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卓球王国ストーリ-

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 卓球王国20号ではとんだハプニングが起きた。
 時効と言うことで、15年前の出来事の真実を書いてみよう。
 1998年当時、全日本チームの監督はスウェーデン人だったが、「日本の強化は日本人がやるべし」とその人事に強硬に反対する勢力があり、その中枢にいた人を卓球王国が「突撃インタビュー」。

 もちろん、その人は指導者としての実績もある立派な人だった。日本卓球への熱い思いを語りつつ、内容は外人監督批判に集中した。「こんな過激なことを書いてもいいんですかね?」と確認すると「本当の気持ちだから」と男気もあった。そして、その言葉をそのまま原稿にして、本人のOKもいただいた上で掲載、のつもりだった。ところが、編集長のミスでその原稿が出回り、なんと11月の日本卓球協会の理事会でそのコピーが配布され、その人の過激な発言が問題視された。

 当時の協会の専務理事が土曜の午後の理事会の途中で卓球王国に電話をかけてきた。
「あの原稿を今からストップできないか」(専務理事)。
「う〜ん、無理ですね。もう印刷してますから」(編集長)。
「印刷をやり直すとどのくらいかかるんだ」(専務理事)。
「1千万円を越えるような金額ですよ」(編集長)。
「そうか・・・わかった」(専務理事)。
 実際には、当時のページ数と部数では1千万円はかからなかった。それに実はその日はまだ印刷してなかった。最後の校正をしている最中だった。間に合ったのだが、原稿の修正に応じたくなかった。発売前に原稿が流出したのは編集長のミスだったが、インタビューされた本人も原稿を確認しているので掲載したかった。
 発売されたあとも「あのインタビューすごかったね」と会う人ごとに言われたし、「卓球王国は監督の味方でしょ」とインタビューした人にも言われたし、他の人にも言われた。もちろん、その監督が行っていることがダメなら反対するだけのことだったが、日本の卓球の改革をしてくれるという思いもあった。
 ところが、それから1カ月後の12月の全日本選手権では、「卓球王国の今野編集長が日本卓球協会に、『印刷をやり直すなら2千万円出してくれ』と言った」という噂が流れた。ある人は2千万円ではなく、「3千万円、協会に要求したの?」と聞いてくる始末だ。まるで「協会を恐喝」したかのような噂だった。

 人の噂には尾ひれ背ひれが付くとはよく言ったものだ。
 「次期強化本部長か」と言われていた人の協会内人事は、あえなく見送りとなった。この頃、卓球王国は卓球界の中で認知されつつあった。「何か過激なことをやりそうな、今までにない卓球雑誌」として。
 一方で、それまで仲良くしていた人とも気まずい思いになってしまう、という代償を払い、また発売後にその人の団体組織に呼ばれ「なんで事前に情報が流れたんだ」ときつい叱責にも耐えるしかなかった。
 <続く>
  • 協会人事にまで影響を与えた20号