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インタビュー

神巧也、ブンデス初勝利「自分で選んだドイツだし、思っていたより大変ですけど、その分、勝てた時にめちゃくちゃうれしい」

神巧也

「ザールブリュッケン」ブンデスリーガ1部

 

「これがプロなんだな」と思います。

1試合1試合必死に戦うのみです。

 

昨シーズン、卓球のTリーグで出番が少なく、新天地ドイツへ向かった選手がいる。ブンデスリーガ1部の「ザールブリュッケン」でプレーする神巧也(ファースト)。9月11日にブンデスリーガでの「フルダ・マーバーツェル」戦の3番で起用され、アルナ(ナイジェリア・世界ランキング14位)を3-1で破り、ブンデスリーガ初試合で初勝利をあげた。
その熱い思いを「卓球王国」に語った。

<聞き手=今野昇>

 

●初勝利おめでとうございます。
 めちゃくちゃうれしかったです。本当にうれしかった。シーズンが始まる時に、2、3試合分のオーダーは言われていて、「フルダ(・マーバーツェル)の時にはおまえで行くよ」と。だから試合に出る準備はしてました。ただ、アルナと当たるのは予想していなくて、フィルスかファンボ・メンかなと。

●今までアルナとはやったことありますか?
 初めてです。

●初めてアルナとやると、みんなはやりづらいと言うけど。
 アルナのフォアのボールは世界一くらいにパワーあるじゃないですか。そう思ってコートに入った。実際にすごいけども、ボールに触(さわ)れないとか、押されないと感じました。今、ドイツに来て約1カ月ですけど、練習でフランチスカやヨルジッチのボールをとっていると、最初はボールに触れないところからちょっとずつ止まるようになってきた。アルナのボールもすごいけど、こっちで慣れてきているので触れないボールではなかった。もし日本でやっていて、いきなりアルナとやったらふっ飛ばされると思います。

●1カ月、ドイツで練習している間に自然にボールに慣れていたのかな。
 たぶん、そうだと思います。フランチスカとヨルジッチのボールは特別パワーがすごいのですから。

●アルナ戦を振り返ってください。
 チームメイトから試合前に、「アルナはこうやってくるよ」という情報をもらえたのは大きかった。ぼくは最近はWTTに出ても勝てない状況で、なかなか勝てないと自信もつかなくて。実はぼくはブンデスの2部にも登録していて、試合に出れます。1部だけに登録して試合に出る人と、ぼくのように2部に登録して1部と2部、両方に出れる選手がいます。
9月11日の「フルダ」戦の前日に2部の試合があって、ぼくは2部にも出させてくださいと志願して出ました。それまで(WTTの)試合でも勝てなかったし、試合勘もなかったので、前日に2部の試合に出て、ダブルスも出て、最初のシングルスで負けたけど、2試合目に勝てたし、何かつかんだ感覚がありました。いきなり1部に出るのは不安もありましたから。
アウェイの試合でしたけど、雰囲気が良くて自分も盛り上がりましたし、久々に良い試合ができました。
9月8日にオマーン(WTT)からドイツに帰ってきて、10日に2部リーグ、11日に1部リーグの試合でしたね。

●初勝利というのは特別な思いがあったでしょ?
 ブンデスの1部に出て、1勝もできないで2部に行ったり、違う国のリーグに行く人も結構いると聞いていたので、ぼくもまず1勝することを目標にしてました。やっぱり名門チームだし、ぼくに出番が回ってきて、勝てなかったらどうしようと。ドイツに来て最初の2週間くらいはそういう重圧がありました。チームからは「リラックスしてやれよ」と言われているんですけど、練習が終わるとひとりでいる時間が長いから、2週間くらいは気持ちがしんどかったですね。
やっぱりだんだん試合が近づくと意識するし、あとはWTTで2大会に出て、両方とも1回戦負けだったので、メンタルは大変でした。プレッシャーに押しつぶされそうでした。

 

写真は第2戦での神巧也

 

WTTもぼくは自費参加なので、

20~40万円かけて

1回戦負けとかだと辛いですね。

 

●チームの1戦目、2戦目はどういう思いでベンチにいたんだろ。
 シンプルに勉強になりましたね。初戦の「グレンツァオ」戦でフランチスカが2点落として、そういうのをベンチで見ていたら、見えないところも見えてくるし、次の試合は彼が2点取ったりしてますから、こういう感じで戦っているんだと勉強になりますね。

●次の予定はどうなるんだろ。
 9月18日に「ミュールハウゼン」戦があり、23日にドイツカップの準々決勝もありますね。その2試合に誰がどう出るかは、今週のミーティングで発表があると思います。それと25日に2部リーグがあって、それに出させてくれと言っているので、それをやって日本にいったん帰ります。

●2部リーグでもレベルは高いでしょ。
 1番手、2番手は相当レベルが高いですね。みんなメラメラしている。1部に行こうとしているし、1部でやっていたベテランの人が2部でやっているし、他の国の元代表の人もいます。色んなタイプの選手が揃っている。そういうところで勝ち切ることも大事なので、めちゃくちゃ大事な試合になります。

●相当充実しているね。
 1試合目で勝ったから良かったですけど。まあ自分で選んだドイツだけど、思っていたより大変で。その分、勝てた時にうれしい。生活面では全くストレスなく生活できていますね。卓球に集中できる環境ですから。
WTTもぼくは自費参加なので、20~40万円かけて1回戦負けとかだと辛いですね。ランキングも上がらないからどんどんネガティブになってきますね。そこは大変ですね。試合に対する重圧と不安は常にあります。

●文字通りハングリーなプロだね。
 「これがプロなんだな」と思います。みんなこうやって戦ってきてるんだなと。試合に出て、勝つか負けるかですから。

ブンデスリーガでは試合前の準備はどうなんだろう。
 練習をやれとも言われないし、休んでも大丈夫で、自分次第という感じです。ワン・ジミー監督もそこはあまり何も言わないですね。でも、ワン監督は練習中にアドバイスをくれますし、WTTから帰ってくると一緒に映像見ながらアドバイスをくれるし、ザールブリュッケンの2部の試合に出ても、映像を見ながらアドバイスをくれます。
ザールブリュッケンにはいろんな国の選手が集まって練習をやっていて、その日によっても違いますが、ふだんは8人くらいですね。誰が練習に来るかもわからないし、練習相手は監督やコーチが決めます。昨日(13日)から(村松)雄斗がザールブリュッケンに来ました。
今月末に日本にいったん帰りますが、また10月20日頃にドイツに戻って、すぐに2部の試合に2試合出て、11月にはドイツカップ、チャンピオンズリーグ、ブンデスリーガというように試合も多いし、WTTがヨーロッパでやる時にはぼくも出る予定です。チームとしてはぼくが3~5番手でいて、誰かが故障した時とか、チームメイトが国際大会に出た時に出場のチャンスを狙います。

●去年と比べても試合がたくさんできるから良いでしょ?
 そうですね。2部もあるし、1部も活躍次第でチャンスはまわってきます。ハラハラ感というか、そういう中で試合ができるのは楽しいですし。スリルもあるし、ハラハラする中でやるのが楽しいですね。ただ、前期(クリスマス前まで)で成績を出さないと来シーズンの契約に影響する。だから1試合1試合必死に戦うのみです。

●家族とは連絡してますか?
 はい。ドイツから毎朝、テレビ電話しています。

●それでは体に気をつけて日本に帰ってきてください。
 ありがとうございます。頑張ります。