいた丁寧、ふてくされたような態度の郭躍。敗戦後の記者会見で、打ちひしがれた表情を見せた常勝軍団の姿は、今もって忘れがたい。

 新記録となる9連覇の達成よりも、はるかにセンセーショナルな中国女子の敗戦。中国国内でも様々な論調で報道されている。敗戦について一定の理解を示す報道もある。

★武漢晨報(5月30日)「敗北もまたひとつの貢献」
・中国女子が負けた! 多くの人がこの結果を信じられないでいるだろう。しかし、「負けたからどうしたというのか」というのが正直な感想だ。シンガポールは全員が中国選手、昨日の決勝はさながら部内対抗戦のようだった。
 中国女子がその強さを増すたび、それは周囲の不評を買う。ルール改正のたびに国際卓球連盟がはらう労力にはまったく同情する。卓球は世界のスポーツ、中国だけのものではない。だから中国が負けるのも、広い視野に立ってみれば、卓球界にとってはひとつの貢献だ。
★成都日報(6月2日)「必要なのは総括と反省、名指しの批判は不要」
・施之皓監督は失敗の責任を負うべきだが、それ以上の選手への批判をするべきではない。しっかり総括を行うことで、モスクワでの失敗を未来への貴重な財産になる。中国が上位を独占していた状況の中で、今回の敗戦は中国女子チームにとっても、また世界の女子卓球界にとっても、むしろ歓迎すべき事態かもしれない

 また、今回の若手の起用は拙速すぎたという意見や、近年の中国卓球協会の方針である「養狼(ライバル育成)計画」に言及した報道もある。

★京華時報(5月30日)「『抜苗助長』はやめよ」
・「抜苗助長」(成長を早めるために苗を引っ張って枯らしてしまう)は避けなければならない。郭躍はあまりにも早く主力に抜擢されたことで、いくつかの挫折を味わい、メンタルの脆(もろ)さを抱えてしまったではないか。丁寧と劉詩ウェンのプライド、そして闘志が失われてしまったらどうするのか。今大会の女子チームの選手起用は失敗だ。
★南方日報(5月31日)「飼っていた狼に噛み付かれた」
・シンガポール女子の周樹森監督は、中国女子チームの選手たちを知り抜いていた。それはシンガポールの選手たちにも計り知れない自信となっただろう。世界の卓球界の振興のため、『養狼(ライバル育成)』を打ち出した中国チーム。今まさに狼は成長し、脅威となりつつある

 そして、中国国内でも賛否両論を呼んでいるのが、元世界チャンピオンの郭躍の起用法だ。(その2に続きます…)

Photo上:モスクワ大会女子決勝、苦戦に表情が沈む劉詩ウェン
Photo下:決勝戦後、肩を落として退場する中国女子チーム
★★★ 2010中国卓球クラブ超級リーグ 男子第2節 6.13 ★★★

[寧波海天塑機 3-2 廊坊銀行海潤]
○馬琳 7、12、12 崔慶磊
 呉ハオ -5、-5、-7 許シン○
○王建軍/呉ハオ 4、9、-9、8 張ユク/崔慶磊
 馬琳 -10、-9、-10 許シン○
○王建軍 -11、6、4、7 張ユク

[浙商銀行 3-1 八一熔盛重工]
○馬龍 -8、7、9、9 王皓
○ハオ帥 8、7、-9、4 閻安
 馬龍/ヤン・ツー 7、-10、8、-8、-8 閻安/柳洋○
○ハオ帥 4、5、-6、8 王皓

[上海浦宏神木 3-1 錦州銀行]
 荘智淵 8、-10、-8、-4 雷振華○
○王励勤 7、6、10 徐輝
○尚坤/張洋 -7、9、13、3 徐輝/ジャイ一鳴
○王励勤 5、12、7 雷振華

[山東魯能・路安集団 3-0 四川郵儲・先鋒汽車]
○張超 5、5、7 邱貽可
○張継科 7、-4、-5、4、6 許鋭鋒
○張超/方博 10、9、-7、-6、8 許鋭鋒/金義雄

