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2018世界卓球ハルムスタッド大会速報

日本男子対シンガポール戦の隣のコート、第1コートで北朝鮮を3−0で完封し、5戦全勝でグループBを1位通過した中国男子チーム。グループBは全試合が終了し、1位中国・2位ブラジル・3位ポルトガルが決勝トーナメントに進んだ。

中国男子の用兵術は明快だ。世界団体は3大会目の出場ながら、まだ試合経験の少ない樊振東は5試合すべてで2点起用して経験を積ませ、4番手の林高遠と5番手の王楚欽は格下相手に1試合ずつの起用。そして警戒すべきチームと対戦する時は、馬龍と樊振東の2点に3番許シンというベストオーダーを組む。

試合をつぶさに見ていると、際立つのは馬龍の強さ。17年世界選手権個人戦の男子シングルス決勝で樊振東が馬龍に肉薄し、「そろそろ世代交代か」という雰囲気もあったが、やはりチームのエースは馬龍だ。彼のフォアハンドはまぎれもなく世界一。ABS樹脂の採用で以前より硬くなったプラボールをものともしない。16年リオ五輪で金メダルを獲得し、年齢的にもゆるやかな下降線をたどるのかと思われたが、その強さにいまだ衰えは見られない。

一方、樊振東はポルトガル戦で左腕のジェラルドに対し、ゲームカウント1−2の8−10でマッチポイントを握られるなど、もうひとつプレーが冴えない。この試合は何とか逆転勝ちしたが、一度守勢に回るとフォアハンドの手数が減り、バタバタと連続失点する時がある。ボールの材質の変化による影響を、馬龍よりも大きく受けているように感じる。記者席では「痩せすぎか?」との声も……。

許シンのプレーは、相次ぐ故障で満身創痍だった昨年の全中国運動時に比べると、集合訓練でのトレーニングでキレが戻っている。ただ、かつての驚異的なフットワーク、後陣から這い上がるようなフォアドライブがもたらすインパクトはない。下がった時のプレーがより守備的になっている。

ベンチに入った劉国正監督は、今のところ座っているだけで大丈夫、という試合ばかり。しかし、準決勝・決勝で、前半で失点するような展開があれば……果たしてどうなるか?
  • 馬龍は強い、まだまだ強い

  • 決定打を狙い打つ、普段のプレーの冴えが見られない樊振東

  • もう28歳の許シン

  • どことなく心細げな劉国正監督