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インタビュー

「試合ができる!スウェーデンに行って良かった。楽しくてしょうがない」。沖縄の星、上江洲が叫ぶ!

上江洲光志

スウェーデン1部リーグ「ソーダハム」所属

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うえず・こうじ
1995年11月7日生まれ、沖縄県出身。愛工大名電中、名電高、愛知工業大を卒業し、東京アートに入社。3月末に終わったTリーグ(2022〜23年)では琉球アスティーダに所属。同時にスウェーデン1部リーグ「ソーダハム」でプレー。スティガ契約選手

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お金のためではなく、ただ自分の熱い情熱のままに海を渡った上江洲光志(うえず・こうじ)。「渡航費と宿泊は大丈夫だけど、試合でのギャラはない」と言われ、周りの仲間には反対されたけれども、上江洲はスウェーデンに向かった。
まるで中学生になる時に沖縄から愛知へ向かったように、28歳の沖縄男はスウェーデンに飛んだ。
上江洲は沖縄で生まれ、名門の愛工大名電高、愛工大を経て、東京アートに入社。しかし、強者ばかりのチームで出番はなかった上江洲。昨年の卓球部の休部にともない、Tリーグの琉球アスティーダにも所属し、お世話になった。同時にひとつの想いに駆られていた。「思い切り試合に出たい」。
そして選んだのはスウェーデンの「ソーダハム」だった。試合をするのが楽しくて仕方ないと上江洲は言う。
スウェーデンエリート(1部)リーグで奮闘する上江洲光志のインタビューを掲載しよう。
インタビュー=今野昇

ソーダハムの練習場での上江洲光志

 

スウェーデンリーグでプレーする上江洲

 

やりがいを感じるし、
モチベーションが上がりますね

 

ースウェーデンに向かったのはいつくらいだったのかな。
上江洲 2月16日に日本を出発して、スウェーデンに来て、5試合をやり、シングルス6勝4敗、ダブルスは1勝0敗。ぼくが来てからチームも5連勝してます。モーレゴード(世界6位)のいる「エスロブ」にも4-3で勝ちました。モーレゴードはめちゃくちゃ強くて2点取られましたが、ぼくはシングルス2回(1勝1敗)と最後のダブルスにも出て、モーレゴードとジャービス(イングランド)のダブルスに勝ちました。ぼくがペアを組んだのはチームのエースのビクトリアです。
プレーオフの準決勝は「リコルド」と対戦し、ホーム&アウェイで2試合やります。もうひとつの準決勝は「エスロブ」と「スポルバーゲン」とやります。

ースウェーデンリーグはどうですか?
上江洲 強い選手もいますが、同じくらいのレベルの選手がたくさんいるので、その中でやれることにやりがいを感じるし、モチベーションが上がりますね。

ースウェーデンリーグの試合方式を教えてください。
上江洲 シングルス6試合の最後はダブルスが1試合で、シングルスは3人で2試合ずつでもいいし、4人でやることもできます。ダブルスは3ゲームスマッチで誰が組んでもOK。だからぼくもシングルスは2試合ずつやっています。

●ースウェーデンはあまり練習をやらないというイメージがあるけど。
上江洲 確かにぼくも「スウェーデンは練習をあまりやらない」というイメージで来たんですけど、意外とやります。エリートリーグは8チームですけど、その中で練習拠点を持っているのは4チームだけです。ぼくのいる「ソーダハム」は練習拠点のひとつで、今、元スウェーデン代表の43歳のルンクイストやヨン・パーソン(スウェーデン代表)が一緒に練習しています。フォン・シェーレ(元世界ダブルスチャンピオン)がコーチで、監督がピーター・サルツ(元メイスのコーチ)です。8人から10人くらいで練習するし、環境は良いです。
まず朝の9時から2時間、休憩5分間でやります。あとはクールダウンして、次の練習は4時半から2時間やります。昼は空いていますが、ぼくにとってはこれがいいんですよ。

ー昼間は何してるんだろう?
上江洲 ランチをして、コーヒー飲んで、自分の部屋でゆっくりしながら映画やYouTubeを見ています。ボール打っているのは1日4時間くらいですけど集中してやります。夕方の練習が終わると、子どもたちが練習に来るのでバトンタッチ。早めに来て練習を見ている子もいます。
ぼくよりも明らかに強くはない選手も練習をしていて、その練習で自信をつけることもできるので、バランスがいいんです。周りがみんな強かった東京アートではなかった環境です。

ー普段はどんな練習をしてますか?
上江洲 しばりがなくて自由にはやれるんですが、コーチ陣が7割ほどの練習メニューを決めるんです。そこが東京アートとは違う。アートでは練習はほぼ自分で決めていました。あと、ぼくがマジでびっくりしたのは、定期的に1ゲームのゲーム練習をやるんだけど、バックに上回転ロングサービスを出して、それをレシーバーはバックカットをしてからフリーにやるゲーム練習。感覚をつかむ練習と言われています。それ以外では5ゲームスマッチでゲーム練習しないで、基本は7ゲームスマッチでゲーム練習をやるのもびっくりですね。

ー「ソーダハム」は名門クラブだけど、話を聞いていると練習環境が良さそう。でも試合の時の移動は大変でしょ?
上江洲 この間も車に8時間乗ってアウェイの試合に行きました。運転はしないので、乗っているだけなので楽ですよ。(日本からヨーロッパに行った選手は)みんなこういう車移動を経験しているんだなと思っています。

ーどこに住んでいるんだろう?
上江洲 練習場の上のゲストハウスに住んでいます。シャワー、キッチン、洗濯機もあります。食事は月曜日から金曜日までのランチはクラブのスポンサーのレストランに行って、無料で食べられます。ただ、朝と夜は自分で作ります。歩いて15分くらいの近くのスーパーで買い出ししてます。ぼくの得意メニューはパスタのカルボナーラ。あとはキャベツと鶏肉の炒め物とか作っています。
スウェーデンでは週末にチームメイトが家に呼んでくれて、一緒に食事をする習慣があります。日本にはあまりない習慣ですね。

●ー辛(つら)いことは何かありますか? 
上江洲 いや、ストレスはないですね。英語もだいぶうまくなった気がします(笑)。彼らが言っていることは大体わかります。

ーなんか君のYouTubeを見ると、「Why?」「Wao」とかひと言入れているね(笑)。
上江洲 スウェーデンの人たちが意外とぼくのYouTubeを見ていて、「日本語だとわからないよ」と言われたので英語を入れるようにしています。

ーソーダハムって首都のストックホルムからどのくらい?
上江洲 北のほうに車で2時間半か3時間くらいです。緯度は北海道よりも北にある。2月は寒かったですね。でもクラブハウスは温かいです。窓も厚いし、床も温かい。

 

 

チキンとキャベツの炒めもの。夜は自炊で豪快に食べる

 

上江洲の得意ワザ、カルボナーラ

 

スウェーデン代表のヨン・パーソンは練習仲間

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