ロシアのウクライナ侵攻は尊い人命を奪うと同時に、世界経済に大きな打撃を与えている。
卓球の世界も例外ではない。ヨーロッパチャンピオンズリーグに参戦していたロシアのオレンブルク、UMMCは失格処分となり、ITTF(国際卓球連盟)は主催大会にロシアとベラルーシの選手の参戦を認めない決定を下した。
日本の卓球愛好者も他人事ではない。
これから卓球用品が値上げする可能性が出てきた。ひとつは生産現場で、材料費がジワジワと高騰しつつある。卓球のラバーのゴム、薬品、ラケットの木材、そして工場のエネルギーコストも上がる気配だ。加えて、国内生産の商品でも最低で数%のコスト高が予想される中で、輸出入に関する輸送コストが高騰している。
材料費輸送費の高騰に加え、円安もドイツやスウェーデン、中国からの輸入に頼っている卓球メーカーにとっては大きな打撃だ。ドイツや中国で作っているラバー、ヨーロッパや中国で生産し、仕入れているラケットはほとんどが飛行機を使った空輸だ。原油高の影響、そして今までシベリア上空を飛んでいた飛行機は南回りや別ルートで日本に入ってきて、輸送コストがいきなり20倍まで上がったというメーカー情報もある。加えて中国からの輸入コストも上がっている。それにラバーやラケットのパッケージも値上げしている。
また、輸入品はほとんどがドル建て、ユーロ建てで取引されている。1年前は1ドル110円だったのが現在(3月28日)123円、1ユーロは1年前118円だったのが、135円まで上がっている。ラバー1枚をかりに15ユーロで仕入れるとしたら1年前は1770円だったのに、現在は2025円での仕入れとなる。同じ定価なら、単純に仕入れが255円上がったことになる。
全世界に輸出するタマス(バタフライ)のラバー、ラケットも例外ではない。円安は輸出にとってはプラスだが、輸送コスト高騰のあおりを受けて現地の代理店は苦しむことになるだろう。
しかし、卓球メーカーは春のカタログを出したばかりで、すぐの値上げは難しそうだ。この状況で利益が小さくなっていくがどこまで我慢できるだろう。定価据え置きで出荷価格を上げることもあり得る。もし出荷価格が上がれば、通常、店頭で20%前後か、ネットでそれ以上の値下げをしている割引が小さくなることも予想される。
売っても売っても利益が取れない仕組みではなく、定価と実勢価格の大きな二重価格が少し幅を狭めるのか。それを実行しなければ、メーカーも小売店も首を絞めることになってしまう。
ここは卓球メーカー、問屋、小売店、それぞれが利益を確保し、卓球愛好者の財布にも影響を与えるが、しばらくは我慢するしかなく、商品の適正価格を見ながらの買い物がしばらく続きそうだ。春からは全国で大会がコロナ前のように開催されることを期待しているが、簡単にリベンジ消費とはいかないかもしれない。
今年、卓球市場も正念場を迎えることになるだろう。
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