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欧州リポート

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ドイツ卓球協会は2009年のヨーロッパ選手権開催地をシュツッツガルトの「ポルシェアリーナ」で9月12日から20日まで行うと発表した。このポルシェアリーナは6000人を収容する体育館で、シュツッツガルトはこの体育館の名前でわかるように、有名なスポーツカーメーカーの「ポルシェ」の本社のある町。それ以外にもメルセデス・ベンツが本拠地とする車で有名な町なのである。
「候補地はシュツッツガルトとブレーメンだった。ブレーメンも世界選手権をはじめ、実績のある町だった。決定するのは難しかったが、最終的にシュツッツガルトに決めた」とドイツ卓球協会のベイケルト会長は語った。
シュツッツガルトでのヨーロッパ選手権は1992年以来の開催となる。

ETTU(ヨーロッパ卓球連合)の理事会がECL(ヨーロッパチャンピオンズリーグ)に関しての重要な決定のために招集をかけられる見込みだ。
ETTUとはアジア卓球連合のようにヨーロッパ各国の卓球協会が属する統括団体で、ECLとはサッカーでおなじみのように、ヨーロッパ各国の上位クラブ同士が対戦して「ヨーロッパチャンピオンクラブ」を決定するリーグ戦だ。
すでに終わった06~07年のシーズンで戦ったドイツの4チーム(ゲナン、オクセンハオゼン、グレンツァオ、フリッケンハオゼン)が、勝者のシャルロワ(ベルギー)、準優勝のニーダー・オーストリア(オーストリア)、3位のカジャグラナダ(スペイン)に対して抗議文を提出した。その内容はそれらのクラブでプレーした外国籍選手、李静(中国香港・シャルロワ)、王皓、侯英超(中国・ニーダー・オーストリア)、陳杞(中国・カジャグラナダ)が06~07年シーズンでプレーしたものの、この3選手が同じシーズンの中国超級リーグに出場していたことに対しての抗議である。
シーズンオフ(5~7月)の間に中国リーグに出場することはヨーロッパの各国リーグで認められているが、それ以外の時期に出場することはクラブの二重登録として認められていないために、今回の抗議になったものだと推測される。
中国超級リーグは今年は6月から9月までの開催。ヨーロッパのようにシーズンが決まっておらず、中国卓球協会が国際大会や国内事情でスケジュールを決めているが、どうしてもヨーロッパとかみ合わない面もある。

 毎年、ヨーロッパユース選手権というのが開かれているが、今年は7月22日に終わった。過去に、ワルドナー、パーソン、ロスコフ、セイブ、サムソノフ、ボルなどが、この大会での優勝で自信を得て、世界に飛び出した。
 注目すべきはやはりジュニアのシングルス種目と団体。男子団体はイングランドが優勝。イングランドは世界的にも古豪の協会、国際卓球連盟の創立協会で、何せ卓球発祥の地だ。そのイングランドにはドリンコールとナイトというツインエースがいる。しかし、この二人シングルスでは上位に進めなかった。男子シングルスではロシアのパイコフが優勝した。
 女子団体では、決勝でルーマニアを下したロシアが優勝。このロシアもソ連時代から卓球の伝統を持つ協会だ。女子シングルスでは、ザグレブの世界選手権で全日本チャンピオンの平野早矢香を破ったルーマニアのサマラがドイツの変則選手ソルヤを破って優勝。
 欧州卓球の地盤沈下が指摘されているが、「これはいける」というような有望な若手はまだ見あたらない。その中にあって、イングランドやロシア、ルーマニアというかつての名門協会、伝統のある東欧勢が頑張っている。これらの選手が力をつけていくことに期待したい。

●写真はイングランドのドリンコール(上)とナイト(下)
第50回ヨーロッパユース選手権
7月13~22日/スロバキア・プラティスラワ

●男子ジュニア団体
1位イングランド
2位チェコ
3位トルコ
3位ロシア

●男子ジュニアシングルス
1位パイコフ(ロシア)
2位NAGY(ハンガリー)
3位ロジャーズ(ベルギー)
3位ジァン・ペンフェイ(トルコ)

●男子ジュニアダブルス
1位サリフー/パイコフ(フランス/ロシア)
2位STORF/プラットナー(オーストリア)
3位RONNEBERG/HELLERUD(ノルウェー)
3位BURGIS/NAGY(ラトビア/ハンガリー)

●女子ジュニア団体
1位ロシア
2位ルーマニア
3位ポーランド
3位フランス

●女子ジュニアシングルス
1位サマラ(ルーマニア)
2位ソルヤ(ドイツ)
3位チャン・インニ(ドイツ)
3位パルティカ(ポーランド)

●女子ジュニアダブルス
1位サマラ/コロジャジナヤ(ルーマニア/ロシア)
2位ボンク/パルティカ(ポーランド)
3位SZVITACS/VEGH(ハンガリー)
3位ソルヤ/STHR (ドイツ)

