●ジュニア女子決勝
浜本（JOCエリートアカデミー／大原学園）　9、−7、2、−12、9　橋本帆乃香（四天王寺高）

ジュニア女子優勝は浜本由惟！

3年前の平成24年度大会でも決勝に進出し、タイトルにあと一歩まで迫りながら準優勝に終わっていた浜本。4ゲーム目に10−9、11−10のマッチポイントを2回決めきれず、最終ゲームも7−6リードの場面で、サイドかエッジか微妙な判定が橋本の得点に。エッジの判定については、3年前の全日本ジュニア決勝でも微妙な判定に泣いていた浜本。次の一本でフォアドライブを空振りして、7−8となった時は、「再び2位なのか」という空気も流れた。

しかし、昨年12月の世界代表選考会を制するなど、ドイツ・ブンデスリーガでの修行の成果が出ている浜本。ここで屈することなく、橋本のカーブロングやフォアドライブでの反撃も完璧にブロックし、打球点の高い両ハンドで攻めて9−8と逆転。ここで促進ルールに入るひと幕もあったが、10−8、10−9で迎えた4回目のマッチポイントで、ついに熱戦に終止符を打った。

抜群に安定性の高いカットと、前陣に躍り出てのバックハンド、フォアストレートへのフォアドライブなど、多彩かつハイレベルな技術で観客を沸かせた橋本は、インターハイに続いて僅差の2位。ベンチでタオルに顔を埋め、涙を流した。

「悔しいですけど、まさか自分が決勝まで行けると思っていなかった。自分が、この全日本の舞台で、一台しかない中で試合ができるのはすごくうれしい。そこまで行けたのは良かったと思います。最後は自分が思い切ってできなかったのが敗因だと思います。気持ちは負けていないつもりで向かっていったけど、相手にはそれを跳ね返すだけの力があった。まだ気持ちが足りなかったんだなというのを実感しました」（橋本）。来年のインターハイ優勝、そして世界代表入りを目指すという橋本。この敗戦が、貴重なカット型の大器をさらに成長させてくれるに違いない。

●混合ダブルス準決勝
宮本／高橋（中央大／同志社大）　9、−8、−7、9、7　千葉／平（埼玉工業大／正智深谷高）
田添健／前田（専修大／日本生命）　8、−7、10、8　平野／鈴木（協和発酵キリン／専修大）

　混合ダブルス決勝は、宮本／高橋と田添健／前田という対戦カードに。3年前の大会で高校生ペアで優勝した田添健／前田は、2回目のVに王手をかけた！

ジュニア男子準決勝、木造vs伊丹、最終ゲーム後半
ジュニア女子準決勝、橋本vs平野、最終ゲーム終盤

以上2試合の一部を「リアル全日本ムービー」ページに公開しました。

●ジュニア女子準決勝
浜本（JOCエリートアカデミー／大原学園）　−10、8、9、8　梅村（四天王寺高）
橋本（四天王寺高）　−5、8、6、−9、5　平野（JOCエリートアカデミー）

ジュニア女子準決勝、これまで準優勝2回、昨年度3位と頂点まであと一歩の平野美宇は、低く安定した橋本のカットにゲームオールで敗れた。あと2回チャンスがあるとはいえ、今年の3位は悔しい結果だろう。

「最初は良かったんですが、後半は自分で自信を持ってできるプレーがなくなって、何をして良いのかわからなくて、その辺から迷いがでてしまった。促進ルールになって、自分はパワーで押し勝つことができなくて、焦ってミスが出てしまった」と敗戦後の平野。
確かに後半、平野のプレーが単調になった感はあったが、それ以上に橋本のカットがすばらしかった。決めにいった平野のスマッシュさえも追いつき、低く返球。コート上を流れるようにスーッと入っていく橋本のカットは、日本でもトップクラスの完成度と言えるだろう。

もうひとつの浜本vs梅村は、浜本に軍配。以前の浜本ならば、1ゲーム目を先取されたところで崩れていくことが多かったが、今年の浜本はひと味違う。常に集中力を切らさず、堂々たるプレーで、梅村を打ち抜いた。

決勝は、浜本vs橋本。浜本の豪打が炸裂するのか、橋本が粘りのカットを見せるのか。初優勝を懸けた2人の戦いの行方はどうなるのだろうか。

●ジュニア男子準決勝
木造勇人（愛工大名電）　-9、-3、9、6、11　伊丹雄飛（野田学園高）
緒方遼太郎（JOCエリートアカデミー）　　5、9、8　張本智和（仙台ジュニアクラブ）

