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中国リポート

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 世界選手権広州大会の女子団体決勝で、中国と好ゲームを展開したシンガポール女子チーム。準決勝で力なく敗れた中国香港とは違って、中国とがっぷり四つに組み合い、「ガチンコ勝負のシンガポール」を改めて印象づけた。
 しかし、新記録の団体銀メダルを携(たずさ)え、シンガポールのチャンギ国際空港に降り立った彼女たちを待っていたのは、あまりにも閑散とした光景だったようだ。帰国当日の3月3日、空港でチームを出迎えたのは、なんとシンガポール卓球総会の職員2名と、男子選手の母親ひとりだけ。凱旋を讃える歓声も、報道陣のカメラの砲列やまばゆいフラッシュも、そこにはなかった。

 シンガポール女子チームのエース、リ・ジャウェイは、シンガポールの華字紙(中国語の新聞)『聯合早報』の取材に応えて次のように述べている。
「私たちチームのメンバーの多くは、非常に落胆しています。卓球総会が大々的な歓迎をしないのは普通だとは思いますが、やはり納得できない部分がある。東南アジア選手権から帰国した時は、いつも熱烈な歓迎を受けるのに、今回は世界選手権にも関わらず、私たちの帰国を知る人はかえって少なかったようです」。
 シンガポール卓球総会の鄭杰奇会長は「私たちはチームの帰国当日、非常に忙しく、また体育協会からも(出迎えの)人数を集めることができないという連絡があった。普段はチームのメンバーが帰国するたび、熱烈な歓迎ぶりで出迎えている」と苦しい弁明。

 シンガポール・ボウリング総会の潘黄惠珍会長は、同じ『聯合早報』紙上でこうコメントしている。
 「スポーツはある意味ではビジネス。選手が良い成績を挙げたら、体育総会はいわばセールスマンとなって、そのニュースを大々的に宣伝するべきでしょう。総会がアピールをしなければ、国民には何も伝わらないし、国民が何も知らなければ、どうして空港で選手たちを歓迎することができるでしょうか。
 総会はもっと積極的になるべきです。帰国した選手たちを歓迎することは、スポーツ文化発展の一翼を担うことになるのだから」。さすが国際ボウリング連盟会長にも選ばれた女傑、なかなか「やり手」の発言だが、的を得た指摘と言うべきだろう。

 日本でも、選手たちをもっと空港で熱烈に歓迎してもいい。世界選手権やオリンピックからの帰国はだいたい平日になるし、成田空港や関西国際空港まで足を伸ばすのは大変だ。それでも、卓球ファンが50人でも集まればかなりの集団になる。テレビで選手たちの記者会見と同時に、選手を迎えるファンたちの映像が流れれば、「卓球は盛り上がっている」という印象を視聴者に与えることができる。
 北京五輪の閉会式は8月24日、選手団の帰国はおそらく25日(月)だ。特に夏期休暇の中高生や大学生の皆さん、ひとつ考えてみてはどうでしょう。

Photo上:女子表彰でのシンガポール女子チーム
Photo下:見事にエースの重責を果たしたリ・ジャウェイだったが…