●ジュニア混合ダブルス
1位ドリンコール/サマラ(イングランド/ルーマニア)
2位ナイト/ボンク(イングランド/ポーランド)
3位ボベ/ソルヤ(フランス/ドイツ)
3位サリフー/パルティカ(フランス/ポーランド)

●男子カデット団体
1位ドイツ
2位フランス
3位ハンガリー
3位スウェーデン

●男子カデットシングルス
1位SZOCS(ルーマニア)
2位FRANZISKA(ドイツ)
3位SCHMIDL(ドイツ)
3位TRSN(スウェーデン)

●男子カデットダブルス
1位 LE BRETON/ローレンス(フランス)
2位PEREI /PALATINUS(ハンガリー)
3位SZOCS/エバンス(ルーマニア/イングランド)
3位JEAN/ INDEHERBERG(ベルギー)

●女子カデット団体
1位ロシア
2位ハンガリー
3位フランス
3位スロバキア

●女子カデットシングルス
1位HIRIC(ルーマニア)
2位 BALAZ…OV Barbora(スロバキア)
3位 M・LBACH Kathrin(ドイツ)
3位ウインター(ドイツ)

●女子カデットダブルス
1位 BALAZ…OV Barbora /ウインター(スロバキア/ドイツ)
2位 HIRICI/SZOCS (ルーマニア)
3位ADAMKOVA /POLCANOVA(チェコ/モルドバ)
3位DJURCIK/GASNIER(セルビア/フランス)

●カデット混合ダブルス
1位GRISHENIN - RYABOVA (ロシア)
2位 H?ER - ウインター (ドイツ)
3位S・ERLUND/ AMBRUS(スウェーデン/ハンガリー)
3位FLORAS/SZCZERKOWSKA (ポーランド)

photo上:男子ジュニアシングルス優勝のパイコフ
photo下:女子ジュニアシングルス優勝のサマラ
スピード接着剤(通称グルー)禁止の波は保守的と言われるヨーロッパの卓球界でもじわじわ押し寄せている。
ヨーロッパ最大の卓球市場を誇るドイツ卓球協会では、7月末までITTF(国際卓球連盟)からのルールに関する指示を待っていたのだが、ブンデスリーガ(国内リーグ)が8月16日にスタートするために間に合わず、独自のルールを決めていった。それはブンデスリーガなどのシニア大会では、ITTFが世界選手権期間中に決めた通りに、2008年9月1日からのグルー禁止と検査を実行するもの。しかし、ジュニアの大会に関しては日本が先に決めたように、2007年、つまり今年9月1日からのグルー禁止と検査の実行を決定した。これはITTFの「2008年1月1日からジュニアイベントでのグルー禁止と検査の実行」よりも早く行うものである。(マンフレッド・シリング)
各チームの登録メンバーは以下の通り
ブンデスリーガ男子
フリッケンハオゼンシュテガー(ドイツ・WR37)
馬文革(中国・WR42)
トキッチ(スロベニア・WR48)
☆大矢英俊(青森大・WR125)
グレンツァオブラシュチック(ポーランド・WR35)
張ユク(中国香港・WR39)
Z.フェイヤー-コナート(ドイツ・WR74)
陳志斌(ドイツ・WR-)
デュッセルドルフボル(ドイツ・WR4)
コルベル(チェコ・WR24)
オフチャロフ(ドイツ・WR30)
ズース(ドイツ・WR40)
☆水谷隼(青森山田高・WR69)
ヴュルツブルグ高礼澤(中国香港・WR26)
譚瑞午(クロアチア・WR34)
カイナット(ドイツ・WR90)
チチェチニン(ベラルーシ・WR95)
ゲナンガブラス(チェコ・WR164)
ドリンコール(イングランド・WR239)
フィルス(ドイツ・WR248)
メンゲル(ドイツ・WR331)
オクセンハオゼンクリサン(ルーマニア・WR29)
梁柱恩(中国香港・WR50)
モンテイロ(ポルトガル・WR92)
イェレル(スウェーデン・WR99)
フルダ・マーバーツェル     パーソン(スウェーデン・WR27)
ワルドナー(スウェーデン・WR36)
馮哲(ブルガリア・WR61)
シュリヒター(ドイツ・WR169)
プリューダーハオゼンカラカセビッチ(セルビア・WR46)
スヴェンソン(スウェーデン・WR109)
ニルソン(スウェーデン・WR-)
モリーン(スウェーデン・WR-)
ユーリッヒロスコフ(ドイツ・WR45)
☆高木和卓(東京アート・WR86)
アポローニャ(ポルトガル・WR127)
フレイタス(ポルトガル・WR135)
ブレーメンケーン(オランダ・WR41)
☆岸川聖也(スヴェンソン・WR78)
ヒールシャー(ドイツ・WR87)
チオティ(ルーマニア・WR100)


