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 Tリーグの参加8チームの正式発表からまだ2週間ほど。各チームから契約したという正式発表はないが、男子の各チームの主だった選手はほぼ固まってきた感がある。当然その中には水谷隼、張本智和、松平健太、森薗政崇、大島祐哉などの世界のトップクラスの名前が挙がり、参戦も予定されている。
 ヨーロッパからの参戦は少ないが、アジアの韓国、タイペイあたりからの選手も来日すると言われ、中身は違うものの世界屈指のブンデスリーガ並か、それ以上のレベルの選手が集まりそうだ。
  
 さて気になるのは日本リーグからの選手の移動だ。現時点では数はさほど多くない。Tリーグの様子見の人もいれば、何年間かお世話になった会社への忠誠心と気遣いを持つ人、プロでやっていく自信のない人、もしくはTリーグと日本リーグとの掛け持ちを狙うスポット参戦の道を模索する人もいる。
 
 日本リーグは昨年、「2021年までにTリーグに日本リーグが参戦するかどうかを決める」という判断を下した。これは「Tリーグとはなんぞや、本当にスタートするのか」という、その活動やプロセスに疑問を抱いた日本リーグ側の現実的な慎重論の末の決定だった。
 当時の予測不能なTリーグの状況や協会(Tリーグ)側のリーダーシップの弱さを考えれば、日本リーグ側が「待て」の姿勢になったのも理解できる。
 しかし、ここに来て、実際にTプレミア(Tリーグの最高リーグ)が立ち上がり、選手が続々と集まってくると状況は異なってくる。日本リーグのトップ選手たちはのきなみザワザワと動き始める。こういう状況では、日本リーグの強いチームほど不安定になってしまう。なぜなら、すでにプロ選手や契約選手を多く抱えているからだ。

 今のような動きが毎年繰り広げられ、選手がボロボロと抜けていった時に日本リーグのトップチームは維持できるのか。長い伝統を持つ名門チームの心配は尽きない。
 
 10月にはTプレミアが開幕する。そうなった時にマスコミは一斉にトップ選手が集まるTプレミアに注目する。今まで、日本リーグを持つ企業は、何だかんだ言っても日本リーグが日本の最高リーグという思いと位置づけで、チームを福利厚生の一環として継続させてきた側面もあるだろう。
 ところが、マスコミが一斉に「国内トップのTプレミア」と紹介していく時に、日本卓球協会内での組織の分裂状態、もしくは二重構造にも見えてしまう日本リーグの存在理由に疑念を持たないか心配になってしまう。

 卓球界では誰しもが今の日本リーグが継続してほしいと思っているし、それだけの長い歴史があり、大きな貢献をしてきた。それがTプレミアの下のT1やT2であっても良いはずだ。 

 Tリーグがスタートした時、日本中のマスコミがそちらに引っ張られたとしたら、それを見る日本リーグを持つ母体企業がどういう感情を抱くのだろうか。
 Tプレミア開幕以降に、日本リーグ参加企業の「卓球部を支援する気持ちの後退」がないことを祈る。日本リーグのトップチームが抜けていった時にリーグ全体が瓦解し、リーグ自体が消滅してしまうのが最悪のシナリオ。この予見が杞憂に終わることを祈ってやまない。  (今野)
  • 平成29年度後期日本リーグで、男子1部最高殊勲選手賞の平野友樹

  • 女子1部最高殊勲選手賞の平侑里香