 超級リーグ男子第2節。四川郵儲・先鋒汽車の水谷隼は山東魯能・路安集団戦に出場せず。チームは3番手の許鋭鋒(07年世界ジュニア準優勝)が単複で健闘しながら、ストレートで敗れた。2番手以下の選手層が薄い四川郵儲・先鋒汽車、やはり水谷が出場しないと戦力的には苦しい。勝利した山東魯能・路安集団の谷青成監督も、「今日は四川省チームに水谷隼がいなかった。もし彼が参戦していたら、我々もかなりプレッシャーを受けていただろう」と水谷の実力を認めるコメントを残した。

 馬龍と王皓のエース対決が注目された浙商銀行vs八一熔盛重工の一戦は、エース王皓が2失点を喫した八一熔盛重工が完敗。4番では「王皓キラー」の異名もあるハオ帥に、序盤でリードしながら逆転される展開で敗れた。八一熔盛重工の王涛監督は「5番まで回れば十分にチャンスはあった。王皓は“勝ち方”を忘れてしまっているようだ。浙商銀行は今シーズンでは間違いなく最強のチーム。タイトルを獲得するのは彼らだろう」(出典:『東方体育日報』)とコメントしている。世界選手権モスクワ大会では準決勝・決勝とも起用されなかった王皓、超級リーグで復活をアピールしたいところだが…。

 その他の試合では、上海浦宏神木がエース王励勤の2得点で今季初勝利。開幕戦の江蘇神鷹繊炭戦で林晨にまさかの敗戦を喫した王励勤だが、きっちり切り替えて錦州銀行のツートップを下した。2番手の許シンが抜けた穴は荘智淵(チャイニーズタイペイ)では埋め切れず、苦しいチーム事情だが、第1ステージではプレーオフ進出のラインとなる4位以内を目指す。

Photo上:復活の狼煙(のろし)を上げた王励勤。その眼差しはどこまで先を見ているのか
Photo下:完全復活はまだまだ遠い王皓
☆☆☆ 2010中国卓球クラブ超級リーグ 女子第2節 6.13 ☆☆☆

[広東深セン長園新材 3-1 江蘇中超電纜]
 福原 -5、-12、-4 王シュアン○
○劉詩ウェン 4、8、7 張瀟玉
○周芳芳/蔡賽 8、8、10 張瀟玉/ニエ維
○劉詩ウェン -11、4、4、13 王シュアン

[山東魯能 3-1 八一冀中能源]
○李暁霞 7、2、2 木子
○彭陸洋 5、-9、9、9 曹臻
 彭陸洋/李茜 -7、7、-3、5、-9 木子/白楊○
○李暁霞 -2、-6、6、1、7 曹臻

[大同雲崗-金地砿業 3-1 北京控股]
 武楊 7、-6、-10、4、-12 丁寧○
○李暁丹 5、8、6 リ・ジャウェイ
○馮天薇/劉娟 -5、7、11、8 彭雪/リ・ジャウェイ
○李暁丹 -10、6、2、8 丁寧

[内蒙古銀行 3-1 遼寧鞍山城投房産]
○馮亜蘭 -2、4、-5、4、9 文佳
 姚彦 -3、-10、-6 郭躍○
○姚彦/陳夢 6、6、-4、4 常晨晨/侯暁旭
○馮亜蘭 5、10、6 郭躍

 超級リーグ女子第2節、4シーズンぶりの超級リーグ参戦となった福原愛(ANA)が、江蘇中超電纜戦で今季初出場。トップに起用されたが、残念ながらストレートで敗れた。
 福原が対戦した王シュアン(王+旋)は、すでに中国リポートでも何度か取り上げているが、国家チームが「仮想・福原愛」として育成してきた選手。フォアのミート打ちにバック表ソフトの快速強打、さらに髪型から仕草に至るまで、顔以外は非常に良く似ている選手だ。鏡に映った自分のような選手との対戦。考えただけでもイライラしそうだが、広東深セン長園新材の楊華杰監督は「(福原は)試合が始まってすぐはサービスもガチガチで、まだ超級の雰囲気に慣れていないようだね。王シュアンも今日は調子が良かった」とコメント。福原と姜華君の起用法については、「チームの順位、そして選手の好不調によって、どちらを出場させるかを決めたい」と述べている。

