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中国リポート

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 男子シングルス決勝で張継科に1-4で敗れ、五輪3大会連続で銀メダルとなった王皓。中国リポートでも以前紹介したように、このふたりが決勝で対戦したら「(2大会とも銀メダルの)王皓に勝たせるのでは?」という中国の卓球ファンの懸念もあったが、杞憂に終わった。王皓得意の裏面ドライブ、裏面フリックは張継科の多彩なバックハンドに完璧にシャットアウトされ、フォアの打ち合いになっても、張継科が抜群のフットワークで王皓を制した。

 男子シングルス決勝の終了後、王皓が母親の劉志英さんに長いメールを送ったことを、『中国体育報』が伝えている。父親の王忠全さんはこう語っている。「息子からのメールは、私たちをなぐさめ、励ましてくれるものだった。本来なら私たちが息子をなぐさめるべきなのに。三回の五輪で三枚の銀メダル。息子は全力を尽くしたのだと私は思っている」(出典『中国体育報』)。
 男子団体決勝の韓国戦では、王皓の故郷である長春市の長春全民健身センターに、王皓の両親や母校である長春市体育学校の生徒などが100人ほど集まり、王皓を応援。劉国梁の母親である文玉香さんも同席した。王皓にとって劉国梁は、八一解放軍チームの先輩。家族ぐるみのつきあいがあるそうで、王皓の両親を励ますために河南省から駆けつけたのだという。王皓は決勝3番のダブルスに出場して、中国男子の優勝を決めた。パートナーはシングルス決勝で敗れた張継科だった。

 王皓は男子団体決勝後に行われたインタビューで、次のように語っている。
「ずいぶん年を取ってしまったね。ぼくにこんなことを言う人もいるかもしれない。馬琳や王励勤は北京五輪が終わってからも、次の五輪を目指して努力を続けただろうと。でもぼくは、考え方は人それぞれ違うと思う。少なくともぼくにとっては、今回のロンドン五輪が最後のオリンピックになるだろう。
 中国男子チームからは次々と人材が輩出されて、張継科や馬龍のような若い選手もいる。安心してチームを去ることができると感じているよ」

 ……まるで引退会見のようだが、王皓は最後に「すぐに引退することはできないだろう。チームの事情もあるだろうしね」と付け加えている。
 国家男子チームで王皓と馬琳を指導してきた呉敬平コーチも、今回のロンドン五輪を最後にコーチングスタッフから外れる。その呉コーチは、王皓の現役続行を求めるファンの声に対し、微博(中国版ツイッター)で「王皓は簡単に引退したりはしない」と述べている。来年、パリで行われる世界選手権個人戦。ベルシー・スポーツホールに果たして王皓の姿はあるのか。

photo:五輪3大会連続の銀メダル。王皓の胸に去来するものは……
photo:団体金メダルを決め、劉国梁監督とともに敬礼