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 8月末から始まるヨーロッパ各国でのシーズン。各国に国内リーグがあり、強豪国のリーグ上位クラブは翌シーズンにヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL・全16チーム)に参戦できる。従来はドイツのブンデスリーガを頂点にして、フランスリーグ、スウェーデンリーグに強い選手が集まると言われていたが、最近では、ロシア・プレミアリーグやオーストリア、チェコのリーグにも選手が分散する傾向がある。
 
 ただし、世界的に見ても、ヨーロッパのレベル低下と人材の枯渇は明らかで、最強プロリーグと言われたドイツ・ブンデスリーガもひと頃の勢いを失っている。かつては、孔令輝、劉国梁、馬琳などもヨーロッパのリーグに参戦していたが、中国選手はもっぱら国内の超級リーグに出場し、トップ選手となればかなりの高額なギャラを手にすることができる。

 そのヨーロッパのリーグで日本の23人の選手がプレーする。最新情報では、丹羽孝希(明治大)がフランスの「エンヌボン」というクラブと契約した。試合数は限定されているが、2シーズンぶりのヨーロッパでのプレーとなる。
 また中国オープンで大活躍を見せた 大島祐哉(早稲田大)はオーストリアリーグ1部の「ヴァルター・ヴェルス」、五輪メダリストの平野早矢香(ミキハウス)もオーストリア1部リーグの「ストロック」で試合数限定でプレーする。また、ジャパンオープンで大活躍の 吉村真晴(愛知工業大)はポーランド1部の「デコルグラス」でプレーする予定だ。

 多くの日本選手が欧州でプレーするこの状況は、まず人材枯渇のヨーロッパからすれば、日本には強豪選手がたくさんいる、しかも日本選手はヨーロッパの中でも「練習も試合でもまじめ。トラブルが少ない」という印象がある。かつ、超級リーグがあるために中国から強い選手が来ない事情もある。
 また日本選手は一部の選手を除けば「リーズナブル(安い)」。日本選手でヨーロッパのプロリーグだけで生活していこうというプロ選手は実は少ない。日本から行く多くの選手は所属チームを持っていて、生活はそのチームで保証されていて、試合経験や練習のためにヨーロッパでプレーする選手が多いのだ。これは契約するクラブからすれば「おいしい話」なのだ。

 ただし、この状況を裏から見れば、日本の国内事情も透けて見えてくる。それは日本にプレーする場が少なすぎるということだ。日本リーグも年2回しかない。ましてやフルタイムで練習できる環境を持つチームは少ない。卓球に懸けてプロとしてやっていこうと思うと、所属チームからサポートを受けながら、ヨーロッパでプレーすることしか彼らには選択肢がないとも言える。
 もし日本にプロリーグができて、フルタイムで練習できる環境と緊張する試合の場があれば、これほど有望な選手が海外に行くこともないかもしれない。 (今野)