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2013年から全日本卓球のダイジェストDVD『ザ・ファイナル』シリーズ(発売:卓球王国)の製作に携わり、この8年間というもの、すべての種目の決勝戦をコートサイドから見守ってきた。その実感から言えるのは、客観的な証明は不可能だが、卓球は多少の上下をしながらも進化してきているということだ。だから「日本史上最強は誰か」と聞かれれば、迷うことなく近年のトップ選手の名前をあげるし、撮影後には、ほぼ毎年のように「今年の全日本は史上最高のレベルだった」と言うことになる。毎回同じことを言うのは憚られるが、本当なのだから仕方がない。

今年も同じ感想を抱く結果になった。掛け値なしの史上最高の全日本卓球だった。
中でも飛び抜けていたのは男子シングルス準決勝の張本智和(木下グループ)と戸上隼輔(野田学園高)の試合だ。
誰もが張本の勝利を疑わない中、繰り広げられた戸上の目を疑うようなプレー。目の前で行われているプレーが信じられなかった。あんなプレーを連発されたら、いくら張本でも勝ち目はない。あっという間にゲームカウント1-3になり、どう考えても張本の負けだった。ところが張本はそこから勝った。張本は筆舌に尽くしがたいプレッシャーの中で、戸上の神がかった猛攻に耐えに耐えた。勢いで格上に勝つことよりも、こういう難しい試合を勝ち切ることの方がはるかに困難だ。それを13年間続けてきたのが水谷隼(木下グループ)だ。張本は今、そのレベルに到達しつつある。本当に感動した。

「いくら卓球が進化しているとはいえ、これを超えるプレーは当分は見ることはできないだろう」という私の考えは、その約1時間後、鮮やかに覆された。決勝の宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)対張本だ。宇田はそんなバカな!と言いたくなるほど捨て身の攻撃を息をもつかせずに炸裂させて張本を追い込んだ。
とうとう5ゲーム目、10-8と宇田がマッチポイントを握ったが、張本がそこから逆転で5ゲーム目をもぎ取ったとき、会場が興奮の坩堝と化した。私は我を忘れて感動した。卓球をやっていて良かったと心から思った。知人から「これ勝ったら張本は神だ。俺は張本に着いていく」とうわ言のようなメールが来た。気持ちはわかる。それほど素晴らしい試合だった。最後は宇田が勝ったが、どちらも素晴らしい試合だった。

女子シングルスにもドラマがあった。伊藤美誠、平野美宇とともに黄金世代トリオと言われてきて、唯一優勝がなかった早田ひなの涙の初優勝。準決勝でダブルスのパートナーでもあるライバルの伊藤を圧倒した後、決勝で待っていたのは長年、日本女子を背負ってきた女王・石川佳純。早田の若さと勢いに押されながらも随所で素晴らしいプレーを見せ、それはマッチポイントを握られてからも飛び出して満場を唸らせた。
なんたる感動、なんたるドラマ。すべてが本物、すべてが最高の全日本。そのプレーを最高の映像で記録に残す仕事に携わっている幸運を噛み締めている。 (伊藤条太)

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  • 全日本決勝で、とんでもないプレーを披露した宇田幸矢

  • 男子並みの豪快な卓球で全日本を制した早田ひな