ブンデスリーガ女子
ベルリン桑亜嬋(中国香港・WR47)
ハイン-ホフマン(ドイツ・WR74)
Ve.パブロビッチ(ベラルーシ・WR81)
パリナ(ロシア・WR86)
ビューゼンバッハ高軍(アメリカ・WR16)
ボージック(ドイツ・WR44)
パオビッチ(クロアチア・WR55)
シルベライゼン(ドイツ・WR89)
クロッパッハ呉佳多(ドイツ・WR21)
トート(ハンガリー・WR32)
シュトルーゼ(ドイツ・WR40)
李楠(中国・WR-)
トステドコストロミナ(ベラルーシ・WR71)
ボルメイヤー(ドイツ・WR138)
ハン・イン(中国・WR-)
シガンコワ(ベラルーシ・WR-)
トロイスドルフフォン・ティエン(中国・WR-)
シャポワロワ(ウクライナ・WR-)
シュミッツ(WR-)
レゲルスキ(WR-)
ベーブリンゲン王晨(アメリカ・WR24)
イヴァンカン(ドイツ・WR125)
スコフ(デンマーク・WR242)
ゴッチェ(何千紅)(ドイツ・WR-)
バードドゥリブルグティミナ(オランダ・WR117)
ボルシャコワ(ロシア・WR182)
ワッガーマイヤー(オーストリア・WR223)
シュ・ジエ(中国・WR-)
ホルスターハオゼンコムウォン(タイ・WR91)
バーテル(ドイツ・WR120)
ナ・イン(中国・WR-)
テッベ(オランダ・WR-)
ザールルイ・フラウラウテルンエクホルム(スウェーデン・WR128)
A.ソルヤ(ドイツ・WR164)
リード(アメリカ・WR179)
ノーデンベリ(スウェーデン・WR232)

※WR=ワールドランキング(07年7月ITTF発表)/☆印=日本人選手
8月から始まるドイツのブンデスリーガの選手登録が発表されたが、一番の大型移籍はやはり男子のティモ・ボル。ジュニア時代から育った「ゲナン」を離れ、名門「デュッセルドルフ」に移った。デュッセルドルフには、ほかに日本の水谷、コルベル、ズース、オフチャロフというそうそうたるメンバーが名前を連ねる。
欧州卓球の地盤沈下が叫ばれる中、ボルはブンデスリーガの顔であり、ヨーロッパの顔である。しかし、国際試合との両立を計るためにブンデスリーガでの試合数は限定される見込みだ。
 早稲田大で学生のトップ選手の時吉佑一(06年全日本学生選抜選手権準優勝)が10月下旬から4月までにスウェーデンリーグに参戦、名門の「ソーダハム」(1部)に所属し、1番手、もしくは2番手としてプレーすることが決まった。「ブンデスリーガ、フランスリーグ、ベルギーリーグとかも候補になっていましたが、時期的なことや条件等でスウェーデンリーグに決めました。外国選手の中でもまれることでレベルを上げて、将来的には世界の舞台で戦える力をつけたい」(時吉)。語学留学もかねた武者修行で、4年生の時吉は前期で必要な単位は取得する予定、という優等生。大学生活の最後は卓球に打ち込む構えだ。
8月16日からスタートする世界最強のプロリーグと言われているドイツのブンデスリーガ。1部、2部をブンデスリーガ(連邦リーグ)を言い、その下にピラミッド型に地域リーグがある。
そのプロリーグの最高峰の1部で、日本の男子選手4人がプレーする。
水谷隼(青森山田高)は昨シーズン同様、「デュッセルドルフ」でプレー。このチームはボル、オフチャロフ、ズース、コルベルを擁する強力チーム、水谷は4番手で出場か。
岸川聖也(スヴェンソン)は1部のユーリッヒから「ブレーメン」に移籍、2番手でプレーする。高木和卓は昨シーズン岸川がいた「ユーリッヒ」に移籍、ロスコフも所属する。
大矢英俊(青森大)は昨シーズンの覇者「フリッケンハオゼン」で4番手で出場か。同じく青森大の横山友一は昨シーズン同様、オーストリアの「シュトッケラオ」で出場する。
現在、ヨーロッパは各国の各国内リーグがシーズンオフ。夏休みに突入するこの時期に、選手たちはグルー禁止を視野に入れて、スピードグルーなしで新ラバーをテストしているとの情報が入ってきた。
これはザグレブ大会での国際卓球連盟の決定を受けてのことだが、実際には検査は実施されないために、8月に新しいシーズンが始まれば、選手たちはグルーイングを始めるだろうと言われている。
各国の関係者が注目するのは日本だ。いち早くグルー禁止に踏み切った日本で、グルー検査や大会がどのように行われるかに視線が注がれることになる