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インタビュー

元全日本3位の永尾尭子。自らの個性を見つめ直し、新たなステージへ

168cmの長身から、強烈な回転量のフォアドライブを放つ永尾尭子。まさに「左の大砲」だ。

神奈川・横浜隼人高時代は、インターハイのシングルスは3年時のベスト16が最高成績。その後、実業団のアスモ(現:デンソー)に入社後に急成長し、2017年1月の全日本選手権で平田有貴とのペアで女子ダブルス優勝。翌18年1月の全日本選手権では、シングルス3位に躍進した。

この時、22歳。速さや変化を志向する選手が多い日本女子にあって、待望久しいパワーヒッターの登場に、期待を抱いた卓球ファンも多かったはずだ。

しかし、その後の2年間はやや伸び悩んだ感がある。伊藤美誠・平野美宇・早田ひなという「黄金世代」が一気に台頭してきたことで、5歳年上の永尾は「ベテラン」の域に入りつつあった。

そんな永尾にとって昨年、2020年は変化の1年だった。2020年4月、日本リーグ(実業団)女子1部のデンソーからサンリツに移籍し、さらにTリーグの日本ペイントマレッツと契約。Tリーグではシャン・シャオナ(ドイツ)と組んだダブルスで2連勝の好スタートを切り、シングルスのデビュー戦ではいきなり世界ランキング25位の陳思羽(チャイニーズタイペイ)を破った。

永尾尭子の何が変わろうとしているのか。新しい環境でのプレーを選んだ心境を聞いた。

 

いつもテレビとかYouTubeで画面越しに見ているような選手だったけど、
陳思羽選手と実際に試合をしてみて、
向こうも緊張しているというのが伝わってきた。
戦術の組み立てを試合の中で考えることができた。

 

●2020年は変化の1年になりましたね。この1年の状況を聞かせてください。

22020年4月に日本リーグのデンソーからサンリツに移籍しました。
デンソーでは6年プレーさせていただいて、実力を伸ばすことができたし、成績も少しずつ出せるようになりました。そのうえで、また違う舞台でもプレーしてみたい、環境を少し変えたいという思いもありました。「まだまだいけるんじゃないか」という思いが、心のどこかにあったんです。

そしてTリーグでプレーできれば、海外選手や日本のトップ選手とプレーできるし、自分にとってすごく刺激になると思いました。サンリツに移籍する時に森田有城監督ともいろいろ話をして、「もし出られるなら、レンタル選手としてぜひTリーグにも出たい」という話をさせてもらいました。

 

●デビューはTリーグよりも日本リーグのほうが先でしたね。

熊本での日本リーグ後期に出て、それが終わってすぐTリーグという感じでした。日本リーグでは緊張したり、意識しすぎた部分はなかったんですけど、「自分が抜けた後のチーム(デンソー)はどうなってしまうのか」とか、考えないようにしていてもそういう思いがあったのかもしれません。でもサンリツもなかなか勝てなかったので、「これではいけない」と気持ちを切り替えました。後期は5位でファイナル4には出場できませんでしたが、後半は良いプレーができました。

 

●Tリーグの日本ペイントマレッツでは、三原孝博監督は左腕の永尾さんにダブルスでの活躍を期待していると語っていました。中国語が話せるので、中国系の選手ともペアが組める。デビュー戦はペン表のシャン・シャオナ(ドイツ)とのペアで、2連勝と良いスタートを切りました。

実は初めて試合に出るその日にシャンさんと初めて練習して、会って話したのも初めてでした。私も初戦、シャンさんも初戦で、しかもダブルスにはトップで出なければいけない。最初は自分がこういう場面でどれくらいやれるか、不安もありました。

 

Tリーグでのデビュー戦、シャン・シャオナとのダブルスで勝利を挙げた

 

●シングルスのデビュー戦は世界ランキング25位の陳思羽(チャイニーズタイペイ/日本生命レッドエルフ)に勝った。

いつもテレビとかYouTubeで画面越しに見ているような選手だったので、「戦うだけで精一杯かな」と思っていたんですけど、実際にやってみて、向こうも緊張しているというのが伝わってきた。私ももちろん緊張したけど、自分より上のレベルの選手とやるわけだから、ちゃんと頭も使わないといけないと思っていたし、戦術の組み立てを試合の中でも考えることができた。相手の狙いや、どこがやりにくいか。それが見えたのが一番の勝因だと思います。

 

●永尾さんは体が大きいし、ポーカーフェイスで試合中は自信満々に見える。実際はどうなんでしょう?

「緊張しないの?」とよく言われるんですけど、実はめちゃくちゃ緊張してます(笑)。それでも頭を使うことで、最後まで冷静にプレーできたのかなと思います。

 

●陳思羽戦の勝利の瞬間はどうでしたか?

自分でもビックリしたんですけど、それだけ高いレベルの中でプレーしている。自分は「負けて当たり前」と感じるかもしれないけど、周りの人から見たら「勝って当たり前」と感じるのかもしれない。とりあえず、チームのために1点を取ることができてホッとしたというのが大きかったです。

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