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田㔟監督、成都を振り返る「ルーマニア戦の4番で集中力に問題があったように見えたので、張本に少しばかり怒りました」

世界選手権成都大会を振り返る

インタビュー 全日本男子 田勢邦史監督

 

世界選手権成都大会(団体)が終わった。世界に衝撃を与えたのは日本男子が王者・中国を追い詰めた準決勝だった。張本智和が王楚欽と樊振東を破り、世界の卓球ファンを驚かせ、中国は青ざめた。その一戦が今大会のクライマックスだった。試合から1週間経ち、全日本男子の田勢邦史(たせい・くにひと)監督に全試合を振り返ってもらった。

前編・後編、2回に分けて掲載する。

聞き手=今野昇

 

「全員が無事にいけるかなとは常に心配していたし、

選手たちも動揺することはなかったと思います」

 

●−世界選手権お疲れさまでした。1週間ほど経ちました。

田勢 ありがとうございます。今WTTマカオの行く前の隔離中です。世界選手権前には隔離なかったのに、終わってからここ(成都)で隔離がるあるのは不思議な感じですね(笑)。

 

●−今回の世界選手権団体は代表を選ぶのも一発のトーナメントで決め、かつ男子は大会直前に丹羽孝希がインフルエンザで陽性となり、4人で行くことになり、いろいろ大変な状況になりました。団体戦での監督推薦の枠もない中での戦いでした。

田勢 何がベストなのか常に考えることはいろいろあります。団体戦であれば、対戦チームを考えて左利きを入れたいとか、プレースタイルのことを考えて推薦枠がほしいというのは正直あります。中国で言えば、左利きに弱いヨルジッチに王楚欽を当てるとか、そういうことを考えると、監督としてのフリーハンドはほしい。ただ、選考基準が決まって、代表権を獲得した選手を育成するのもぼくの仕事だと思っています。大会が延期になり、3月に代表が決まってから時間が経っていたので、一発(トーナメント)で決めるというのは(ベストメンバーを決めるという意味で)リスクはあったのかなと思いますが、延期になった事で強化する期間が延びたとプラスに考える事もできます。

(丹羽)孝希が欠場したのは、彼ひとりに限らず、このご時世では誰にでも可能性はあると頭に入れていました。インフルエンザと新型コロナにかかる可能性は合宿中でもあります。大会直前までTリーグもやっていたので、誰かが体調を崩したり、怪我をするのではないかと想定していました。また中国側からも人数制限があると言われていたので、選手を多めに連れて行くこともできないし、ビザ取得も複雑だった。全員が無事に行けるかなと常に考えていたし、選手たちも動揺することはなかったと思います。

ただ、初出場が3人いたので、監督としては孝希の経験値はチームにとって間違いなく重要と考えていたので残念でした。孝希自身も苦渋の決断だったと思う。

 

●−選考会で代表5人が決まって、次の6番目、7番目の選手が決まっていたので、6、7番目の選手を連れて行く選択肢はなかったですか?

田勢 確かに世界選手権なら練習相手も連れて行くし、その選手を6、7番目の選手にすることも考えたけど、Tリーグでの勝利ポイントが五輪代表の選考に関係してきたり、国体もあったりするので、難しかった。無理を言って、選手を連れて行くことはできなかったですね。

 

●−大会に入ってからの準備段階で大変な部分は?

田勢 毎日PCR検査があって、無症状でも(陽性者が)出るんじゃないかと心配でした。それを一番気にしていました。中国側からは、部屋の行き来はやめてくれと言われていたので、部屋でのミーティングは今回は控え、練習が終わってから随時集合して選手に伝えたり、LINEのグループで思いを伝えたりしていました。

 

ルーマニア戦でO.イオネスクに敗れた張本

 

「正直厳しいドローでした。

マークしたのは初戦のイラン」

〈グループ3・第1戦〉 

   日本 3−0 イラン

○戸上              8、5、9   No.アラミヤン 

○張本      −8、10、5、8      Ni.アラミヤン 

○及川        −5、5、−9、7、9        ホダエイ 

 

●−グループリーグで初戦のイラン戦。簡単には勝てなかったですね。

田勢 (グループの)ドロー(抽選)に関しては極めて厳しいと思いました。グループの4、5番目はイランとハンガリーで、他のグループを見るとプエルトリコとかカザフスタンが入っているグループもあります。日本のグループは4、5番目も気が抜けない相手だったので、選手の状態を見るとか、調子を上げるという戦いができないと感じたドローでした。

 

●−ただ、他のグループを見た時に、インド、フランス、スロベニアとか、それらのチームが来なかったという意味では、日本は良いドローだったと感じていました。

田勢 一番嫌だったのはフランスです。スロベニアはヨルジッチ以外の2人はそうでもない。一番厳しいグループはドイツのところで、フランスとインドがいました。ただ日本のグループは5チームがそれぞれ強いので、気の抜けない相手ばかりでした。

 

●−その中で特にマークしたのは?

田勢 初戦のイランで左の(No.)アラミヤンです。(張本)智和も戸上もやったことがなかったし、サービスのうまい選手で、大物喰いする選手です。今振り返ると、トップで戸上が世界選手権初出場、初試合でアラミヤンのサービスをうまくレシーブすることができていて、落ち着いてプレーしていた。トップで戸上が勝ち、良いスタートを切れたと思います。

 

●−2番の張本は1ゲーム目を落とし、緊張している様子でした。

田勢 智和の初戦の戦い方は想定内です。厳しい内容でしたが、そこで智和が踏ん張って勝つことができたので良かった。

 

●−3番の及川も苦戦の末に勝利。初戦でイランが強いとは言え、ちょっとチーム全体が硬い感じでした。

田勢 及川本人も3番が重要だとは感じていたと思うし、初の世界団体で緊張していたと思います。彼は経験があるのに、いろいろとネガティブに考えてしまうところがある。初戦ではその部分が出てしまい安全な戦いになってしまっていた。

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