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今野の眼

【欧州・日本プロ卓球事情1】56年の歴史を持つドイツ・ブンデスリーガと新鋭のTリーグ。プロ卓球選手の現実とは?

来季は2チーム増え、日本でも
プロ選手が増えていく。日欧のギャラの違いは
年俸制のドイツと出場給のTリーグ

Tリーグでは来季の男子では静岡市と金沢市で新しいチームがTリーグに参戦することが発表された。
いきなり2チーム増えることで、単純に言えば、10人ほどのプロ選手が必要になる。Tリーグによって卓球のプロ選手、プロコーチ、プロのスタッフが増えることは喜ばしいことだ。プロを目指す子どもたちも出てきて、まわりのコーチやスタッフもプロフェッショナルが増えることで日本卓球のレベルが上がっていくことを期待したい。
日本全国にいわゆる卓球の指導を生業(なりわい)にする「プロコーチ」は年々増えている。卓球場があるところにはプロコーチがいるし、自前の卓球場がなくても卓球ができる場所を探しながら指導をしてお金を稼ぐ人たちはいるだろう。それがフルタイムの仕事の人もいれば、パートタイムの人もいる。
プロの卓球コーチの数は全く把握できない。全国に数百人はいるのか・・・。

ブンデスリーガのプロ選手事情とはどうなのだろう。
世界最高峰のプロリーグはドイツの「ブンデスリーガ」だ。サッカーに遅れること3年、1966年に最初のシーズンを迎えているので、すでに56年の歴史を持っている。1980年代後半から卓球のブンデスリーガ(1部リーグ)にはドイツ外のスウェーデン、中国などの選手も入り、レベルとしても世界最高峰のリーグだった。当時、試合は6人構成で、強い選手同士が当たる競技ルールだったが、その後、4人構成、現在は3人構成と出場できる選手の数も絞られてきている。
1980年代まではチームの外国籍選手(ドイツ以外)はひとりまでが出場できたが、1990年のサッカーの「ボスマン裁判」によって、EU(欧州連合)内の選手の就労の制限をしないことになった。のちにすべてのスポーツでEUのみならず、ヨーロッパ全体の選手の就労を規制しないようになったために、ドイツのプロリーグであってもドイツ選手のいないチームがいくつか出現している。日本などのアジア、アフリカ、アメリカの選手は「外国人」扱いとなる。

昨シーズンまではロシアの「オレンブルク」に所属したオフチャロフ(ドイツ)。ヨーロッパでもっとも稼ぐ選手と言われている。今季は「ノイ・ウルム」(ドイツ)に所属  (写真は2021年東京五輪 PHOTO レミー・グロス)

 

ドイツリーグの2022〜23年のシーズンは男子1部(TTBL)が12チーム、女子1部は9チームで、3部までブンデスリーガのくくりでで、その下の4部から地域リーグ(Regional Liga)という名称になる。
2部は10チーム、3部は北部と南部に分かれそれぞれ10チーム、4部は東西南北と4つに分かれそれぞれ10チーム、というようにピラミッド型になり、地域によっては15部リーグまである。ドイツリーグでプレイした選手には全員ランキングポイントがつき、対戦相手とその結果に応じて、試合ごとにランキングポイント(レーティング)が上下する。

ブンデスリーガ1部の選手でもさほどリッチではない。上位の選手でも数百万円から1千万円程度の年俸だ。年俸1千万円を超える選手は数少ない。男子のTTBL(1部リーグ)は12チームで、(もし2部から昇格希望があれば)下の2チームが自動的に入れ替え。12チームということは、年間リーグマッチ22試合(12チームによるホーム&アウェイ)で上位4チームはプレーオフで準決勝と決勝を行う。それにドイツカップ(トーナメント)と、ヨーロッパの各国から上位クラブが試合をする「ヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)」がある。ECLに出ないチームの中で、ETTU(ヨーロッパ卓球連合)カップに参戦するクラブもある。

1チームで主に試合に出るのは3〜5人なので、ブンデスリーガ1部リーグには男子で50〜60人程度のプロフェッショナルがいることになる。基本は年俸制と勝利給(インセンティブ)。
ブンデスリーガ1部であれば、選手への年俸などの支払いを2000〜6000万円という予算を組んで、その中でのやりくりなので、トップの1、2人と高額年俸の契約を結べば、3〜5番手は年俸を低くするしかない。歴史とレベルの高さのあるドイツリーグでもそれが実態で、サッカーなどと比べれば雲泥の差となる。プロ選手たちはそれに卓球メーカーとの契約や個人スポンサーを付け、シーズンオフ(6〜7月)にイベントなどのアルバイトをして生活費を稼いでいる。

日本のTリーグの男子で言えば、来季は6チームで、4回の総当たりリーグで20試合となるだろうか。Tリーグの男子はブンデスリーガよりもチームの選手獲得予算は大きいように思える。しかも、年俸制でお金をもらう選手は少なく、出場給+勝利給となる。仮に1試合出場給が30万円とすれば、最大で20試合となるので、全試合に出ても600万円となる(出場給50万円ならば全試合で1千万円)。それにヨーロッパ選手同様、卓球メーカーや個人スポンサーでの収入となる。しかし、試合の出場機会がなければお金は稼げない仕組みになっている。
(続く)

ドイツ卓球界では「高給取り」と言われているフランチスカ(ドイツ)は「ザールブリュッケン」に所属 (写真は2021年東京五輪 PHOTO レミー・グロス)

 

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