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2018世界卓球ハルムスタッド大会速報

 10時に韓国と北朝鮮の選手たちがコートに入ってくる。しかし、様子がおかしい。その前から両チームの選手が笑顔で言葉を交わし、韓国の応援団が北朝鮮の選手に拍手を送る。
 そして場内アナウンスが流れる。「お互いが戦うことを望んでいない。試合をやらずに統一チームを作り、準決勝に進む。名前は『コリア』である」
 昨晩、南北朝鮮の代表者がITTF(国際卓球連盟)に申し出をして、認められたとのこと。

 ITTFのプレスリリースによれば、ITTFと南北朝鮮チームの代表者が話し合いをしてこの結論に至ったという。バイカート会長は「ITTFの執行委員に今朝の会議で伝えた時に、この歴史的な動きはスタンディングオベーションで受け入れられた」とコメントした。
 これは先週の南北朝鮮の首脳会談の『継続的な平和』をフォローした形だ。北朝鮮の卓球協会会長のチョ・ジュンチョル氏は「この結果はITTFとIOC(国際オリンピック委員会)の強いサポートの結果だ。南北チームの努力によってよりよい成果を出していきたい」と語っている。
 韓国卓球協会の副会長であり、IOCメンバーの柳承敏氏(04年五輪金メダリスト)は「これは両国にとって歴史的な決定であり、とてもうれしい。このことは卓球を通して両国の平和を導くことになるだろう」とコメントを発表した。

 卓球においての南北朝鮮の統一チームは1991年の世界選手権千葉大会以来。しかし、その時には大会前に統一チームを作り、大会で戦ったが、大会期間中にお互いが対戦する時に試合をせずにいきなり統一チームを作り、次の試合を戦うことは全く次元の違う決定である。両チームは戦わずしてメダルを獲得した。ことになる。

 これが平和的な快挙と言えるのか。
 大会に参加している選手や関係者からすれば、ただただ驚くばかりだ。世界最高峰の選手権が政治利用されたことにはならないのか。競技ルールが簡単に変更できるのか。という見方もあるのだ。下記は両国の関係者および日本卓球協会の星野一朗専務理事のコメント。

●チョ・ヒョンハ(北朝鮮)
「チームが一緒にとてもハッピーです。昨日の夜にこの話を聞きました。準決勝では一緒のチームで勝ちたい」

●キム・ソンイ(北朝鮮)
「信じられない気持ちです。統一されたチームで、さらに上のレベルに上がっていきたい」

●梁夏銀(韓国)
「『コリア』の話を聞いて、とても驚いた。とてもうれしい。昨日の夜に統一チームの話を聞いたけど、不確かだったので、今朝も練習した。次日本と対戦するかもしれない。しっかり練習して、備えたい」

●安宰亨女子監督(韓国)
「とても感動しています。統一チームのことは今朝、ITTFと韓国協会から言われました。昨日の夜まで、もちろん今日の試合のために準備をして、練習しています。もちろんこうなるとは予想はしていませんでした。このケースではお互いが、そして次の相手が同意してくれないとできない。我々は1991年の千葉大会で(統一チームを)経験しているのが役に立った」

●星野一朗・日本卓球協会専務理事
「韓国側と北朝鮮側とがお互いの申し出で、ITTFに統一チームにしたいという申し出があった。ITTFが発表した時に我々も知った。卓球は今までも大きな役割を果たしてきた。スポーツを通して世界平和を求めてきたので歓迎をしたい。日本はまだウクライナ戦があるのでそこに集中する。日本選手は別にまだ動揺していない。今後の国際大会でも統一チームはあり得る話でしょう」
  • ミックスゾーンで取材を受ける徐孝元(韓国/手前)とキム・ソンイ(北朝鮮)