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中国リポート

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 五輪の開催年に当たるため、シーズンの開幕が例年の5月末から10月末にずれ込んでいる「2012中国卓球クラブ超級リーグ」。すでに選手の獲得状況や、新しいクラブの参戦情報などが流れつつあるが、中国・天津の地方紙『濱海時報』が興味深いニュースを伝えている。先月のロンドン五輪で、五輪7大会連続出場という金字塔を打ち立てたヨルゲン・パーソン(スウェーデン)の超級リーグ参戦が決定したというのだ。

「考えたのはほんの一瞬だよ、そして即決した。ぼくはずっと超級リーグでプレーすることを願っていたんだ。天津市チームで、ついにそれが実現するよ」(パーソン/出典『濱海時報』)。
 パーソンが戦列に加わることになったのは、今年10年ぶりに超級リーグへ復帰する天津市チーム。2010年シーズンには松平健太(早稲田大)がプレーしたチームで、監督を務めるのは地元・天津の英雄である馬文革(92年五輪3位)。パーソンと馬文革は20年来の旧友で、ドイツ・ブンデスリーガのオクセンハオゼンでチームメイトだったこともある。これまでにもパーソンが中国を訪れた時、超級リーグでプレーしたいという希望を馬文革に伝えていたという。

 今年は渤海(ぼっかい)銀行という大型スポンサーを獲得し、各クラブを転々としていたハオ帥・李平(ともに天津市チーム所属)を呼び戻し、さらに馬琳との契約も狙っているという天津市チーム。失礼ながら、46歳のパーソンが戦力的にプラスになるのか、という気もするが、馬文革監督にはよりシビアな計算もあるようだ。「パーソンの天津市チームでの役割は、試合だけでなく、ファンとのふれ合いやエキシビションマッチもある。天津の40〜50歳代の卓球ファンには、パーソンやワルドナーに対して特別な感情があるんだ」(馬文革)

 95年に開催された世界選手権天津大会の男子団体決勝で、パーソンとワルドナーのスウェーデンは激闘を繰り広げた。大激戦となった2番の馬文革対パーソン、そしてラストの王涛対パーソンは、中国男子が世界の覇権を中国から奪回した記念すべき一戦として、ファンの脳裏に刻まれている。馬文革がパーソンに期待するものは、競技力以上に「集客力」というのが本音だろう。パーソンは10月初旬に天津入りし、10月末の開幕へ向けて調整を行う予定だ。

photo上:因縁の地・天津で、今度は地元ファンの声援を背に戦うパーソン
photo中:44歳になった馬文革、超級での采配に期待
photo下:新生・天津市チームの上位進出のカギを握るのは、先日の中国オープンを制したハオ帥