 その他の試合では、この第2節が幕戦となる北京控股が、昨シーズン9位の大同雲崗-金地砿業に惜敗。「モスクワ大会のリベンジマッチなるか?」と注目された馮天薇と丁寧の再戦は実現しなかった。大同は3番手の李暁丹がリ・ジャウェイと丁寧を連破する大活躍で、エース馮天薇を温存する形で勝利を収めた。この李暁丹が調子を上げてくると、大同は一気に優勝候補に浮上しそうだ。また、今季初参戦の内蒙古銀行が開幕戦から連勝。昨シーズン5位の冀中能源・北大方正から超級リーグ参戦の権利を譲り受けたチームで、冀中能源・北大方正の監督だった劉偉(96年五輪複銀メダリスト)が引き続き監督を務める。エースの馮亜蘭が4番で郭躍にストレートで勝利し、開幕から破竹の4連勝だ。

Photo上:福原を破った王シュアン
Photo下:球威はそれほどないが、前陣でシャープな両ハンド速攻を展開する李暁丹
☆☆☆ 2010中国卓球クラブ超級リーグ 女子第1節 6.9 ☆☆☆

[大同雲崗-金地砿業 3-2 山東魯能]
 李暁丹 -5、-9、-7 金キョン娥○
○馮天薇 10、11、6 李茜
 李暁丹/劉娟 -8、11、-7、-5 李茜/彭陸洋○
○馮天薇 9、3、9 金キョン娥
○武楊 9、5、6 彭陸洋

[山西大土河華東理工 3-2 広東深セン長園新材]
○郭炎 -9、6、5、6 姜華君
 帖雅娜 -11、-3、-7 劉詩ウェン○
 饒静文/帖雅娜 9、-6、-7、7、-6 周芳芳/蔡賽○
○郭炎 10、9、-5、8 劉詩ウェン
○范瑛 10、-6、13、5 賈君

[遼寧鞍山城投房産 3-0 八一冀中能源]
○文佳 -5、5、8、-3、9 曹臻
○郭躍 4、2、-11、7 楊揚
○常晨晨 -7、14、8、9 李佳/木子

[内蒙古銀行 3-1 江蘇中超電纜]
 姚彦 -6、5、-6、-6 王シュアン○
○馮亜蘭 4、9、6 王越古
○姚彦/陳夢 8、8、-10、9 王越古/張瀟玉
○馮亜蘭 -8、8、6、-7、5 王シュアン

 超級リーグ女子第1節は、早くも混戦模様。新規参入の内蒙古銀行、昨シーズン9位の大同雲崗-金地砿業が開幕戦勝利を収める一方で、エース李暁霞が欠場した山東魯能、世界ランキング1位の劉詩ウェンと7位の姜華君が出場した広東深セン長園新材が競り負け、黒星スタートとなった。
 今シーズンは男女とも9チームで行われる超級リーグ。各節1チームが休みとなり、女子で昨シーズン優勝の北京控股(北京時博国際からスポンサー変更)は第2節が開幕戦となる。戦力が非常に拮抗(きっこう)している超級リーグ女子だが、北京控股にエース張怡寧が健在ならば、北京控股が優勝候補の大本命だっただろう。女王の不在によって、超級リーグ女子は一気に戦国時代へと突入している。

 今季、世界ランキング9位の福原愛(ANA)が加入した広東深セン長園新材は、強敵・山西大土河華東理工に惜敗。昨シーズン32勝5敗という圧倒的な勝率を残したエース劉詩ウェンが郭炎に敗れた。「今日のプレーは普通だったけど、大事な場面での戦い方が良くなかったし、精神面が不安定でミスが出ていた。モスクワ大会の影響はやはりまだあると思う。少しでも早く調整をして、これからは良いプレーを見せたい」(劉詩ウェン)。チームは世界ランキング10位以内の選手を3人抱える豪華な陣容だが、香港も含め、他協会登録の選手は1名しか出場できない。福原は6月13日に行われた第2節に出場しているが、姜華君との併用になるため、残念ながら全試合フル出場というわけにはいかないようだ。

