4 種類の『ヴェンタス』は
好みのスポンジ硬度&
選手のレベルで選べる!

2013年に発売された『ヴェンタス』だが、
正直、ユーザーにあまり知られていない。

ここで改めてヴェンタスの性能と種類について説明しよう。

ヴェンタスシリーズ

ヴェンタスは
スピン系テンション裏ソフトだ

種類はスピード・スピン・ソフトがあり、
それぞれが同一のトップシートに、硬度の違うスポンジを合わせている。

ラバー側面図

共通のトップシートはやや軟らかく、食い込みが良い。
どんなボールでもトップシートがスッと食い込んで、すぐにスポンジに到達するイメージだ。

そして、その食い込みを硬度別のスポンジが活かす。

スポンジの硬さは3段階
ヴェンタス スピード=45度
ヴェンタス スピン=40度
ヴェンタス ソフト=35度

名前にはスピード、スピン、ソフトとついているが、その性能に特化しているからではない。
(『ヴェンタス スピード』がスピンよりもスピードに特化しているわけではない)

単純にスポンジ硬度順と覚えよう。

ではトップシートとスポンジの組み合わせにより、どのような選手に適するのか。

ヴェンタス スピード

45 度のやや硬めのスポンジは、パワーで食い込ませると、より質の高いボールが出る。
自分からガンガン振っていき、威力を出したい選手におすすめだ。
また、硬いスポンジは食い込ませないと飛ばない。それを利用して、ブロックやストップなど、「飛ばしたくない技術」も安定する。攻守一体の一枚だと言えよう。

ヴェンタス スピン

40 度のスポンジはやや軟らかい部類だ。
軽打・中打でも爽快にボールが走り、食い込んだあとのレスポンスが早い。そのため、相手の打球の影響を受けづらく、ドライブはもちろん、パチンと叩くミート打法にも活躍する。
トップシートとスポンジの硬度が近いので、両者の一体感が高いラバーだ。

ヴェンタス ソフト

35 度のスポンジは数あるスピン系テンションの中でもトップクラスの軟らかさだ。
食い込みの良さはもちろん、「当てれば入る」安定感が最大のウリ。強打した時の“ キン! ” という打球音もたまらない
そして何より、重量の軽さもうれしいポイントだろう。
そろそろ高性能のラバーを使いたいと考えている中学生男子は、まずは『ヴェンタス ソフト』を試してもらいたい。



以上がスピン系テンションラバーの『ヴェンタス』シリーズ3枚の説明だが、最後にシリーズの出発点となる『ヴェンタス ベーシック』を紹介しよう。

ヴェンタス ベーシック

ヴェンタスベーシックは「最初のラバー」だ。

今まで紹介してきたヴェンタスはスピン系テンションという部類になり、性能も高い。『ヴェンタス』は扱いやすいラバーだが、卓球を始めたばかりの初心者にはより良いヴェンタスを提案しよう。それが『ベーシック』だ。
ヴェンタスシリーズの中でもベーシックだけは「スピン系テンション」ではない。
「高弾性」に分類された入門者用のラバーだ。

それは例えるならば補助輪付きの自転車だ。
最初から補助輪がない自転車を乗りこなす子どもはいない。
乗り方がわからない。バランスが取れない。左右に倒れないように補助輪が乗り手を支えてくれる。

乗り方を知っていけば補助輪は外れ、自由な走行ができるようになる。
その補助輪役が『ヴェンタス ベーシック』なのだ。

清野由紀コーチ

タクティブ渋谷店で働く清野由紀コーチは語る。
「最近の卓球ブームで卓球を始めたいと来るお客様もいらっしゃいます。子どもであっても、大人であっても、卓球は技術が重要です。打ち方を知らないと、どんなに高性能なラバーでもボールは入ってくれません。
そのため、始めたばかりのお客様には『ヴェンタス ベーシック』を薦めています。基本を身につけるために最適なラバーで、上達の手助けをしてくれます」

初心者はヴェンタスベーシックを使い、ある程度の技術が固まってきたら、スピン系テンションの3 種類に移行しよう。
「ベーシック」が入り口となって基礎を作り、上位3 機種が選手を成長させる。
4 種類のヴェンタスはそれぞれの役割をしっかりと持っているのだ。


次回はプロコーチが気づいたヴェンタスの意外な性能について紹介しよう。

第3 回に続く
文=佐藤祐