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中国リポート

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 話はさかのぼって先月28日のことになるが、中国卓球界の名士ふたりが長年の国際卓球界への多大な貢献により、国際卓球連盟(ITTF)から『貢献賞』の表彰を受けた。そのふたりとは、オールドファンにはおなじみの張燮林(チャン・シエリン)氏と、中国の審判員のトップ・孫麒麟(スン・チィリン)氏。

 張燮林氏は現在68歳。世界選手権では団体4回、ダブルス1回、混合ダブルス1回と6つのタイトルを獲得した名選手だ。戦型は右ペンホルダーのカットマン、工場の不良品の一枚ラバーにひらめきを得て、世界初のツブ高ラバーとして使用。対戦した選手たちを大混乱に陥れ、「海底撈月(ハイディラオユエ)」と称賛された。これは麻雀の役ではなく、「海に映った月を本物と思って掬(すく)い取ろうとする」、つまり相手が無駄な凡ミスを重ねるということ。ついたアダ名は「卓球界の魔術師」。
 現役引退後は1972年から中国女子卓球チーム監督を務め、95年に監督職を陸元盛に譲るまで、8連覇を含む10回の団体優勝を達成。中国を代表する名伯楽のひとりとなった。2001年に国家体育総局の卓球・バドミントン管理センター副主任の職を辞して第一線を退いたが、交歓イベントなどでは元気な姿を見せている。

 上海の名門大学・上海交通大学の体育学部長を務める孫麒麟氏は、現在58歳。ワールドカップや中国開催のプロツアーなどで審判長を歴任し、世界選手権広州大会でも審判長を務めた。卓球や体育理論の教材にも多くの著書があり、中国の卓球界では知らない者のいない存在なのだ。
 北京五輪を控え、中国卓球協会は審判員の育成を進めてきた。孫氏にとっても、これからますます忙しい日々が続きそうだ。

Photo上:昨年10月に来日した際の張燮林氏
Photo下:こちらは昨年11月、地元・上海で開催された上海ラージ大会に出席した孫麒麟氏