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リオ五輪

 昨日の準決勝、日本対ドイツ。現地のベンチそばからの情報。
 オーダーを見た時に日本が3−0で勝つのかと思えた。それまでの試合を見てもハン・インがドイツのキープレーヤーだった。トップでゾルヤ対伊藤。相手のゾルヤはクアラルンプールの世界選手権よりも明らかに太っていて、動きが鈍そう。しかし、もともとボールタッチの柔らかい選手。動けなくてもタッチは変わらない。

 スタートから競り合いだったが、ラリーの主導権は伊藤が奪っていたように見えた。ベンチに戻っていても伊藤の表情は明るい。「試合で緊張したことがない」という強心臓の伊藤は楽しんでいる様子だ。
 そして最終ゲーム、9−3とリードした時には勝利が見えたはずだ。そこからの2,3本やや雑に見えた。そしてじりじり挽回されると明らかに力が入ってくる。そして大逆転負けになった。五輪だからこそ、あのスコアでもゾルヤはあきらめることはなかった。魔物がいたのか。

 石川はさすがエースという試合。ハン・インのフォアカットはぶち切りで、バックは表ソフトの変化。粘りきると言うよりは中陣で変化をつけ、攻撃のチャンスを狙うタイプ。観客席の最前列では卓球選手の夫が応援。チラチラといつも見ている。
 それにしても、石川は絶対負けられないという気迫がすごかった。伊藤の逆転負けで流れはドイツだった。それを必死に食い止め、勝った瞬間。いつもの「カスミピョンピョン」で3度4度飛び跳ねた。

 3番のダブルスもリードを奪いながら逆転され、1−2と後がない。4番で石川はペン表ソフトのシャン・シャオナを各ゲーム競り合いながら完封。ラストの福原につなげた。

 福原はハン・インに対してフォアドライブで粘るやり方と、ツッツキ多用して相手が前にいる時に強打する戦術を敢行。最終ゲームは3−7とリードされて万事休すかと思ったら、そこから強打を連発し、6点連取、驚異の追い上げで9−7で逆転し、会場は騒然。ところが、相手が再逆転。9−10の長いラリーでハン・インの深い位置からのバックカットは福原のフォアサイドに飛んできて、痛恨のエッジボール。
 日本チームは今のは「サイド」だ。ビデオを見てと主張するが、ITTFのメディア席であとでビデオを確認するとボールは上にはねているように見えた。
 要は、あの追い込まれた局面に持って行く前に、勝つチャンスはあったと言うことだ。前回のような決勝進出はならなかったが、日本選手はベストを尽くした。ただ、紙一重の差。髪の毛1本の差。それがオリンピック。8月14日、それは「日本の日」ではなかった。
 明日の銅メダル決定戦は気持ちを切り替え「日本の日」にしてほしい。メダルなしで帰るわけにはいかない。



  • 銀メダル以上を確保した喜びのドイツ

  • 審判がゲームセットを宣言してから抗議するも認められなかった