3月23日、四川省成都市の中国卓球チーム国家級訓練基地で、第14回全中国運動会・卓球競技の予選がスタートした。「全中国運動会予選が開幕へ。主力6名は単予選免除(中国リポート2021/03/19)」でもお伝えしたとおり、行われるのは男女の団体・シングルス・ダブルス、そして混合ダブルスの7種目だ。
この重要な全中国運動会予選に先駆け、出場選手全員が訓練基地でひとつの「難関」を課せられた。2日間をかけて行われた「体能測試(体力テスト)」だ。この体力テストは卓球競技のみならず、水泳や陸上、体操など全中国運動会のあらゆる実施種目で行われ、一定の点数に達しない選手は全中国運動会への出場資格を失うことになる。卓球の場合、体力テストは以下の8項目だ。
◎基礎体力テスト
30mスプリント
腹筋の持久力
背筋の持久力
◎特殊体力テスト
反復横跳び
A字移動フットワーク
縄跳び・二重跳び
ボールスロー(座位)
立ち幅跳び
「腹筋の持続力」は頭と両足を上げた体勢、「背筋の持続力」は台から上半身を乗り出した体勢で、その体勢を持続できる時間を計測する。ボールスローは床に座った体勢から、体をひねりながら大きなメディシンボールを投げて距離を測るものだ。それぞれの項目は達成時間や持続時間、距離などに応じて得点が決められており、8項目で合計40点以上に達しない選手は不合格となる。1項目につき5点は取る必要があるのだ。たとえば縄跳びの二重跳びならば、最高点の10点から基準点となる5点までの回数は下記のようになる。
●縄跳び・二重跳び(1分間での回数)
10点:男子116回以上/女子111回以上
9点:男子111〜115回/女子106〜110回
8点:男子106〜110回/女子101〜105回
7点:男子101〜105回/女子96〜100回
6点:男子96〜100回/女子91〜95回
5点:男子91〜95回/女子86〜90回
ちなみに縄跳びの最高得点は劉詩ウェンの123回で、これは樊振東の122回を上回り、男女を通じてNo.1。右ひじの手術からの復帰が遅れている劉詩ウェンだが、軽快なフットワークは健在のようだ。ちなみに樊振東はボールスローで16mをぶん投げて他を圧倒し、許シンは反復横跳びで快足ぶりを披露。孫穎莎は立ち幅跳びで満点を叩き出したという。
この体力テストは、2020年2月に国家体育総局が発した『基本的な体力トレーニングのさらなる強化と、身体的能力の短所の補完に関する通知』をもとに、昨年から各競技の全国大会などで実施。実施項目は競技によって異なるのだが、20年9月に行われた水泳の全中国選手権で、アジア新記録を更新した王簡嘉禾が体力テストの結果で決勝進出を逃し、「私たちは水泳選手で、(体力テストの種目である)陸上種目が得意なわけではない」とコメント。体操の全中国選手権の女子跳馬でほとんどの選手が体力テストで脱落するなど、多くの問題が発生している。
幸い、卓球では全中国運動会予選に出場する300名に及ぶ選手全員が、体力テストを無事通過。卓球のテスト項目は敏捷性や跳躍力など、競技に必要な能力に関するものが多く、大きな問題とはならなかったようだ。ホッとひと安心の選手たちを、予選での厳しい戦いが待ち受けている。
※写真提供:月刊『ピンパン世界』
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