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売れるトリプルの秘密「錦ちゃん、教えて」

 
 

「エキストラ」は粘着を落としてミート打法、

スマッシュも打てるようになり

男子のバック面や女子選手に適している

 
●ーー錦ちゃんは、ラバーの回転量はトップシートで作るという考えですか? それともスポンジ?
仲村 もちろん両方です。トップシートとスポンジの研究というのは、他社のラバーを含めて、いろいろ組み合わせて測定をしています。いくら良いトップシートが出来上がってもスポンジがだめなら、回転は作れないし、その逆も同じです。
 
●ーーそれでもスポンジを硬くしたほうが回転がかかると理解していいのかな?
仲村 スポンジの硬さで回転というか、エネルギーが伝わりやすい硬さがあるという意味です。
 
●ーーエネルギーと言っても、それは回転(スピン)とスピードしか要素はないよね。エネルギーという抽象的な表現では納得しないんだよね。
仲村 中国ラバー、イコール全然飛ばないというイメージがあったと思う。つまり、スピードという意味のエネルギーは中国ラバーではロスをしている。もちろん、この場合のエネルギーというのはスピンとスピードの融合ですね。いくら回転だけがかかってもユーザーは受けいれてくれない。スピードだけ出ても受けいれてくれない。
 
●ーー「ダブルエキストラ」はスピードが出ると錦ちゃんは言っているけど、そのスピードはどこで作り出しているの?
仲村 もちろんスポンジだけど、トップシートの粒形状を細く長くした分、反発を上げたんです。
 
●ーー「強粘着だけど、反発はある」という意味?
仲村 表面が強粘着だからボールを落としたら粘着の少ない「エキストラ」のほうが反発は強い。でも、粘着を落としてラバーそのものの反発は「ダブルエキストラ」のほうが高いんです。
 
●ーー「粘着を落として」と言っても、選手は粘着のある状態のラバーでボールを打つわけだから、それは反発が低いと言えるんじゃないの? そこはどう解釈したらいいんだろう。
仲村 上からボールを落とした時の反発というのは、卓球で言えば、フォア打ちとか、ブロックとか、ストップでしか関係はない。ドライブというのは、全く別物です。スピンをかけた時の飛びでは「ダブルエキストラ」の飛びはめちゃくちゃ高いんです。他社の人気ラバーでも、ボールを落とした時の反発は低いけど、スピンをかけた時の飛びは良いというものがあります。
 
●ーーだから回転をかけた時の飛びは「ダブルエキストラ」が良いというのが開発者の言い分だね。
仲村 はい、そうです。
 
●ーー「エキストラ」は粘着を落として女子選手も使えるものと言っていたけど、もともと開発段階で3種類のトリプルを作る予定だったの?
仲村 いえ、最初は「ダブルエキストラ」1本でした。試打を重ねていく中で、女子の選手だとスマッシュを打ちたいとか、ストップなどの台上で、もう少し飛んでほしいという要望もあったので、「エキストラ」では粘着を25%落として、粒も(「ダブルエキストラ」よりは)ちょっと太くして前陣で戦える、粘着ラバーの欠点であるミート打ち、スマッシュを可能にしました。
途中からは強粘着のハードヒッターと、前陣でのスマッシュという2本柱になりました。
 
●ーー「エキストラ」のスポンジ硬度は?
仲村 55度です。
 
●ーースポンジはただ硬度を落としただけ?
仲村 配合も違いますね。スポンジは「ダブルエキストラ」のように高密度ではないですね。軽くなっています。女子選手を意識しています。
 
●ーー回転量も「ダブルエキストラ」よりも少なく、スピードも落ちるのかな。
仲村 通常の反発は「ダブルエキストラ」よりも強いけど、打球した時の回転量やスピードは「ダブルエキストラ」よりも落ちます。その分、扱いやすくなっています。
 
●ーー「エキストラ」だと男子は物足りなさを感じるのかな?
仲村 それはあると思います。ただ、男子でもバック面に「エキストラ」を使えます。球質も「ダブルエキストラ」よりも軽めになるけど、すべての技術がやりやすいのが「エキストラ」。
 
●ーー「ダブルエキストラ」と「エキストラ」で値段を変えたのはなぜだろう?
仲村 「ダブルエキストラ」は、本当に「トップ・オブ・トップ」のために作ったラバーで、「エキストラ」は粘着を落として扱いやすくなり、レディースを含め、たくさんの人に使ってもらえるラバーを使ってもらいたかった。同じ値段にすると、「エキストラ」もトップ選手用のラバーと思われるのは嫌でした。
 
●ーーこの2種類のラバーで良かったのに、なぜ「レギュラー」もだしたんだろう?
仲村 これは営業と卓球ショップに配慮したものです。「TSPのトリプルは3千円台の中国ラバーだったから良かったんだよ」という声があったので、「レギュラー」のコンセプトは本体価格を3千円台のラバーを作ることに絞りました。本体は3800円です。開発コストを下げました。これはTSPトリプルと同じ設計で作っているので、スポンジを高反発のものに変えていますが、後継ラバーです。
前のTSPトリプルでは、「トリプルスピン」がダントツに売れていたので、スポンジを高反発に変えて、後は「トリプルスピン」を継承したラバーです。トップシートも強粘着ですが、ゴムの配合は違います。TSPトリプルを使っていた人にはこの「レギュラー」が適しています。
 
●ーー「レギュラー」は、初めて中国ラバー、粘着ラバーを使う人へのエントリー版かな?
仲村 そうですね。初・中級者には扱いやすいラバーです。実はこれらの新しいトリプルシリーズは、研究開発した中国人の遺作なんです。元中国ナショナルチームにいた人で、その人が今回のトリプルというラバーの開発をしてくれました。
 
●ーー新しいトリプルは結構売れていると聞いているけど?
仲村 新製品があまり売れなくなっている時代に、初動はいいですね。評判もいいです。うちの契約選手も全日本選手権で使うかもしれません。
 
●ーー発売時期も良かった?
仲村 他社が何も出さない時期でした。ラッキーでした。
 
●ーー実力と運を持っているラバー(笑)、かもしれないね。
仲村 はい。頑張って売ります!
 
 

<丹羽孝希・吉村和弘、今枝一郎の試打感想は次のページ>

 

回転力にスピードを加えた両刃の剣

TRIPLE Extra トリプル エキストラ

5,280円(税込)

[TRIPLE Double Extra]よりもやや粘着を落としたトップシートにして、スピード感を上げたのが[TRIPLE Extra]。そのために粒形状も変えている。
ドライブの弧線の強さは[Double Extra]のほうがあるが、[Extra]は強烈な回転とスピードを両立させた中国製強粘着ラバーになった。回転を加えた速攻プレーを目指すプレーヤーに最適だ。
※スポンジ硬度:55.0±3
 

使いやすい中国ラバーを目指して

TRIPLE Regular トリプル レギュラー

4,180円(税込)

「中国製ラバーは使いにくい」というイメージを持っている選手がいる。しかし、軟らかい42.5度のスポンジを搭載し、しっかりとボールを食い込ませながらも、強粘着のトップシートで回転を作り出すのがこの[TRIPLE Regular]。
回転がかけやすいことはボールが安定することにつながる。初めて中国ラバーを使う選手には最適のラバーだ。
※スポンジ硬度:42.5±3