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中国リポート

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 2月28日〜3月3日、中国・深センで行われる世界卓球選手権個人戦(4月21〜28日/ハンガリー・ブダペスト)の中国代表選考会『地表最強12人』。
 男女ともチームの重点強化選手6人に、第一次選考会を通過した6人を加えた12人が出場。男女各1枚の世界代表の切符を争うこの代表選考会に、16年リオ五輪男子金メダリストの馬龍が出場しないことが明らかになった。発表された選考会のスケジュールでは、すでに第一次選考会7位で補欠となっていた閻安(13年世界選手権ベスト8)が繰り上がりで出場メンバーに加わっている。

 昨年後半、ITTFワールドツアー4大会や男子ワールドカップを相次いでキャンセルし、今年に入ってからも1月のハンガリーオープンにエントリーしながら出場をキャンセルした馬龍。左膝の故障からの回復に、予想以上に時間がかかっているようだ。『北京日報』では、所属先である北京市チームの張雷総監督のコメントが伝えられている。
 「彼の膝の故障は非常に重いものであり、手首や腰にも故障を抱えている。彼の故障も心配だが、回復後に以前の競技レベルまで戻れるかどうかも非常に心配している」。

 今回行われる『地表最強12人』は、中国卓球協会と中国の大手ポータルサイトである『騰訊(テンセント)』がタッグを組み、ショーアップされた中で行われる大会。代表選考会でありながら、優勝賞金100万元(約1650万円)、賞金総額500万元(約8200万円)という驚くべきものだ。一方で、決定する代表枠はひとつだけで、選考会というより卓球の認知度を高めるためのエキシビションという要素が強い。馬龍は『地表最強12人』に出られなくても、故障が回復すれば代表入りを果たすだろう。ただし、30歳という年齢でかつての競技レベルを取り戻すのは容易ではない。

 16年リオ五輪に出場した馬龍・許シンに樊振東(17年世界選手権準優勝)を加えた3名が、東京五輪の代表メンバーになる可能性が濃厚だった中国男子。しかし、馬龍が4月の世界選手権個人戦にも出場できなかった場合、2年前の世界選手権個人戦での優勝や、昨年3月のドイツオープン優勝などで得た世界ランキングのポイントがごっそり消失。現在12位の世界ランキングが100位近くまで下降してしまう。五輪でのチームランキングを考えるとトップ10圏内まで戻したいところだが、それには相当なエネルギーを要し、再び故障のリスクも高まる。

 現在世界ランキング3位の林高遠の五輪代表入りも現実味を帯びてくるが、昨年12月のITTFワールドツアー・グランドファイナル決勝で張本智和に完敗するなど、ビッグゲームでのメンタルのコントロールには大いに不安が残る。代表メンバー3人のうち、許シン・林高遠と左腕がふたりになってしまうのも、団体戦のオーダーを考えると柔軟性を欠く。中国男子としては、まずは馬龍の治療とリハビリが最優先、というところだろう。
  • 昨年のジャパンオープンでの馬龍のプレー。王者のカムバックを願う