全日本選手権の一般の部に出られる人は全卓球選手の何%かご存じだろうか。全卓球人といっても、ハナから全日本を目指さない愛好者まで含めたら数百万人にもなってしまうので、ここはあえて日本卓球協会に加盟している人を対象としよう。
そうすると、一般男子では毎年約3万4千人ということになる。そのうち、全日本選手権の一般の部に出られるのはたったの249人だから、割合を計算するとわずか0.7%だ。
これを偏差値に直すと74ということになり(正規分布を仮定した場合)、勉強でいえば実に東大法学部に相当する絶望的な狭き門だ。
東大法学部なら、学校の授業を聞いているだけで入れる天才もいるだろう。短距離走などのアスレチックな競技なら、肉体条件に恵まれた人なら並みの練習で県代表になることはあり得るだろう。
しかし卓球は違う。人並みの練習で全日本に出られる卓球人は絶対に一人もいないと断言できる。卓球は、来る日も来る日も気の遠くなるような反復練習によって、複雑多様な反応を条件反射のレベルにまで高めなくては勝てない巧緻性の極致のスポーツだからだ。
卓球の全日本選手権とは、卓球に人生を捧げた者だけが出場を許された卓球ドランカーたちの祭典なのだ。その7日間の祭典が間もなく始まろうとしている。 (伊藤条太・卓球コラムニスト)