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 今日からマレーシアのジョホールバルで卓球のT2ダイヤモンドがスタートした。世界チャンピオンの馬龍(中国)をはじめとする世界のトップ男女16人ずつを集めて、3大会の賞金総額1億6200万円の大会だ。

 この大会は国際卓球連盟(ITTF)のイベントカレンダーに組み込まれ、1年間の獲得ポイント上位8大会の合算で決まる世界ラキングシステムに追加される形で、「ボーナスポイント」として加算される特殊な大会になっている。

T2ダイヤモンドの1イベントでの獲得ポイントと賞金は以下の通り。

優勝者 1000ポイント   10万ドル(約1080万円)
2位   800ポイント    5万ドル(約540万円)
3位   700ポイント    2万ドル(約216万円)
4位  600ポイント   1万2千ドル(約130万円)
ベスト8  500ポイント  7千ドル(約76万円)
ベスト16  400ポイント  5千ドル(約54万円)

 このイベントに出るか出ないかで世界ランキングが大きく変わる魅力と危険性をはらんでいる。東京五輪に向け、熾烈な国内競争を繰り広げている日本からは、男子は張本智和、水谷隼、丹羽孝希。女子は平野美宇、伊藤美誠、石川佳純、加藤美優が出場しているが、すでに今日の午後、1回戦(ベスト16)で加藤が伊藤をゲームオールで破っている。

この大会は11本制の7ゲームスマッチ、4ゲーム先取の試合方式だが、競技ルールは独自なやり方となっている。
・10-10になってからはジュースなしの1本勝負
・24分間過ぎた時点で試合が続いている場合は、24分終了時のゲームは11点制だが次のゲームからは[FAST5]というやり方で1本交代のサービスで5本先取したほうが勝ち。
・ゲーム間のアドバイスは45秒以内
・ラリー間のインターバルは15秒以内
・タオリングは6本ごとで30秒以内
という時間が設定されている。

これらのルールによって、よりスピーディで、緊張感のある試合が展開される。

 さて新しいイベントの背景にあるものはなんだろう。
このイベントのメインスポンサーはフランク・ジー氏が社長を務める「Seamaster(シーマスター)」という海運業の企業だ。3年前からITTFのワールドツアーのスポンサーにもなっている。
 自らも卓球が大好きなフランク・ジー氏はかねてから「卓球をもっと魅力的でエンターテイメントなスポーツとして見せたい」という希望を持っていた。そこで2年前に「T2 APAC」(通称T2)というイベントを立ち上げた。ほぼ同じルールで、マレーシアで行った。コートの周りにはテレビカメラを12台設置し、配信はYou Tubeのみ。
 そして今年になって、ITTFの公式なイベントとして、世界ランキングのポイントも付与される大会にしたのだ。ITTFとしても、ツアーのスポンサーであるSeamasterは無視できないために、ワールドツアーと紐付ける工夫を施した。
 2019年の5月までの中国ツアーでの獲得ポイント(ワールドスタンディングポイント)の上位15名をT2ダイヤモンドのマレーシア大会に出場できる資格を有する選手とした。特に五輪前でボーナスポイントが重要になるため、選手は当然「出場しなければならない」と認識していた。

 ただ、この特殊なボーナスポイントの仕組みに対する不満、タフなワールドツアーの中に組み込むことによって、さらに過密なスケジュールになるという選手への負担、独自ルールを持つT2をITTFが認め、獲得ポイントの対象となることへの疑問は消えていないことも事実だ。

 とはいえ、実際のT2の舞台作りは素晴らしい。卓球では当たり前の長方形のフェンスで仕切られるコートではなく、コート領域は円形になっており、テレビ画面で見てもフェンスが視覚的に邪魔をしない。相変わらずカメラワークも斬新だ。
 試合のテンポがよく、1試合が40分程度で終わる。エンターテイメントとしての魅せ方もある。今回は、テレビ東京がネット配信やBSで完全放映している。