1月1日に北陸地方を襲った「能登半島地震」。石川県では今も多くの被災者が苦しみ、支援を待っている。
被災地となった石川県七尾市で生まれ育った松平健太選手(ファースト/金沢ポート)。実家は七尾市にある卓球ショップ「松平スポーツ」。Tリーグでは、今シーズンから地元・石川県を本拠地とする「金沢ポート」でプレーするが、全日本選手権を前に、その被災地への思いを語ってくれた。
●ー健太くんの実家は、被災地である石川県七尾市にありますね。
松平健太(以下健太) ぼくの実家は石川県七尾市で、両親が営んでいる松平スポーツも海から1.2kmくらいのところにあります。また母の実家は輪島市で、今回火災のあった朝市の近くで、家は倒壊しているようです。ぼくが小さい頃はよく遊びに行っていた場所で、親戚の方は避難所にいます。
七尾市にある母方のおばさんの家も部分的に倒壊しているようですが、父方のおばさんの家は大丈夫です。地震が来た時には実家には両親と兄(長男・敏史=さとし)がいて、家は倒壊することはなかったけれど、地震発生直後、親戚を含めた3家族は避難所にいました。お店(松平スポーツ)と実家の家の中は相当ダメージを受けたり、家の庭の灯籠が倒れたりしているようです。今は家族は実家のほうに戻っていますが、断水状態です。
元旦の夕方4時、ぼくは家で昼寝(日常的な習慣です)をしていましたが、LINEの着信音がものすごい勢いで鳴り、見たら家族のグループLINE(ライン)が30件くらいたまっていました。知り合いからも多くのメッセージが届いていて驚きました。すぐにテレビをつけたら地震速報をやっていて、大津波警報が出ていたのでとても心配しました。その日は夜中までテレビでの中継を見ていました。
●ー翌日だったり、日にちが経ってから被害の大きさが明らかになってきました。
健太 練習は2日から始めたのですが、練習中も相手の了解を得て、スマホを見させてくれと言いました。それに気持ちとしてもSNSでも地震以外のことは書けないし、落ち着かない日が続きました。今も募金活動をしていますが、少しでも貢献できるように考えています。現時点でもたくさんの募金が集まっています。この場を借りて感謝したいです。ありがとうございます。
●ーまだ余震が続いています。12年前に東日本大震災も経験し、記憶にありますね。
健太 あの時には復興イベントができたのは、1年半とか2年後くらいで、何回かやらせてもらったと記憶しています。すぐにはできなかったと思います。今回はどうなるかわかりませんが、自分の地元だし、今は32歳になり、考え方も変わっています。
七尾市の情報はテレビでは当初あまりなくて、SNSのX(旧:ツイッター)で情報を見ていました。ただ、テレビに出てくる被害の大きかった輪島市の朝市などは小さい頃にいつも行っていた場所だったし、実家に帰省し、おじいちゃん、おばあちゃんの墓参りで帰った時にいつも行くところでしたから辛かったです。
●ーこれから石川県出身者として、金沢ポートの一員として、卓球人として、落ち着いた後に何ができるのかを考えてしまいますね。
健太 今シーズンから金沢ポートとして活動していて、その一員として今回の「金沢ポート基金」の活動にも関わっています。また、両親も兄も七尾市にいるので家族として協力していきます。活動は単発で終わらせるのではなく、継続的にやっていきたいです。ひとりの卓球選手という立場であれば、近い将来チャリティー活動でも単発でやるのは良いと思うけれども、ぼくが生まれ育った場所が大きな災害を受け、また松平スポーツも被害を受けているので、最大限、継続的なサポートをしていきたいと考えています。
今回の基金は、たまたまぼく自身が金沢ポートの選手だったから募金活動に関わることができたという意味では、とても大きなことでした。ぼくたちは卓球選手としてイベントや試合で勇気づける立場ですが、契約スポンサーであるティバーをとおして卓球台や用具でも全面的に協力していこうと思います。
もちろん地元の一般の人に対しても、水や日用品も個人としては届けたいと思っていましたし、他の人と一緒に活動をするのであれば卓球イベントなどで協力していきたいです。
●ー東日本震災の時も、フランスの「コニヨール」という卓球メーカーが被災地の避難所に卓球台を100台近く贈ったこともありました。
健太 それはいいですね。避難所にいると運動も思うようにできないでしょうから、場所を取らない卓球は体を動かせるし、良いと思います。少し落ち着いてきたら、卓球用品を送ったり、卓球イベントなどを継続的にやりたいですね。
まだわかってないことが多くあるし、これからも余震が続く可能性もあるので、いつになるかわかりませんが、落ち着いた段階でそういうイベント活動はしていきたいです。引き続き全国の卓球愛好者の方には「金沢ポート基金」へのご協力をお願いいたします。
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2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」は、現在も懸命な被災者への支援活動が続けられている。石川県金沢市を本拠地とする「金沢ポート」を運営する金沢ポート株式会社は、被災された方々への被災支援募金「金沢ポート基金」の受付を行っている。寄付金は全額が緊急救援活動や被災地復旧支援として、被災者や被災地のために活用される。
【金沢ポート基金】被災支援募金
https://www.kanazawa-port.jp/news/20240105
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