注目の張本は緒方と対戦するも、まさかのストレートでの敗戦。一般での丹羽戦の完敗が尾をひいたのか、出足かららしくないプレーを重ねた張本。動きが硬く、得意のバックハンドでもミスを連発。一方の緒方は、チキータで先手を奪い、ラリー戦では真っ向勝負はせず、うまく距離をとってつなぐなど、終始冷静なプレーを続けた。史上初の小学生チャンピオンを目指した張本だったが、ベスト4で終戦となった。

「1ゲーム目の出足が悪かったし、2ゲーム目もリードから逆転されてしまった。今日は絶対優勝するぞという気持ちだったので、そこで勝てなかったのが悔しいです。緒方選手とは何回か対戦したことあるが、今日はそれ以上に勝ちたかった……」と、泣きはらした目で張本はコメントを残した。

敗れはしたが、小学生にしてジュニアベスト4、一般4回戦進出と、昨年以上のインパクトを与えた怪物・張本。堂々たる結果だが、ジュニア敗戦後は大粒の涙を流し、悔しさをあらわにした。「超」がつくほどの負けず嫌いの張本は、来年さらなる成長を遂げてこの舞台に戻ってくるだろう。


ジュニア男子のもう1試合は、大激戦の末に、木造が逆転勝利。伊丹は最終ゲーム5-0のリードで折り返したが、悔いの残る敗戦となってしまった。

昨年怒濤の勝ち上がりで一気に決勝へ駆け上がった森薗美咲（日立化成）と神巧也（シチズン）。追われる立場となったふたりは初戦となる4回戦で姿を消した。
森薗は平野（オークワ）に３−０とゲームをリードするが、そこから歯車が狂う。いや、むしろ相手がスパークしたというほうが正しいか。平野のミスが格段に減り、ほとんどのボールをフルスイングで打ち込み、森薗の堅陣を崩していく。相手の勢いに押され、森薗も簡単なミスをするようになり、あっという間に最終ゲームへ。
なんとか食い止めたい森薗だが、一度火がついたら止められない平野の勢いは最後まで止まらなかった。

「大会に入ってからすごく調子が悪くて、それを補おうと戦術を立てたんだけど、何で負けたかなー。4ゲーム目に入って向こうの調子が上がって、コースを変えなきゃとかいろいろ考えたけど、ダメだった。試合に入る前に危ないなーと思うとたいてい負ける。少しでも不安がないように、それを取り除こうと思ったけど、考えてしまう。
　選考会も2位で負けて、昨年も2位。そして全日本の初戦でも何度も負けている。決勝で勝つ難しさと初戦の難しさの両方知っているのに・・・向かっていかないとダメですね。まだまだ甘いです。でも意外に落ち込んではいない。この内容じゃ負けて当然のひどい試合だった。
　選考会にかけていたから、それを乗り越えての全日本だから、結果を残したかったですね」（森薗）

そして男子の神巧也も柴田（フジ）とのラリー戦にフルゲームで敗れてコートを去った。
大きなラリーに強い勝者は一進一退の打ち合いだったが、柴田のほうがストレートを的確について神のミスをうまく誘っていた。
最終ゲームの10-8で神はバックサービスからのドライブを決め、10-9。
またもバックサービス、そして3球目攻撃を打ち込んだが、そこには柴田のブロックが待っていた。神のフルスイングはかなり速いため、ブロックと言えど、まるでカウンターのようなスピードだ。
コートに突き刺さり、ゲームセット。

昨年準優勝のふたりが揃って初戦負けとなった。誰もがかけている全日本で勝つことの難しさを痛感させる。

●女子シングルス
福原（ANA）　４、６、７、１１　中川（中国電力）
石川（全農）　１０、７、６、５　鳥屋（早稲田大）

　昨年の全日本選手権を腰痛で欠場し、2年ぶりの全日本出場となった福原愛（ANA）。初戦となる4回戦は中川（中国電力）にストレート勝ちを収め、明日の5回戦へ進んだ。バック表ソフトの緩急に、回り込んでカウンターのシュートドライブと、競り合ったゲームもしっかり要所は押さえた。

