●女子シングルス決勝
早田ひな(日本生命) 3、6、11、6 張本美和(木下グループ)
昨年と同じく早田ひなと張本美和の顔合わせとなった全日本卓球 女子シングルス決勝。
1ゲーム目、早田は序盤から声を出して気合のプレーを見せ、0-2から9本連取などで圧勝。台上から両ハンドのラリーまで、完全に早田のペースで試合が進んだ。2ゲーム目も早田は張本のミドル攻めなどで中盤以降突き放す。手の故障の影響が心配されたバックハンドも、しっかり振り抜いて、ラリー戦でも張本を上回った。
3ゲーム目、4-2で張本が早めのタイムアウト。張本のバックドライブを早田が狙い打っているのに対し、早田のバックドライブに対して張本はタイミングが合わない。張本の攻撃も決まり始めてジュースにもつれたが、2本のネットインなどもあり早田が奪う。4ゲーム目も張本がYGサービスからの展開で6-6とするも、早田が5本連取で一気に勝利。昨年の決勝と同様、準決勝まで圧倒的な強さを見せて勝ち上がってきた張本に対し、さらに圧倒的な力を見せつけた早田が3連覇を達成した。
★早田ひな・優勝後の会場インタビュー
−決して100%のコンディションではなかったと思いますが、優勝をつかみました。どんな思いですか?
早田:まさか4−0で勝って優勝できるとは思っていなかったですし、張本選手もすごく勢いがあって、ジュニアも完全優勝という感じで、自分は向かっていく立場だなと思っていた。自分がやってきたことをしっかり出して、あとはできないことはしっかりあきらめて試合に入ることができた。そういう部分での気持ちの持ちようが良かったかなと思います。
−1ゲーム目には9連続ポイントもありました。試合の入りは振り返ってどうでしたか?
早田:頭がしっかり働いていたのでああいった点数になったと思いますけど、3ゲーム目はジュースですし、取られていたらまた難しい展開になっていたと思う。そういった大事な1本を取ることができたからこそ、4−0で勝つことができたと思います。
−いろいろな選手が早田選手に向かってくる中で、それへの対応力、戦術の幅が広いという印象があります。
早田:その時の状況、環境もありますし、私も今回怪我をして試合に入っているので、いつもの自分の感覚とは違うんですけど、それをしっかり照らし合わせながら試合をすることができた。結果として優勝できてうれしいですし、怪我してからたくさんの方にサポートしていただいたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
−大会の中盤ではいつ試合ができなくなるかわからないという不安も口にしていました。最終日まで勝ち抜いての優勝、いかがでしょう?
早田:今日も2試合あったので、準決勝のあとちょっと痛みを感じるタイミングもあったんですけど、でもそんなこと関係なく決勝は頑張ろうと思っていた。アドレナリンが出て、今はちょっと腕がどうなっているかわからないです(笑)。
−昨年はパリ五輪の戦いもあり、そこからこの2025年はどのような景色が見えていますか?
早田:パリ五輪までの自分に戻ることはできないですし、でもまた新しい形で戦っていく。パリ五輪までの早田ひながシーズン1で、ここからシーズン2の始まりなので、ここから上がっていくだけだと思う。しっかり怪我とも向き合いながら頑張っていくので、これからも応援よろしくお願いします。
一方、張本美和は決勝後の記者の囲み取材に対し、最初は涙で言葉を詰まらせながらも気丈に答えた(以下要約)
「ここまで来られるとは思っていなかった。もちろん目指したのは優勝で、決勝まで来たのは実力がついていることで良かった。でも決勝はストレート負けで、結果だけ見れば昨年から変わっていない。早田選手はすべての面で強く、私は練習をしていくしかない。涙には、勝ち上がれるかという不安、ほっとした気持ち、悔しさなどさまざまな感情があるが、一番は悔しさ」(張本)
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