2024年パリ五輪の開幕まで2年を切った。今回の全農カップTOP32船橋大会(11月12〜13日)は、Tリーグでの勝利ポイントを別にすれば、選考対象となる13大会(うち3大会は国際大会)のうち、すでにLION CUP、Tリーグ個人戦、全農カップ福岡大会が終了し、実質的に4大会目となる大会だ。
対象の国内選考会は合計6大会だが、トップ選手は同時にWTT(ワールド・テーブルテニス)のコンテンダー、スターコンテンダー、チャンピオンズ、カップファイナルズ、グランドスマッシュ、世界選手権など年十数大会の国際大会に参加しているため、相当ハードなスケジュールをこなす。
日本卓球協会はすでに選考ポイントの上位2名をパリ五輪のシングルス代表にして、3名の団体戦の3番目は強化本部推薦にすると発表している。
一方、IOC(国際オリンピック委員会)とITTF(国際卓球連盟)は7月に、「団体戦の出場権を獲得した国(または地域・NOC)は2名のシングルス出場枠があり、それは世界ランキング上位2名の選手が権利を獲得できる」と発表したが、その出場資格とJTTA(日本卓球協会)の選考方法は一致しない可能性があった。つまり、日本の選考基準で選ばれた2名と、世界ランキング上位2名が同一にならないケースだ。
そのため、JTTAは再三ITTFやIOCに対して、「代表選手は世界ランキング上位者ではなく、NF(この場合日本卓球協会)に選ぶ権利を与えてください」と要望を出していたが、10月24日付けの「パリ五輪出場権利規定」の改訂版では、「NOCが拒否した選手が出た場合、次に世界ランキングが高い選手に権利が移り、出場枠(2名)を満たすまでそのプロセスを繰り返すことができる」と追記された。
これによってJTTAの要望が通り、代表選考ポイントの上位者2名が選ばれる道筋はできた。そうなると、五輪出場権を獲得するうえではWTTへの参戦の意味は薄れるのだが、日本の選手たちはWTT参戦を止めない。
もちろん、WTTは賞金もあるし、世界ランキングを上げていくために重要な大会である。今の国際大会はすべて世界ランキングをベースにしており、ランキングが高い選手ほど上位に進出しやすくなるし、五輪本番でも世界ランキングが高ければより良いシードを獲得できる。「五輪にも出たいが、世界ランキングも上げたい」と考えるのは当然のことだろう。
しかし、今回の選考会(TOP32船橋大会)にしても、張本智和(IMG)や伊藤美誠(スターツ)などは世界選手権成都大会からWTTチャンピオンズ、カップファイナルズと中国での大会が続き、中国の紅双喜のボールを1ヶ月以上使用し、そこから選考会のボール(男子:VICTAS、女子:タマス)に移行するために調整も必要だっただろう。何より、国際大会と国内大会では戦い方も変わってくる。
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