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中国リポート

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 本題に入る前に……と言っては何ですが、日本では思わぬ「日本選手締め出し報道」へと発展している中国スーパーリーグ。ここまで開幕がずれ込むとは思わなかった。6月の世界選手権の終了時点では、9月末の開幕という情報もあった。

 「締め出し」ということでは、確かに北京五輪の前年の2007年、出場選手に全試合のベンチ入りを義務付け、実質的に外国選手を排除して中国のマスコミからも批判されたことはある。五輪開催年に各省チームの練習場にライバル選手のリストが貼られ、「右の者、練習場に入れるべからず」という通達が出た、なんて話もある。

 そのあたりは極めて合理的に、勝利への最短手段を選ぶお国柄。外国選手を締め出しても不思議はないが、今シーズンはそれどころではない。未だ日程すら定まらず、本当に開幕が危ぶまれている。各クラブのスポンサーの手前(てまえ)もあり、何とか開幕にはこぎつけるだろうが、開幕時に昨シーズンまでのクラブがいくつ残っているか……。通常なら選手たちもそれぞれのクラブに分かれ、練習して開幕に備えるのだが、やむを得ず北京で「スタンバイ中」。そちらの動向は、また新しいニュースが入り次第お伝えします。

 ……というわけで前置きが長くなりましたが、今回はシンガポールからの話題。昨年10月、度重なる規律違反(ナショナルチームの宿舎に何度も女性を連れ込んだ)により、シンガポールチームから追放された元中国代表の李虎。彼の母親である蘇鳳仙が今、シンガポールで裁判の真っ最中だ。

 実は李虎が追放される前週、蘇鳳仙はシンガポールで逮捕されている。彼女は息子の立場が危ういと見るや、すぐさまシンガポールに飛び、シンガポール卓球協会のテクニカルディレクターである黎仕漢に処分の軽減を直談判。黎仕漢にこれを拒否されながら、蘇鳳仙はなおもあきらめず、2000ユーロ(約26万円)が入った封筒を渡そうとした。結局、この「賄賂(わいろ)」を受け取ってもらうどころか、黎仕漢に通報されてしまい、息子の追放より先に捕まってしまったのだ。何やらドラマのような話ではある。

 シンガポールはCPIB(汚職調査局)という機関を設けており、汚職に対しては非常に厳しい。今回の一件も、有罪なら10万シンガポールドル(約830万円)の罰金か禁錮5年、或いはその両方という厳刑。逮捕後、一旦は罪を認め、「私がしたこと(=贈賄)は、中国では文化の一部です」と証言したという蘇鳳仙だが、昨年12月に保釈された後は一転して罪を認めず、裁判で争っているという。何ともお騒がせな親子なのだ。
  • 14年アジア競技大会での李虎。現在は中国に戻り、コーチ兼任でプレーを続けている