スマホ版に
戻る

中国リポート

トップニュース中国リポート
 9月21〜23日に行われた女子ワールドカップ。優勝した09年大会以来、3年ぶりの出場となった劉詩ウェンが、全6試合で2ゲームしか落とさない圧倒的な強さで2回目の優勝。李暁霞と丁寧に続き、練習中に首を故障した郭躍までも大会を欠場する中、きっちり結果を残した。決勝ではサマラ(ルーマニア)をわずか25分で料理している。
 「優勝できて本当にうれしい。これまでの継続的な努力がむくわれた気がします。オリンピックに出られなかったから、自分にとってはより大きな励みになりました。支えてくれた皆さん、そして孔令輝コーチにお礼を言いたい」(劉詩ウェン/出典『華奥星空』)

 そして、これまで超級リーグでは広東省チーム(広州時代地産)のエースとして奮闘してきた劉詩ウェンだが、今シーズンはついに移籍が決定。エース郭炎が北京市チームに復帰した山西大土河・華東理工が、彼女に白羽の矢を立てた。屋台骨を引き抜かれた広東省チームの打撃は計り知れない。
 現在の広東省チームは若手が中心で、国家チーム経験者は右シェークフォア表ソフトの周芳芳がいるくらい。福原愛(ANA)が計3シーズン所属したことでも知られる広東省チームだが、劉詩ウェンが抜けてしまうと、甲Aリーグでの上位進出すら覚束(おぼつか)ない。

 現在、広東省卓球管理センターの主任である喬紅(89年世界選手権優勝)は、『広州日報』の取材に対してこう語っている。「劉詩ウェンは広東省チームの絶対的な主力として超級リーグに出場していたが、チームには優勝を狙えるだけの力がなく、上位4チームのプレーオフには進めなかった。特にメンタルの部分において、彼女を鍛えるには足りない部分があった」。
 もっとも、このコメントはあくまで表向きのものらしい。微博(マイクロブログ)の9月14日の書き込みに、彼女の心情が現れている。

 「とうとう、すべての諦めがつきました。もう吹っ切れました。…今はただ、チームの首脳陣の方々に感謝するだけです。誰もが私を助けようと奮闘してくれました。結果は意にそぐわないものだったとしても、本当に感動しています。
 そして変わらず私たちを支持してくれた広州時代地産の岑CEOにも、心から感謝の言葉を申し上げます。ずっと思い悩んできたことに片(かた)が付きました。あとは超級リーグに向けて、精一杯の準備をするだけです!」(喬紅)

 馬琳、郭炎、郭躍、そして劉詩ウェン。各チームの看板選手たちが次々に移籍している今シーズンの超級リーグ。戦力の均衡が大きく崩れそうな気配だ。

photo上:新天地へと移籍した劉詩ウェン
photo下:喬紅、チームの陣容はあまりに苦しいが、一昨年の姜華君、昨年の石賀浄に続く外国籍選手の加入はあるのか