2015 年3 月、

一気にセールスを伸ばしたラバー

ファスターク G-1

『ファスターク G-1 』

発売日:2010 年7 月
価格:6,000 円(本体価格)
名前の由来:
Fast(速い)+Arc(弧線)+Grip-1st(グリップ力が1 番)

 ともすれば、発売から数年で消え去るような商品も少なくないラバー市場。発売から7 年以上、売上げを落としていないというだけで、十分に「大ヒットラバー」の名にふさわしい商品と言えるだろう。

 ところが2010 年7 月発売の『ファスターク G-1 』(以下『 G-1 』)は、売上げ維持どころか、15 年に入ってから売上げを大きく伸ばしているのだ。

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15 年初頭まで、『 G-1 』はトップ10 の常連であり、常に安定したセールスを維持していたことがわかる。しかし15 年3 月、前月のランク圏外から一気に2 位に躍進した。以来、現在(執筆時17 年10 月)に至るまで、常に4 位以内をキープしている。
特に2016 年4 月から2017 年7 月まで、
16 カ月連続の1 位が圧巻だった。
なぜ、『 G-1 』は売上げ“ 維持” ではなく、売上げ“ を達成したのか。そのセールスを探る前に、まずはラバー自体の性能をおさらいしよう。

ラバー写真

 『 G-1 』はドイツ製のテンション系裏ソフトラバー。その中でもスピン性能に特化した、いわゆる「スピン系テンション」に分類される、現在主流のタイプのラバーだ。

 『ファスターク G-1 』の名前の由来は、「Fast(速い)」+「Arc(弧線)」+「Grip-1st(グリップ力が1 番)」を組み合わせたもの。弧線を描く力強い弾道をイメージさせるネーミングとなっている。

 『 G-1 』は中・上級者をターゲットに設計されている。
「ストロングスポンジ」は硬度47.5 度(ドイツ基準)とややハード。そしてトップシートの粒はやや太めで、スピン性能重視の設計。ある程度のスイングスピードが求められるラバーで、初級者が楽に扱えるタイプではないが、逆に中級以上のスイングスピードがあれば、従来のテンション系以上のドライブの威力を発揮するタイプだ。

 以上、ざっとおさらいしたが、「中・上級者向けのスピン系テンション」をうたうラバーは、実際のところ各社から多数発売されている。そのような中、なぜ『 G-1 』はライバルラバーをリードするセールスを記録したのか。

次回は時系列で追っていくことにする。

第2 回へ続く
文=高部大幹