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世界卓球東京大会WEB速報

昨日の日本男子vsドイツ戦の「星野の眼」です。

さすがに皇帝ボルだ。静かな闘志の中にクレバーな卓球が見えた。2ゲーム目からボルは丹羽に対して攻め方が徹底していた。サービス、レシーブは丹羽のフォア前に、ラリーはストレート狙い、もしくは丹羽のフォアを攻めた。そのストレート狙いがつなぎではなく、速い攻撃というところにボルの強さがある。個人的に非常に興味をひかれたのは、1ゲーム目の後半、二人の読み合いの勝負。ボルのフォア前へのサービスは、丹羽にフォアでレシーブをさせたい。対する丹羽は主にチキータ、もしくはボルに早い3球目攻撃をさせないレシーブをしたい。ボルのサービスの度に、お互いの読み合い、駆け引きが見られ、最終的にはレシーブの読みで勝った丹羽が1ゲーム目を奪った。

2番の水谷の勝因は2つ。4ゲーム目の中盤から、水谷は攻めで速さや回転量の変化を加え、レシーブをより多彩にし、オフチャロフのミスを誘った点。もう1つは、5ゲーム目の8-8からのカウンターブロック。ここで完全に水谷に流れがきた。今大会、目立ったカウンターブロックがここでも見られた点。2、3ゲーム目は単調になり流れを失いかけた水谷だったが、戦術のうまさと技術力で見事に逆転した一戦だった。

3番の松平は、1ゲーム目をジュースで落とし、波に乗れなかったのだろう。いつもの松平なら巧みなレシーブをした後、早い攻めをするのだが、この試合はネットプレーの後の動きが止まっていた。カウンターリターンも通常より打球点が遅く、止めきれなかった。若くて勢いがありドライブが走っていたフランチスカ。そのスピード、勢いに松平はうまく対応できなかった。

丹羽戦でもそうだが、ボルは水谷に得意なプレーをさせない戦術が徹底されていた。丹羽戦とは逆にボルは水谷に対して、ストップはバック前、ラリーはバックを中心に攻めていた。2ゲーム目、ボルの攻め方を水谷が察し、バックへのボールを回り込みドライブで得点すると、さらにボルはその水谷に対し、回り込みをよんでフォアを狙った。そして、またバックを攻める。サービスでも同様だった。それができる技術があるのだから、ボルは強い。お互いに読み合い、常に戦術が変化していく中、読みのうまさで水谷を上回ったボルが勝利した。

敗れはしたが、今大会の水谷の活躍はすばらしかった。日本のエースとしての役割を十分果たした。水谷を含め、これからの日本選手に期待したい。