然なのか、必然なのか。

ファスタークG-1 は
様々な事件が追い風となった

一気に売り上げを伸ばしたファスタークG-1 だが、
そこには様々な背景があった。それは偶然だったのか?

その1
プラスチックボールの導入

2014 年の終盤からボールの材質がプラスチックに変更されて、卓球が大きく変化した。
その多くが「今までよりも回転がかからない」「スピードが出ない」「ラリーが続く」「ボールが硬い」というものだ。
ファスタークG-1 はトップシートもスポンジも硬く、やや扱いにくいラバーであったが、ボールの材質が変わることで、うまい具合にフィットした。
プラスチックボールが硬いので、より硬いラバーでないと威力が出ないという流れとなり、ファスタークG-1 が受け入れられた形だ。
セルロイドボールの時に比べて、ファスタークG-1 の印象が別物という声も聞こえる。ボールの変更も追い風になっている。

プラスチックボールの導入

その2
テナジーの値上げ

2015 年2 月にテナジーがオープンプライスとなり、実質上の値上げとなった。これにより多くの選手がテナジー離れをすることになり、ポストテナジー(テナジーの代替品)への移行が進んだ。
直前の1 月に行われた全日本選手権で石川佳純がファスタークG-1 を使用して優勝。
ユーザーにとってはポストテナジーに変える際の第一候補となっただろう。

テナジーの値上げ

その3
トップ選手たちの長い使用実績

石川佳純、伊藤美誠など、女子トップ選手が長く使い、実績を出していることは大きい。
石川・伊藤のふたりはリオ五輪でも使用し、ファスタークG-1 は、銅メダル(団体)ラバーとなっている。
また、女子トップの使用が注目されがちだが、森薗政崇、時吉佑一、藤本海統など、男子選手も使用していることも説得力がある。
特に森薗は大学4 年間で3 度の全日学優勝を成し遂げ、17 年世界選手権男子複でも銀メダルを獲得。ファスタークG-1 から放たれる彼のチキータは今や代名詞になっている。
選手の使用実績があってこそ、一般ユーザーの使用ラバーの候補にあがり、再評価の対象となる。彼らの言葉は重い。

僕はG-1 でいく。

「僕はG-1 でいく。」

これは広告だが、森薗政崇が決意を見せた言葉だろう。
彼も何度もラバーを変更したが、ファスタークG-1 に戻ってきた。そして世界でメダルを獲った。
選手の実績は説得力がある。

最終回の次回は実際の選手の使用コメントを紹介する。

文=佐藤祐