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中国リポート

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 6月28日から7月1日まで開催されていたITTFフォルクスワーゲンオープン・中国大会。
 開催地の南京市は江蘇省の省都で、人口は約770万人。古くから多くの王朝が都とした古都。また、重慶市・湖北省武漢市と並んで「中国の三大火炉(ストーブ)」と言われるほど暑い都市で、夏には気温が40℃に達することもある。6月末は日本と同じく梅雨の時期に当たるが、それでも平均気温は33℃前後とかなり暑い。当然、会場となる五台山体育館は空調が効いているのかと思いきや、「空調を入れると風が舞ってボールが飛ばされる」という選手からのクレームが出て、空調を切って大会が行われたようだ。湿気もあり、選手たちにとっては厳しい環境だ。

 先週のフォルクスワーゲンオープン荻村杯に続き、今大会も中国選手が一般4種目を完全制覇。男子シングルスでは中国の最強トリオ、王励勤・馬琳・王皓が揃ってベスト4に入り、張怡寧と王楠が欠場した女子シングルスも、郭躍と郭炎が決勝を戦った。今大会の大きなサプライズはふたつ。ひとつは女子シングルスで、世界選手権ザグレブ大会準優勝の李暁霞が金沢咲希(日本生命)に敗れたこと。そしてもうひとつは、男子ダブルスでの王励勤/馬琳ペアの実現だ。

◆まさかの完敗、オリンピック代表が遠のく李暁霞

 女子シングルスで李暁霞が敗れたことは、中国でも「今大会唯一の失策は李暁霞」「前世紀の国家代表に不可解な惨敗」と大きく報道されている。世界選手権準優勝とはいえ、まだ18歳の李暁霞がメンタルに不安を残すのはやむを得ないだろう。また、現在国家チームの一軍選手ではペンホルダーの選手が非常に少なく、ベテランの李楠(左ペン裏ソフトドライブ型/99年世界3位)くらいしかいない。金沢の打球点の早いショートとプッシュが、若手選手に対しては大きな武器になってくるのか。
 北京オリンピックの中国女子代表は、張怡寧・王楠・郭躍・李暁霞の4人のうち、誰かひとりが脱落するという状況。世界ランク4位の郭炎はこの4人とダブルスのペアを組まないため、代表入りする可能性は非常に低い。現在の実力から言って、張怡寧と郭躍の2人は決定だろう。そこで3人目を張怡寧とペアを組む王楠にするか、郭躍とペアを組む李暁霞にするか、という選択になる。
 世界選手権3連覇の元女王・王楠の引退の花道として、北京オリンピックはこれ以上ない舞台だし、18歳の李暁霞は4年後のロンドンオリンピックでも十分チャンスがある。代表選出に向け、李暁霞としてはかなり不利な状況の中で、今大会での敗戦は大きなダメージだ。

◆決勝で惜敗。王励勤/馬琳ペアの未来は??

 男子ダブルスに出場した王励勤/馬琳。昨年9月にシンガポールで行われた中国 vs.ワールドオールスターズのエキシビションマッチで組んでいるものの、公式大会には初出場。ちなみにそのエキシビションマッチでは、ボル/サムソノフ(ドイツ/ベラルーシ)にストレートで完勝している。王励勤が馬琳の2歳年上とほぼ同年代だし、右利き同士とはいえ、台上処理や一発のパワードライブが得意な馬琳と、ラリー戦で抜群の安定感を誇る王励勤のペアリングは悪くないように思える。しかし、「両雄並び立たず」というべきか、今まで実現することはなかった。
 男子の場合、北京オリンピックの代表は王励勤・馬琳・王皓でほぼ確定と言ってよい。世界ランク1・2・3位の3人で、誰が見ても文句のないところだ。しかし、唯一の弱点といえるのがダブルス。北京オリンピックは4単1複で行われるため、ダブルスでの失点は大きな波乱を招く可能性がある。そこで世界選手権ザグレブ大会で王励勤/王皓、フォルクスワーゲンオープン荻村杯で王皓/馬琳、今大会では王励勤/馬琳とひととおりペアを試してきた。そして皮肉なことに3大会とも、3人のうち残ったひとりと陳杞が組んだダブルスが優勝している。サウスポーの陳杞、ダブルスのスペシャリストの面目躍如というところか。もっとも、3大会とも急造ペア同士で決勝戦を戦っているのだから、「誰が組んでも大丈夫だろう」という気もしてくる。

中国では7日(土)から超級リーグが再開され、第4節が行われる。

Photo上:中国名:満麗で出身は河北省。センセーショナルな活躍を見せた金沢咲希
Photo中:李暁霞は国家チームの先輩に手痛い黒星
Photo下:荻村杯・男子ダブルス表彰。果たして本番ではどのペアが起用される