9月24日に愛知・スカイホール豊田で行われたアジア競技大会の男子団体決勝で、中国を3−2で破り、実に60年ぶりの優勝を飾った日本男子チーム。
3番を終えて1−2と勝利に王手をかけられながら、4番・張本智和が鉄壁の攻守で世界王者・王楚欽にストレート勝ち。ラストを19歳の松島輝空が締め、中国から歴史的な勝利を挙げた。
1994年に広島で行われた第12回大会から、男女を通じて最長の男子団体8連覇中だった中国。8大会の決勝の相手はすべて韓国で、1994・98年大会決勝では韓国のエース金擇洙に1点を奪われるなど苦戦したものの、2002年大会からの6大会の決勝はすべて3−0で勝利。圧倒的な強さを見せつけてきたが、日本の勢いに呑み込まれた。

男子団体表彰での中国男子チーム。右から王楚欽、林詩棟、温瑞博、尚鵬、黄友政
中国男子チームの王皓監督は、男子団体決勝後の会見で「まずは対戦相手の勝利を祝福したい」とコメント。「今日出場した3人の選手は皆、全力を尽くしてくれた。試合が常に思いどおりに進むとは限らないが、出場した選手もベンチでサポートした選手も、全員が本当によくやってくれた」とチームの選手たちを労(ねぎら)った。

男子団体決勝後に会見に臨んだ中国男子チームの王皓監督。右は王楚欽
男子団体決勝では初出場の19歳・温瑞博を2点起用し、世界ランキング8位の林詩棟を3番に下げた王皓監督。「準決勝の時点で、この起用を検討していた」と語った。準々決勝のタイ戦で16歳のプリーチャヤン(世界ランキング275位)に不覚を取った林詩棟。2点起用で張本・松島と対戦するより、3番に出して確実に1点を取りにいき、あとは王楚欽の2点取りに懸ける。王楚欽頼みのオーダーだったとも言える。
1992・96年五輪女子シングルス2連覇の鄧亜萍は、男子団体決勝直後に抖音(ドウイン)のライブ配信を行い、「王楚欽にとって、今日のオーダーは絶対にミスの許されない、非常に厳しいオーダーだった」と指摘。チームの屋台骨を支えてきたエースを気遣った。王楚欽の北京市チームの先輩である郭炎(2005年世界卓球女子シングルス2位)も、同じく抖音で「王楚欽はエースとして極めて過酷な状況にある。複数の種目で勝利への大きなプレッシャーを一身に背負ってきた」と語っている。

最強軍団の屋台骨をひとりで背負った王楚欽
試合後のミックスゾーンでは多くを語らなかった王楚欽だが、「4番ではもっとうまくプレーできたと思う。より良いプレーをしようとするあまり、少し焦ってしまい、急いで打ってしまったボールがあった」とコメント。「ぼくは常にベストでありたいと願っているけれど、明らかにまだ改善すべき点はある。明日からまた厳しい戦いが待っているので、今はこの結果から立ち直ることのほうが重要だ」と語った。
ラストで松島との「19歳対決」に敗れた温瑞博は、「全力を尽くしましたが、コーチやチームメイトの信頼と期待を裏切ってしまった。今後の個人戦で、失ったものを取り戻したい」と語った。長身から放つフォアのカウンタードライブは切れ味鋭く、ベストに近いプレーを見せていたが、バックハンドの攻守はまだ改善の余地がありそうだ。

決勝で張本と松島に善戦するも、経験の差を見せられた温瑞博
王皓監督は今、チームが世代交代の時期を迎えていることに触れ、「今は若い選手たちに試行錯誤する余地を与え、経験を積ませていくべき時です」と語る。「チームは栄光も挫折もともに分かち合うもの。この経験を糧にして、次は必ず勝利をつかみ取りたい」(王皓監督)。続く個人戦、男子シングルスも6大会連続で中国勢同士の決勝となるなど、圧倒的な優位を保ってきた中国だが、今大会は厳しい戦いが待っている。

ベンチで温瑞博にアドバイスする王皓監督。28年ロサンゼルス五輪に向け、若手をどう鍛えていくのか
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