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中国リポート

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 3月31日、アテネ五輪・北京五輪金メダリストの張怡寧が、アメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校へ留学するため、北京首都国際空港を飛び立った。同じ北京体育大学・冠軍班(チャンピオンコース)で学ぶ16名とともに、10カ月間の留学生活を送ることになる。
 空港では母親の王風英さん(中国は夫婦別姓)が娘を見送ったが、旦那さんの徐威さんは姿を見せず。金融関係の仕事をしている徐威さんは、ニューヨークなどを頻繁に訪れており、「わざわざ見送りに来ないでもいい」と張怡寧がやんわり断った。初めてひとり暮らしをする娘を心配する王さんには、こう言ったそうだ。「もう車の運転もできるようになったし、料理もすぐ慣れるに決まってる。自分の面倒くらい自分で見られるから、心配しないで」(出典『華西都市報』)。

 そして張怡寧は、初めて自分の口から「退役(引退)」という言葉を口にした。
「2009年の全中国運動会が終わってから、しばらく休みたいと思いました。それからずっと、現役を続けるかどうかを考え続けてきました。そして今は、やはり自分は引退するべきだと感じた。若い選手たちにチャンスを与えるべきです」
(張怡寧/出典『新京報』)
 昨年11月に「引退試合やセレモニーをやるつもりはない。このままゆっくりと皆さんの視界から消えていければいい」と述べ、事実上の引退宣言をしていた張怡寧。今回は正式な引退宣言として、中国でも大々的に報道されている。正式な引退発表までに1年半以上を要したわけだが、張怡寧が発言するたびに大きく報道されてきたのは、それだけ彼女の現役復帰を望む声が多かったということだろう。

 張怡寧はマスコミの取材に対し、国家チームの後輩たちに対してもコメントを残している。現在、かなりの不調に陥っている郭躍に大しては、「北京五輪までは、郭躍は王楠と私とプレーしていたから、本当の意味でのプレッシャーを受ける試合は少なかった。今は本当に苦しい時期だと思うし、もう少し時間を与えてあげてほしい。チームも彼女を最も必要としているので、立ち直ってくれることを願っています」とコメント。一方、モスクワ大会決勝で2点を落とした劉詩ウェンに対しては、「劉詩ウェンは団体戦の主力になるまでの時間が短かったので、大きな試練をくぐり抜けることがなかった。彼女も今は、そのプレッシャーを十分感じているでしょう。個人戦と団体戦、受けるプレッシャーは全く違うものですよ」(ともに出典『信息時報』)と語っている。

 今日、4月1日はエイプリルフール。中国では「愚人節」という。張怡寧ファンの方々には残念だが、彼女の引退は本当のことだ。留学を経てどのような道に進むのかに注目したい。

↓下は『新浪』のスポーツページに掲載された、空港での張怡寧の写真
http://sports.sina.com.cn/z/zhangyiningretire/photo/104711/

写真:現役最後の大会となった、09年全中国運動会での張怡寧