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中国リポート

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 7月9~11日に四川省成都市の成飛体育館で行われた国家チームのエキシビションマッチ。ロンドン五輪の卓球競技会場「エクセル」がそのまま成都に引っ越してきたかと思うほど、競技環境の再現は完璧だ。

 女子シングルスでは、現世界女王で、郭炎とのエントリー変更で五輪団体・シングルスへの出場権を得た丁寧が、A組で優勝。決勝で宿命のライバル・劉詩ウェンを4-2(11-4、9-11、11-8、11-3、5-11、11-6)で破った。昨年11月のプロツアー・グランドファイナルでは、劉詩ウェンの緩急をつけた攻めにストレート負けを喫した丁寧だが、この試合では攻守に抜群の安定感を見せた。
 「五輪のようなビッグゲームを経験すると、選手の実力は30%くらいアップする。ライバル関係にある丁寧と劉詩ウェンも、丁寧が五輪を経験することで、両者の間にはっきりと明暗が分かれていくかもしれない」。88年ソウル五輪・男子ダブルスで金メダルを獲得した偉関晴光さんの言葉だ。果たして劉詩ウェンの逆襲はあるのか

 「五輪さながらの雰囲気の中で集合訓練を行うことで、普段の練習や練習試合でも、五輪をイメージしながらプレーできた」と試合後に語った丁寧。ロンドンにはスペアラケット5本、ラバー30枚を持ち込み、「マイ枕」まで持参。五輪本番への備えは完璧とも思えるが、このエキシビションマッチのA組初戦でカットの胡麗梅に1ゲームを落としている。かつて丁寧の弱点と言われたカット打ち。近年では完全に克服されたように見えるが、CCTVで卓球の解説を務める楊影(97年世界女子複優勝)は「丁寧は対カットが唯一の不安」と指摘する。

 女子シングルスB組で優勝したのは李暁霞。決勝で楊揚(07年世界ジュニア優勝)を4-1で下している。ただ、集合訓練中に古傷である足首のケガが再発し、エキシビションマッチの終了後は、出発まで軽めの調整で済ませている。「ロンドン五輪に向けて、とても良い準備ができている。十分な準備期間があったし、あとは自分の実力を示す機会を待つだけ」(李暁霞)。
 李暁霞の最大の不安要素は「慢熱(スロースターター)」だろう。勢いがつけば、その豪打は丁寧に勝るとも劣らないものがあるが、うまくエンジンに点火できるかどうかが課題。中国女子チームの施之皓監督も、「出足の2試合について、より慎重に、細かく準備をしておく必要がある。特に心理面の準備は重要だ」と語っている。

 3チームの総当たりリーグ戦で行われた女子団体は、丁寧・李暁霞・郭躍の「奥運主力隊」が力の差を見せつけて優勝。現在の国家女子チームは、攻撃型の中堅選手の層がやや薄くなっているようだ。
 いよいよロンドン五輪の開幕は目の前。シングルス・団体戦のドローが今日25日の現地時間14時(日本時間22時)から行われるので、その結果に注目しよう。

Photo:中国女子・五輪代表の3選手、丁寧(上)、李暁霞(中)、郭躍(下)