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2018世界卓球ハルムスタッド大会速報

心臓に悪い一戦だったが、最後まで彼女の勝利を信じていた。最終ゲームのジュースの連続の中で、相手に何度もエッジがつきながら、16ー14で粘り抜いた石川佳純。試合後のミックスゾーンで「突然決まったチームと対戦することで、動揺もプレッシャーもあったし、注目されている中で勝ちたいという気持ちもあった。苦しい試合になると思っていたけど予想以上に苦しかった」と試合を振り返った。

「最終ゲームは8ー7で、ここ1本取れたかなというところで絶対取れないエッジが入って、10ー10でスマッシュを打った時も(ロビングが)絶対取れないエッジで入って、「ヤバいな」と思ったけどしょうがないと。でも次のエッジが入って「あ〜、どうしちゃったのかな」と思ったんですけど、キム・ソンイさんもわざとじゃないのでしょうがないと思いつつも、絶対負けられないという気持ちもあった。最後の1本もネットで入ってきて、その前の一本もツッツキがエッジだったけど取れて、「ヨシ!」と思って、最後も取れるボールだったので、勝つことだけを考えて粘りました。
 2ゲーム目5ー1でリードしていて、それでここまで競り合ってしまったのは、あまり試合内容としては良くないというのはあります。ちょっと打ち急いでしまった。2ゲーム目も落ち着いてやれていれば、2ー0でリードできていた試合でした」(石川)

 試合後に見せた涙の理由について、「決勝にいけてうれしくて泣いているのではなく、いろいろなハプニングがあった中で、みんなで乗り越えることができて、プレッシャーもすごく感じていたので、ホッとしたという感じで……泣いてしまいました」と石川は語った。

 リオ五輪の女子シングルスで、キム・ソンイに痛恨の敗戦を喫した石川。「リオでのすごく痛い経験が、自分の力になっていると思います。これだけ大きい大会で勝てて、とりあえずリオの自分はしっかり克服できたかなという気持ちはある。それはすごくうれしいです」。リオ五輪後、継続的にカット打ちの強化に励み、強く回転をかけるループドライブではなく、回転量の少ない軽打から両サイドへ決定打を放つパターンを身につけてきた。キム・ソンイ戦では打ち急いだ部分もあるが、この2年の成長を自らの手で証明した。

「いよいよここまで来られましたけど、明日が本当に大一番だと思って私たちはやってきた。最高の準備をして、余り考えすぎずに自分たちのプレーをして、全力でぶつかっていきたいと思います」。最後はキャプテンらしいコメントで締めた石川。中国女子は世代交代の狭間にあり、丁寧・劉詩ウェンの力がピークを過ぎつつある一方で、朱雨玲・陳夢は団体戦での経験が少ない。最強軍団の長城にも、ほころびは必ず出てくるはずだ。まずは女子団体準決勝のもうひと試合、中国対香港の結果を待ちたい。
  • ベンチでの石川の表情。本当に苦しい試合だった

  • ミックスゾーンでは頼もしいコメントも残した