　「調子は、私はあまりアップダウンがないので（笑）、まあまあです」と試合後のコメント。「相手は去年の全日本社会人でも結果を残していて、とても強い選手と聞いていたので、しっかり準備して初戦に入りました。全日本には何度も出ているけど、台とか会場の雰囲気とか、いろいろなものを感じながら戦えた。全日本はすごく緊張する大会ですけど、その分思い切ってプレーできると気持ちが良い。清々（すがすが）しい気持ちになれる大会です」（福原）。

　福原とともにリオ五輪のシングルスに出場する石川佳純も、初戦はストレート勝ち。第1ゲームに先にゲームポイントを奪われても、「1ゲーム取られても、4ゲーム取られなければいい」と思って戦いました」と言うとおり、焦りはなかった。会見場に入ってくるなり、「鼻水が……」とあわてて外へ。会見でも少々ビブラートのかかった声で、「すごい鼻声ですみません、でも元気なんです（笑）」と笑顔でコメントした。

　「ダブルスは本当に全日本の初戦だったので、結構緊張して硬くなってしまったけど、第5ゲームまでいってもしっかり勝ち切れて明日につながった。シングルスは良いプレーができたし、明日に向けて調整できたかなと思います。シングルス、ダブルスとも3連覇を狙いたい。今大会は、思った以上に相手もぶつかってくる感じがする。それを迎え撃つというよりも、自分も挑戦者として臨む気持ちを忘れないようにしたい」（石川）。

●男子シングルス4回戦
水谷（beacon.LAB）　6、4、4、-9、5　宇田（JOCエリートアカデミー）
岸川（ファースト）　11、10、7、7　高取（野田学園高）
堀（愛知工業大）　3、-8、-8、10、8、5　高木和（東京アート）
吉村（愛知工業大）　13、8、10、6　英田（信号器材）
大島（早稲田大）　3、6、8、12　龍崎（JOCエリートアカデミー／帝京）
松平賢（協和発酵キリン）　8、11、9、-9、10　久住（琉球アスティーダ）

男子シングルス4回戦、強豪選手は順当に明日のランク決定戦へ駒を進めたが、高木和卓が愛知工業大のハードヒッター・堀に敗れた。

宇田とのサウスポー対決になった水谷は、サービス・レシーブと守備力の差を見せつけ、1ゲーム落としたものの余裕を持って勝利。吉村は、クセのあるカットと攻撃を操る英田にも慌てず、あまいサービスはレシーブから一発のバックドライブで打ち抜いた。大島は昨年のフィリピンオープンU-21決勝で不覚をとった龍崎に対し、台上プレーに進境を見せ、フォアの豪快なパワードライブに結びつけた。

●男子シングルス4回戦
上村慶哉（早稲田大）　4ー３　松平健太（JTB）

　12月の世界選手権選考会で優勝し、日本代表に内定していた松平健太が初戦で姿を消した。相手は早稲田大の上村慶哉だ。今年度の全日学選抜で優勝した左腕は、1ゲーム目から松平のボールをものともせず、大きなラリーの力勝負に持ち込んだ。
　特にチキータで積極的に攻めていったのが大きい。松平をフォアに振り、オープニングのバックを的確に攻めていった。
最終ゲームは入り口付近のコートのため風が入るという理由で、コートを中央にチェンジ。多くの観客の目の前のセンターコートで白熱の最終ゲームが行われた。
上村はバックブロックが冴え、松平のフォアを鋭く攻めて、９−６とリード。しかし、上村は焦ったか、ミスを繰り返し、松平が4点連取。9-10と逆王手をかけた。
だが、上村はこの状態で全くビビる様子はなく、さらに両ハンドを振り回していく。10-11と再び松平がマッチポイントを握るも、そこをしのぎ、ネットインにも飛び込む執念を見せる上村。最後は勇猛果敢な攻めが松平を飲み込んだ。

「今でもまだ震えています。松平さんとはフォア打ちもしたことがない。だから絶対に勝てないという先入観がなかったところが良かった。サービスが効いたし、レシーブもうまくいきました。松平さんはアップ系のサービスが多いからチキータでどんどん攻めていけました。うまくこっちから攻め切れたのが勝因です。向こうはストップが多くて、僕から攻めさせてくれたからやりやすかったです。
　チャンスなので次ぎのランク決定戦で勝ちたい。春から後輩になる硴塚なんで、先輩として勝ちたい」（上村）

「リアル全日本ムービー」ページに、動画1本を公開しました。

●男子シングルス4回戦、丹羽孝希vs張本智和、第1ゲーム