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中国リポート

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 今年も12月23日に行われた「2010国家卓球チームコーチ報告会およびコーチ選考会」。二期目(2008~2012年)の折り返し地点となる2010年を終えた国家男子チームの劉国梁監督が、今年1年を総括した。
 モスクワ大会決勝で痛恨の敗戦を喫した女子チームに対し、トップで馬龍が破れながらもタイトルを死守した国家男子チーム。劉国梁監督は「モスクワ大会決勝ではトップで敗戦を喫し、大きなプレッシャーに直面しながら、逆境を跳ね返して勝利した。チームがあのような、生死を分ける一戦の洗礼を受けたことは、ロンドン五輪を目指す上で大きな意義がある」とコメントしている。

 そのモスクワ大会で男子チームの精神的支柱として、大きな役割を果たしたのは馬琳だった。「選手としての総合力では、馬琳が今でもチームで最強の選手であることを、成績がはっきり証明している」と、毒舌で知られる劉国梁監督も賞賛。北京五輪後はタイトルに恵まれていない馬琳だが、呉敬平コーチが報告会で興味深いコメントを残している。「今まさに馬琳は、新しい発展の段階を迎えており、技術的にも伸びる余地は十分ある。私たちふたりは共通の認識を持つに至りました。全力でロンドン五輪の出場権を取りにいくこと、そのために最高水準の努力を自らに課していくことです」。
 担当コーチの口から飛び出した、驚きの“現役続行宣言”。中国の卓球雑誌『ピンパン世界』が選ぶ「2010・年度人物(プレーヤー・オブ・ザ・イヤー)」にも選ばれた馬琳。「直通モスクワ」で第1ステージから初戦敗退が続き、「ついに引退の時か」と噂された馬琳だが、老虎はどっこい死んではいなかった。ロンドン五輪へ続く道に茂る茨(いばら)を振り払うには、まずは来年5月の世界選手権ロッテルダム大会で、最低でも表彰台には立っておきたい。

 また、馬琳と同じく上半期の不調を脱し、男子ワールドカップ優勝、アジア競技大会2位などの成績を残した王皓について、劉国梁監督は「王皓は二度のスランプを乗り越え、ついに復活の時を迎えつつある。プレーに対する自信を深め、精神的にも安定感が増し、戦術面でも明らかな進歩がみられる」とコメント。コーチ陣にとっては、精神的に不安定になった王皓に対する指導経験も、貴重な財産になったという。
 アジア競技大会でタイトルを獲得した馬龍については、劉国梁監督は「本当に山あり谷あり、指導は困難を極めたし、本当に成長したとは言いがたい」と手厳しい。「馬龍は内向的な性格で、周囲の人間やその意見を受け入れるのが苦手。自信も足りないし、自分をさらけ出していない」。実力的には申し分ない馬龍だが、劉国梁監督は他のスポーツのトップ選手に負けない存在感を持つ、真のスター選手への脱皮を願っているのだろう。

 国家男子チームは、年明けの1月7日から、早くも世界選手権ロッテルダム大会の第一次選考会、「直通鹿特丹(直通ロッテルダム)」がスタートする。

Photo上:劉国梁監督、ベテランの労をねぎらいながら、若手には厳しいコメント
Photo下:激動の1年を乗り切った馬琳