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平成30年度全日本選手権速報

 今年も全日本選手権の季節がやってきた。1月14~20日、熱戦の舞台は大阪・丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)。例年、全日本の会場となっていた東京体育館が東京五輪に向けた改修工事に入ったため、初の大阪開催となった。まさに大阪・冬の陣だ。

 男子シングルスでは、昨年14歳6カ月という恐るべき史上最年少の優勝記録を作った張本智和が、連覇に挑戦する。12月のITTFワールドツアー・グランドファイナルでの優勝で、世界ランキングを日本男子で過去最高の3位(19年1月発表)まで上げた張本。2018年は樊振東、馬龍、張継科、林高遠という中国選手からの歴史的な勝利だけでなく、5月の世界選手権団体戦や8月のユース五輪決勝では痛恨の敗戦も経験。心身ともに鍛えられてきた。グランドファイナルでは安定した守備も披露し、「勢い」だけではない強さを身につけつつある。

 スーパーシード32名の組み合わせも、張本に味方している。Tリーグやワールドツアーで張本を破っている吉村和弘、上田仁、松平健太という選手たちは、決勝まで張本とは当たらない。丹羽孝希と水谷隼も同様だ。「打倒・張本」を目指す選手たちは、まず決勝まで勝ち上がるというハードなミッションをクリアしなくてはならない。張本にわずかな不安材料を探すとすれば、猛烈に負けず嫌いであるがゆえに、試合運びがうまくいかない時にいら立ちを隠せず、プレーが崩れることがある点か。連覇へのカギはやはりメンタルだ。

 ラバーを変えて心機一転、グランドファイナルで梁靖崑(中国)を破って3位に入った水谷隼は、前人未到の10回目の優勝に挑む。昨年は決勝で敗れ、「張本が出てくる前にたくさん優勝しておいてよかった」とやや自嘲気味にコメントしたが、若き王者を打ち破っての「V10」となればその価値は大きい。水谷のフォアをえぐる張本の高速バックハンドに、どのように対抗するか。戦術マスターの意地を見せたい。

 高校3年での全日本優勝から6年が経った丹羽孝希は、そろそろ2回目の天皇杯を手にしたいところ。19年1月発表の世界ランキングで、4月の世界選手権個人戦の出場権を獲得していることが、リラックスして戦える心理的なアドバンテージとなるか、あるいは逆に集中力が低下してしまうか。集中力100%なら優勝する力は十分にある。

 さらに優勝候補としては松平健太、上田仁、大島祐哉、吉村真晴といった強豪が顔を揃える。張本、丹羽、水谷の3人がリードする東京五輪への選考レースにおいて、第二集団から追いつくためには4月の世界選手権個人戦への出場は絶対に外せない。全日本王者という称号はもちろん、東京五輪への希望の扉を開くためには、全日本での優勝によって自力で世界選手権個人戦への切符を手にしてほしい。
 
 そしてスーパーシードではないものの、ワールドツアーやTリーグで存在感を見せつけている吉村和弘は、いわば「最強のノーシード」。国際大会では林高遠(中国)らをノックアウトし、Tリーグのビクトリーマッチで二度も張本を破った。全日本に嵐を呼ぶとしたら、この男だ。
  • この1年でさらにプレーのスケールを増した張本智和

  • 水谷隼、前人未到のV10に再び挑戦する

  • 集中した時の強さはピカイチの丹羽孝希

  • 前回3位の松平健太も優勝候補のひとり

  • 前回は4回戦で敗れた吉村和弘。大阪で大爆発なるか