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売れるトリプルの秘密「錦ちゃん、教えて」

<タイアップ記事>
 

元五輪代表、VICTAS開発室の仲村錦治郎さん。愛称「キンちゃん」

錦ちゃん! 盛ってないよね!?

売れているトリプルの開発ストーリーを教えてください

コロナ禍であっても、大会があまりない時期であっても、巷(ちまた)で話題になっているラバーがVICTASが12月に発売した「トリプル」。「ダブルエキストラ」「エキストラ」「レギュラー」の3種類を一気に市場にリリース。
2月の正式なブランド統合を前に、このラバーがVICTASを元気付けることが可能なのか。
今回は、開発担当者の錦(きん)ちゃんこと、仲村錦治郎さんに開発秘話を聞いてみた。新製品が出ると、必ず編集部を訪れ、新製品の説明で、煙に巻く(笑)、錦ちゃんに卓球王国発行人の今野がざっくばらんに質問をぶつけてみた。
ちなみに錦ちゃんこと、仲村錦治郎さんは、高校生の時に1992年バルセロナ五輪の日本代表になった天才的プレーヤー。しかし、天才すぎて全日本チャンピオンにはなれなかった人。
その後、社会人選手として活躍するも、卓球界から離れ大阪でサラリーマンをやっている時に、現在VICTASの社長である松下浩二さんにスカウトされ、用具開発担当者になった。
卓球王国では「神のサービス」「神のレシーブ」「神のシステム」というDVDをヒットさせた人でもある。
聞き手=今野昇(卓球王国発行人)
 

7年間かけて、トップ選手が使える中国ラバーを開発した

●ーーVICTASとしては初の中国の粘着ラバーの発売ですね。
仲村 ぼくはVICTASに入って12年で、粘着ラバーは7年前から開発しています。TSPの粘着ラバーは、粘着力が強かったけど、トップ選手に使用してもらえなかった。そこでトップ選手も使用できる粘着ラバーを開発してきました。7年前だと、女子のトップ選手が粘着を使っていました。でもこの2、3年で急ピッチで開発を進めたんですよ。それは男子のトップ選手も中国ラバーを使い始めたからです。
「ダブルエキストラ」はブルースポンジで、日本の男子のトップ選手が使えるラバーが開発のコンセプトです。中国ラバーは回転量や回転の変化が持ち味ですが、日本選手が使うとスピードが出ないとか飛ばないという意見もありました。粒形状、ゴムの配合、スポンジをいろいろな組み合わせで作ったのがこの「ダブルエキストラ」です。粘着だけどスピードは出ます。
TSPの時の「トリプルは」、シートは中国製、スポンジは日本製で作っていましたが「メイド・イン・チャイナ」で全部仕上げたいと思っていました。研究・開発をしていく中で、強粘着、回転というのは満足できたけど、問題は「反発力と飛び」でした。中国ラバーの特徴は粒が太くて短いシートですが、そうすると打つと硬い感覚になる。
そこで、この「ダブルエキストラ」は強粘着でありながら、粒を少し細く長くすることで日本人の力でもスピードを出せるようにした。それに粒形状を変えたことでやや軽めになりました。
 
●ーースポンジ硬度は?
仲村 57.5度です。
 
●ーーXIOMの「オメガ7チャイナ影」の60度に匹敵する硬さですね。
仲村 相当に硬いですね。中国ラバー独特のボールの重さを出せます。
 
●ーーよくボールが軽いとか重いと言うけど、結局それは回転量ということですよね。ボールの重さは2.7グラムに変わりはないわけだから。回転量が多いから重いボール、少ないから軽いボールと感じるだけのことですね。
仲村 そうです。回転量です。回転量というは、スポンジの硬さにめちゃくちゃ影響を受けるんですよ。スポンジが軟らかいと回転量は増えない。あとはスイングスピードと比例します。威力は「速さ✕重さ」ですから。だから硬いスポンジのほうが回転がかかります。
 
●ーーでも、トップシートも硬かったら、逆に回転はかからないでしょ。それでスポンジも硬かったら回転もかからず、飛ばないのではないかな。
仲村 いや、それでも回転はかかります。中国の「キョウヒョウ」はそれです。
 
●ーーさっき粒を細くしたのは、ゴムの引きつれを大きくして回転を増やそうとしたのかなと思ったけど。スポンジとの関係性はよくわからない。
仲村 ゴムの引きつれもそうですけど、(粒を変えることで)弾力を見たかったんです。普通の中国製ラバーは粒が太く短いけど、「ダブルエキストラ」はやや長めなので、粒が倒れて反発に優れています。逆に「エキストラ」は粒が低く大きいので、これで強粘着だと飛ばないので、粘着を25%落としています。
 
●ーー回転量は「ダブルエキストラ」と「エキストラ」だとどっちが多いのかな?
仲村 ダブルエキストラのほうが上で、表面の強い粘着が回転を作っています。
 
●ーーラバー表面の粘着は回転量に影響はないと言う人もいます。粘着=回転量と錯覚する人もいます。
仲村 数値では違います。粘着のほうが回転の数値は上がります。
 
●ーー以前、他メーカーから、表面がベチャベチャの粘着ラバーと、高弾性ラバーで比べたら、高弾性ラバーの摩擦力が高かったと聞いたことがある。イメージ的に粘着のほうが回転がかかる。それはイメージ、妄想ではないですか?
仲村 それは打ち方の問題もあります。たとえば、ぼくがトリプルでを打って、回転量が1とすると、王会元さん(元中国代表)が打つと、1.5倍くらい回転がかかるんですよ。日本製ラバー、ドイツ製ラバーよりもはるかに回転がかかるんですね。ボールにラケットをぶつけるような打ち方ができたり、乗せるようなループドライブをする時にはこのトリプルのほうがはるかに回転がかかります。その代わり、日本製、ドイツ製のラバーは回転とスピードのバランスが非常に良いんですよ。
中国ラバーの欠点は、回転とスピードのバランスが日本選手やヨーロッパ選手に合っていないこと。そこを「ダブルエキストラ」は粒形状を変えることで、ボールをラバーに食い込ませ、日本やヨーロッパの選手に合わせました。
 
●ーートップシートの厚さは同じ?
仲村 変えてないです。
 
●ーートップシートの厚さが同じだとすれば粒を長くして、シート部分を少し薄くしているんですよね。
仲村 若干ですけど、薄くなっています。0コンマ何ミリ分ですけど。密度も日本製よりは高いかもしれないけど、従来の中国製よりは粒の配置の密度はないです。
 

強烈な回転とスピードで威力あふれるクセ球

TRIPLE Double Extra トリプル ダブルエキストラ

5,720円(税込)

トップシートの強い粘着力だけでは回転は十分ではない。インパクトの瞬間、しっかりとラバーを引きつらせ、ボールに強烈な回転を与える。トップ選手が求めるのは、プラスチックボールによって失われた回転と同時に、ボールを弾き飛ばす力。
[TRIPLE Double Extra]は57.5度という高密度のスポンジによって、ボールを弾き飛ばす。
※スポンジ硬度:57.5±3