 世界選手権団体戦モスクワ大会で活躍したシンガポール勢は、エース馮天薇(大同雲崗-金地砿業)がシングルス2得点の大活躍。カットの武楊と右シェークドライブ型の李暁丹が脇を固める大同雲崗-金地砿業、今シーズンのダークホースになりそうだ。王越古(江蘇中超電纜)は内蒙古銀行戦で単複2失点。王越古をシングルスで破ったもうひとりの「馮」、馮亜蘭のプレーにも注目が集まる。

Photo上:2試合ともストレート勝ち、好調をキープする馮天薇
Photo下:劉詩ウェンは郭炎に競り負け、3番ダブルスの健闘に応えられず(写真はともにモスクワ大会より)
★★★ 2010中国卓球クラブ超級リーグ 男子第1節 6.9 ★★★
[錦州銀行 3-1 四川郵儲・先鋒汽車]
○雷振華 9、7、-11、1 水谷
 徐輝 -7、7、-8、-9 邱貽可○
○徐輝/ジャイ一鳴 11、-8、7、9 水谷/金義雄
○雷振華 -9、5、4、8 邱貽可

[江蘇神鷹繊炭 3-0 上海浦宏神木]
○林晨 8、-7、9、7 王励勤
○陳杞 -8、6、9、7 尚坤
○林晨/ジャン健 8、-7、8、-10、8 尚坤/張洋

[山東魯能・路安集団 3-2 八一熔盛重工]
○張継科 11、1、8 徐克
 朱世赫 -10、6、8、-9、-10 王皓○
 張超/方博 -8、-7、-4 徐克/閻安○
○張継科 11、-5、7、-11、9 王皓
○張超 9、6、4 侯英超

[浙商銀行 3-0 廊坊銀行海潤]
○ハオ帥 -9、-7、10、9、9 許シン
○馬龍 7、7、8 崔慶磊
○ハオ帥/呉尚垠 5、7、5 張ユク/崔慶磊

 お待たせしました、6月9日に開幕した「2010中国卓球クラブ超級リーグ」、男子第1節の結果をお送りします。
 今シーズン、男子では日本から水谷隼(四川郵儲・先鋒汽車)、韓陽(江蘇神鷹繊炭)の2人が参戦している超級リーグ。浙商銀行でプレーした08年シーズン以来、2年ぶりの超級参戦となった水谷は、アウェーの遼寧省錦州市で行われた錦州銀行戦のトップに出場。モスクワ大会で中国男子チームの劉国梁監督に「水谷隼は天才、彼が3人いたら日本は相当強い」と言わしめた水谷。しかし、雷振華とは初めての対戦ということもあり、サービスへの対応に苦しみ、1-3で敗れた。水谷は続く3番でも、右シェークドライブ型の金義雄とのペアで徐輝/ジャイ一鳴に競り負け、チームは開幕戦を1-3で落とした。

 その他の3試合では、上海浦宏神木のエース王励勤が左シェークドライブ型の林晨によもやの黒星を喫し、チームもストレート負け。「王励勤の敗因はエンジンがかかるのが遅かったこと。(9-7から4点連取された)3ゲーム目は大事な場面で守りに入ってしまった」(上海浦宏神木・席敏杰監督)。超級リーグで健在ぶりをアピールしたい王励勤だが、この敗戦が尾を引かないことを祈りたい。上海チームには荘智淵(チャイニーズタイペイ)が「外援(助っ人)」として参戦するが、まだチームに合流していないようだ。山東魯能・路安集団は張継科が王皓とのエース対決をゲームオール9点で制し、チームに勝利をもたらした。こちらも激戦となったハオ帥vs許シンの一戦も含め、エース対決を制したチームが勝利を挙げている。

Photo上:世界選手権モスクワ大会での水谷隼のプレー。開幕戦では2失点を喫したが、徐々にペースを上げていきたい
Photo下:長身でブロックが堅く、一発のパワードライブも鋭い雷振華。遼寧省男子チームの不動のエースだ
★甲Aリーグ第1ステージ・Bブロック
日本人選手の結果

