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中国リポート

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 海南省陵水で行われている、来年の東京五輪・卓球競技と全く同じ種目・タイムテーブルで行われる『備戦東京』エキシビションマッチ。8月14日に男子シングルス決勝が行われ、梁靖崑が王楚欽との接戦を4−2で制して頂点に立った(記録はページの一番下に掲載)。
 
 男子シングルス決勝トーナメントに出場したのは32名。東京五輪・卓球競技の男子シングルスに出場できるのは64名で、実際の人数の半分しかいないが、シード獲得が確実な中国選手は、五輪本番でも3回戦からの出場。3回戦を戦う人数は32名なので、このエキシビションマッチも32名の出場で問題ない。国家1軍チームの選手に予選グループを勝ち上がった11名を加え、さらに国家チームを引退した崔慶磊・張超・侯英超といったベテラン勢も招集。崔慶磊は31歳、張超は35歳、侯英超はなんと40歳だ。

 このベテラン勢の招集が、予想外の波乱を起こす。北京チームの先輩でもあるカットの侯英超戦を前に、「しっかり準備をしようと思った」という第2シードの馬龍が、試合前のウォーミングアップ中に首を傷めてまさかの棄権。樊振東・許シンとチームを組む男子団体でコートに復帰した馬龍だが、さすがに寄る年波を感じずにはいられない。

 さらに準々決勝では、優勝候補の許シンがダークホース・徐晨皓にストレートで敗れる波乱。徐晨皓といえば、塩野真人のカットをまったく打てずに敗れ去った2013年ジャパンオープン決勝をご記憶の方もいるかもしれない。体つきはやや鈍重、バックは強いがフォアで下回転ボールを打たされると苦しくなる徐晨皓は、レシーブ+3球目を得意のバックハンドでカバーし、上回転のラリーに持ち込んでから両ハンドを強振した。徹底して長所を生かす戦術を見せた徐晨皓だが、準決勝はストレートで敗れ、3位決定戦は首と肩の痛みを訴えて棄権。ハイレベルな同士討ちの7ゲームスマッチは、相当な身体的負担を強いるのだろう。

 優勝した梁靖崑は、昨年の世界選手権個人戦で勝利した樊振東に、準決勝で再び勝利。王楚欽との決勝は「肉を切らせて骨を断つ」強烈な打撃戦となったが、相手に打たせて狙う「後の先」の戦術に一日の長を見せた梁靖崑が勝利を収めた。五輪の代表争いが混沌とする女子に対し、男子は馬龍・樊振東・許シンというトップ3に割って入るのは難しい状況だが、Pカード(負傷時の代替出場選手)に選ばれるのは恐らく梁靖崑ではないか。

●男子シングルス・予選グループ(順位のみ/1位の選手は決勝トーナメント進出)
A:1.薛飛 2.牛冠凱 3.楊碩 4.于何一
B:1.梁儼苧 2.馬特 3.劉夜泊
C:1.全開源 2.劉丁碩 3.高楊 4.謝聡凡
D:1.周愷 2.曹巍 3.宋卓衡 4.熊夢陽
E:1.趙釗彦 2.孫佳逸 3.厳昇 4.陶育暢
F:1.張煜東 2.胡東申 3.曹彦涛
G:1.袁励岑 2.陳垣宇 3.林詩棟 4.曽ベイ勲
H:1.賽林威 2.任浩 3.梁国棟
●予選第2ステージ・準々決勝(グループ2位の選手のトーナメント)
任浩 4−1 馬特    牛冠凱 4−0 孫佳逸
劉丁碩 4−0 陳垣宇  曹巍 4−0 胡東申
●準決勝 
牛冠凱 9、5、−13、5、6 任浩
劉丁碩 9、6、9、5 曹巍
●3位決定戦 任浩 −10、7、5、8、8 曹巍
※牛冠凱、劉丁碩、任浩は決勝トーナメント進出

●男子シングルス・決勝トーナメント1回戦
樊振東 3、6、10、4 張超
梁靖昆 −4、6、−8、5、5、8 薛飛
于子洋 −10、7、8、9、−6、9 方博
周雨 8、7、9、−8、10 徐瑛彬
孫聞 7、14、−8、−7、0、7 梁儼苧
趙子豪 6、8、8、9 趙釗彦
林高遠 6、7、10、8 牛冠凱
徐海東 8、−8、10、9、−5、7 崔慶磊
閻安 9、−5、9、−10、8、7 任浩
王楚欽 2、−7、4、6、8 張煜東
鄭培峰 6、9、10、−10、−7、−5、7 劉丁碩
徐晨皓 7、−7、8、7、−9、11 袁励岑
周啓豪 −7、8、5、−4、−9、7、13 賽林威
許シン 6、9、8、−6、−8、8 周愷
全開源 8、3、6、11 向鵬
侯英超 キケン 馬龍

●2回戦
樊振東 7、−7、−8、6、4、8 周雨
于子洋 5、4、9、−8、7 趙子豪
梁靖崑 7、3、6、8 孫聞
林高遠 −9、12、−9、6、5、5 徐海東
王楚欽 −6、7、8、−7、2、9 鄭培峰
徐晨皓 −8、7、−6、9、7、5 周啓豪
許シン −7、9、2、5、4 全開源
閻安 −8、9、−5、8、8、−5、11 侯英超

●準々決勝
梁靖崑 −5、8、5、−4、5、9 林高遠
樊振東 6、−8、8、6、1、2 于子洋
王楚欽 4、6、7、2 閻安
徐晨皓 4、8、8、7 許シン
●準決勝
梁靖崑 10、5、10、−5、−7、7 樊振東
王楚欽 9、8、7、5 徐晨皓
●3位決定戦 樊振東 キケン 徐晨皓
●決勝 梁靖崑 −9、10、8、6、−7、10 王楚欽

※写真提供:ピンパン世界
  • プレーに緻密さが加わった梁靖崑、林高遠・樊振東・王楚欽を連破

  • ハイレベルな打撃戦となった男子シングルス決勝

  • 20歳の若武者・王楚欽は準優勝

  • 長所を生かすプレーで波乱を起こした徐晨皓

  • 許シンはベスト8。残る男子団体で2冠を狙う