◎女子
[MIKIHOUSE]  →13チーム中10位
平野早矢香(ミキハウス) …シングルス3勝4敗/ダブルス2勝2敗 ※ダブルス2棄権
 13、-10、-4、4、-9 麦楽楽(05年全中国ベスト8)
 8、6、-9、6 鄭詩暢(09年全国優秀青少年大会3位)
樋浦令子(ミキハウス) …シングルス2勝6敗/ダブルス4勝5敗
 -7、9、-2、-6 石賀浄(韓国/09年モロッコオープン2位)
 9、-5、9、-7、-6 李聖潔(09年全中国複ベスト8)
石川佳純(ミキハウスJSC) …シングルス5勝10敗/ダブルス2勝2敗
 6、9、-7、-7、-2 陳晴(06年アジア競技大会複3位)
 -7、-5、-13 鄭怡静(チャイニーズタイペイ)
 -4、-3、13、9、6 劉曦(09年全国優秀青少年大会4位)

[三起商行] →13チーム中13位
高橋真梨子(ミキハウスsJSC) …シングルス2勝13敗/ダブルス1勝2敗
 4、7、-6、8 劉園園
 -7、-5、-4 石川
俵美幸(ミキハウスJSC) …シングルス0勝12敗/ダブルス0勝9敗
 8、-5、-4、-4 李佳■(09年全中国運動会複ベスト4)
 -5、-5、-5 楊飛飛(09年全中国団体ベスト8)

 甲Aリーグ女子第1ステージのBブロックには、ミキハウス&ミキハウスJSCから5選手が参戦。モスクワ大会を終えたばかりの平野、石川にとってはあまりにハードな戦いとなった。オープン参加のMIKIHOUSEは4勝8敗で13チーム中10位だが、Bブロックで1位になった僕(さんずいが付く)陽晨光実験中学を3-1で破っている。また、ミキハウスJSCの高橋と俵に、昨シーズン河北冀中能源で平野のチームメイトだった王磊が加わった三起商行は、13チーム中13位に終わった。しかし、08年全国中学校大会優勝の高橋がシングルス2勝を挙げたのは、大健闘と言えそうだ。

 MIKIHOUSEとともに、甲Aリーグ女子Aブロックにオープン参加したシンガポール卓球協会チームはリーグ5位。馮天薇と王越古は結局超級リーグに参戦したが、3番手のスン・ベイベイと4番手のユ・モンユが甲Aに出場。スン・ベイベイは13勝4敗、ユ・モンユは12勝8敗の成績だが、初戦の上海農商銀行戦ではユ・モンユが4番で右ペン表速攻の王大琴に敗れ、いきなり黒星を喫している。シンガポールは馮天薇と王越古が加わっても確実に優勝できる保証はないし、超級ではプレーオフ進出の4位以内が現実的な目標か。

 また、日本女子がモスクワ大会で大苦戦したチャイニーズタイペイからは、黄怡樺と鄭怡静が甲Aリーグに参戦。甲Aの四川川威で長くプレーしている黄怡樺はシングルス9勝6敗、鄭怡静は激戦の代償か、平野と同じシングルス3勝4敗に終わっている。他の外国籍選手では、開幕前に甲Aへの参戦を希望していたドイツ女子チーム6人の中から、こちらもモスクワ大会で活躍したジルベライゼンが黒龍江斉魯中州から出場。シングルス3勝3敗、ダブルス1勝2敗の成績だった。

 その他に女子で活躍が目立った選手では、09年全中国運動会女子複ベスト4の右シェークドライブ型・李佳イ(火が4つ/16歳)が16勝4敗、左シェークドライブ型の羅ユエ(18歳)が14勝5敗、右ペン表速攻型の王大琴(20歳)が15勝8敗。国家2軍チームの選手たちが順当に成績を残しているが、同年代の武楊、陳夢、車暁曦らは超級リーグへ戦いの場を移している。希少なペン表の王大琴などはぜひ国家1軍チームに上がってほしいが、中国女子のトップへの道は限りなく厳しそうだ。

Photo上:鄭詩暢、張聡聡を破り、カット主戦型にはやはり強さを見せた平野早矢香(写真は09年世界選手権)
Photo下:16勝4敗と高い勝率を残した李佳イ(写真は09年全中国運動会)